NEWS 増田貴久というアイドルに癒される理由ーー『レンタルなんもしない人』出演を機に考える

 2020年、NEWSの増田貴久が絶好調だ。先日、大きな話題となった『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)内のコーナー「グルメチキンレース ゴチになります!」(通称:ゴチ)の新メンバー加入から、3月には連続ドラマW初出演となる『パレートの誤算 ~ケースワーカー殺人事件』(WOWOW)もスタート。さらに、ドラマホリック!4月クールでは『レンタルなんもしない人』(テレビ東京系)で、テレビ東京ドラマ初出演&初主演を果たすことが発表された。

 『レンタルなんもしない人』は、Twitter上で展開されている実在するサービス。簡単な受け答え以外、基本的には何もしない。ただそこにいるだけの“なんもしない“人を望む声が絶えないのは、この時代の気分をよく表している気がする。人とつながるツールが発達する一方で、私たちは日々多くの情報に心を痛めたり、知らず知らずのうちに傷ついたりしている。誰かしらの一挙手一投足に波風が立つ。その息苦しい時代だからこそ今、増田貴久が求められているのではないか。

 増田貴久というアイドルの周囲には、ファンを動揺させるようなノイズが圧倒的に少ない。かつてNEWSとしてグループ活動が難しい時期も、増田自身はすごく落ち着いていたし、その発言はファンをむしろ勇気づけるものだった。「ちゃんとしたものをファンに届けたい」という軸はいつだってブレることがなく、どんな状況でも焦って勢いに任せて走るようなことは決してしない。来るべきときに備えて、ジッと待つ。納得するまで動かない。その慎重さと冷静さこそが、いつも彼の周囲にある空気を穏やかにしていたように思う。だが、“そのときを待つ”ということが、どれほど難しいことか。私たちは技術が発達するたびに、どんどん待つことが苦手になってしまった。はやく状況を変えたい。相手から今すぐ返事がほしい。そんなふうに「はやく」「すぐに」……と、まるで時間をかけることが、すべて無駄なことのように感じるほど、目まぐるしく動いてしまっている。

 もしかしたら、ちょっと時間をおくことで、冷静になれるのに。腑に落ちるまでじっくり考えることで、納得して行動することができるのに。傍から見たら「何もしてない」ように見える時間こそが、人を成長させるのかもしれない。

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