yui (FLOWER FLOWER) × ミゾベリョウ (odol)「ばらの花 × ネイティブダンサー」好調 広告における音楽の重要性を改めて考える

 楽曲については、冨永がメディア向けに出したコメントで、一つ興味深いものがある。

「リフやリズムは合うけど、ばらの花の音価の長めな歌メロに比べ、ネイティブダンサーの歌は上下に動きの多いメロディラインが特徴的で、最初は実はこの2曲は音形的にはあまり相性がよくないかも、とも思っていました。しかし自分の中では、くるりとサカナクション、ばらの花(TEAM ROCK)とネイティブダンサー、彼らにはダンスミュージック、ダンスフロア愛という決定的な共感覚があると個人的に思っているところがあって、であればグルーヴ(:リズム)軸で考えていきさえすれば解決できる、という個人的な根拠のもと、2曲のつながりや流れや分量が自然にバランスするように、展開と構成ひとつひとつ打開策を見出しながらアレンジをすすめていきました」(参照:相鉄公式サイト

 上記のコメントをもう少し展開させると、この2曲には「バンドサウンドと打ち込みを絶妙に同居させている」という構造上の共通点があるうえ、ダンスフロア対応の楽曲として作られたという背景や、グルーヴの担い手であるドラマー(森信行と江島啓一)、ベーシスト(佐藤征史と草刈愛美)が名プレイヤーであることも似ている。

くるり「ばらの花」
サカナクション「ネイティブダンサー」

 また、楽曲のリリース時期は異なるものの、実際にバンドとDJの出番を掛け合わせた2010年代前半のライブハウスイベントでは、時折この2曲を繋ぐ・マッシュアップする光景を、筆者は何度か目にしていたのを覚えている。そうして、世代や場所など関係なく愛された2曲が、時代の節目に広告で使われ、ここまでバズを起こしたというのは、冨永が「ばらの花」と「ネイティブダンサー」をテーブルに並べた時点で、ある種必然だったといえるのかもしれない。

 本稿を書くにあたり、再度映像を見て思ったことでもあるが、柳沢翔の映像も、二階堂ふみと染谷将太の演技も格段に素晴らしく、今回取り上げた音楽含め、この作品は広告クリエイティブとして、ある種の理想型だ。今回のバイラルチャート入りは、改めて「広告における音楽の重要性」を感じることのできる機会だった、と言えるだろう。

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