DracoVirgoが語る、HIGH and MIGHTY COLOR再集結で生まれた最新の琉球メタル「念願の“1stベストアルバム”ができた」

DracoVirgo『Opportunity』インタビュー

制約がないからこそ色んなことができる

ーー「HATENA」はどうでしょう? この曲はSASSYさんが楽曲のアイデアを持っていったそうですね。

SASSY:もともとは、レゲエのようなワールドミュージックっぽいリズムからヘヴィなサウンドが顔を出すような、二面性を楽しめるようなものにトライしてみたいと思っていた曲です。そこからMAAKIIIにブラッシュアップしてもらって、よりサイケに仕上がりました。

MAAKIII:きっと、聴いてくれた人はみんな頭に「?」が浮かぶと思うんですけど……。

ーー何のジャンルなのか形容しがたい、不思議なサウンドですよね(笑)。

MAAKIII:自分たちでも、何回か寝かしてみないと取り組めない曲で、完成までに何回かお休みモードに入りました(笑)。聴く人をビックリさせるような曲をつくりたいと思っていたときに、ちょうどクイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』がヒットしていて、街中でクイーンの曲が聞こえてきて、あの突然壮大になったりする作風が「やっぱりいいな」と思って。それで、私たちの曲でもそういうものをつくりたいという気持ちで取り組みました。

ーー冒頭に入っている「じょいやっさ、じょいやっさ、しゃーんしゃん」という印象的なフレーズは、どんなふうに出てきたものなんですか?

MAAKIII:これは、実は昔ばなしの「傘地蔵」から引用したフレーズです。このフレーズが、私の中ですごくいい響きのものとして残っていて、レコーディング中に「何か他にできることはないかな?」と考えていたときに、スッと出てきたんですよ。

SASSY:アレンジ面では、レゲエのグルーブ感を大切にしつつも、MAAKIIIから出てきたアイデアに寄せていきました。あと、ヘヴィな部分を用意して二面性を持たせるために、この曲でもMEGがギターを弾いてくれました。それもあって、ひとつの楽曲によりギャップが生まれたように思いますね。

2020年1月15日(水)リリース:DracoVirgo 1stアルバム『Opportunity』XF動画

ーーこうしてお話を聞いていても、今回のアルバムは、DracoVirgoの音楽性がまたさらに広がった作品と言えそうですね。HIGH and MIGHTY COLORのようなタイプの曲も、より沖縄独自のルーツを感じさせる曲も、DracoVirgoとしてフラットに表現できるようになっていると言いますか。この変化については、みなさん自身はどう感じていますか?

MAAKIII:私たち自身、DracoVirgoがどこに飛んでいくのかが分からない状態で、それが「すごく楽しいな」と思っています。だからこそ、「次にどんなものが出てくるのかな?」って、自分たち自身もすごく楽しみになってます。

SASSY: DracoVirgoはギターレスのグループなので、楽曲のカラーを担うパートが声以外にないんですよね。でも、それで逆にできることが広がったというか、「それって“自由”ってことなんだな」と、自分たちも徐々に気づいたというか。制約がないからこそ色んなことができるのを実感しましたし、今までやったことがない曲に挑戦できるのを感じます。今回のアルバムは、そんなふうにひとつひとつつくっていった曲がすべてまとまった作品なので、現時点でのDracoVirgoのトリセツのようなものになったと思っています。

ーーDracoVirgoのこれまでの変化がすべて詰まっている作品、ということですね。一方で、みなさんそれぞれにとっての音楽的なルーツというと、どんなものなんでしょう?

MAAKIII:私の場合は、歌謡曲なのかな、と思います。

mACKAz:確かに、DracoVirgoの曲って、色々なことをやっていてもどことなく懐かしいメロディが出てくる瞬間があるので、それもルーツのひとつなのかな、と思いますね。

ーーどんな歌謡曲が好きだったんですか?

MAAKIII:特に「誰かが好き」という特定のものはなかったんですけど、小さい頃から自然に触れてきたものを通して、自分の好きな世界観ができてきたのかな、と思います。それが、ハイカラを結成したときに、私が想像もしていなかった世界と結びつくことになって。そこから一度ソロになって、色んな人と共作する経験を経て、3人でDracoVirgoをはじめて――。そうやってこれまで過ごしてきた毎日が積み重なって、今に繋がっているのかな、と思います。

SASSY:自分の場合は、ルーツになるのは姉ちゃんが聴いていたマドンナのような洋楽で、その後『beatmania』を通して、フレーズが繰り返されていくミニマルなものにハマっていきました。その後、KornやRage Against The Machineのようなバンドの音楽を聴いたときに、リフ一発でもそこに感情が感じられる雰囲気に惹かれることになって。なので、僕はもともとメロディのことを考えずに曲をつくるタイプです。そういう意味でも、MAAKIIIにとって見たことがないようなプレートができるのかな、と思います。今では自分にもメロディへの意識が芽生えてきて、それを2人にも引き出してもらっている感じがします。

mACKAz:自分の場合は……小室哲哉さんですね。「小室進行」と呼ばれる有名なコード進行がありますけど、僕はそれをだいたい使っているので(笑)。それがルーツなのかなぁと。

沖縄での生活から「楽しみ方」を教えてもらった

ーー沖縄に故郷があるということは、みなさんのルーツになっていると思いますか?

MAAKIII:どうなんでしょうね……?

SASSY:自分の場合は、それをめちゃくちゃ感じますね。自分がバンドをはじめた頃は、沖縄に地獄車のような、ヘヴィだけれども歌詞はふざけているような、その対比が面白いバンドがいて。それを米兵の方たちが「このバンド、かっこいいね」という感じで盛り上がっているのを見て、アンチノブナガを結成した、という経緯もあったので。

mACKAz:僕らが沖縄にいた頃は、沖縄にバンドがたくさんいて、レゲエも盛り上がっていて、クラブに行けば、欧米の最先端のクラブミュージックが流行っていて。そういう場所が楽しかったので、音楽の土壌としてはすごくよかったのかな、と思います。

SASSY:SPEEDのような人たちも、ポピュラリティのある形で活躍していましたしね。

ーー音楽以外だとどうですか?

SASSY:沖縄は何もないというか、『週刊少年ジャンプ』も遅れてきたりしますから……(笑)。でも、何もなかったからこそ、自分はドラムに没入できたのかな、とも思います。それに、今改めて沖縄に帰ると、「本当にいい場所だな」と思いますよ。

MAAKIII:情報が少ない分、自分が好きなものにフォーカスを当てやすいのかもしれない。

mACKAz:あとは、やっぱりビーチパーティですかねえ。

SASSY:それが一番楽しかったよね(笑)。

MAAKIII:バーベキューと言えば、ビーチパーティなんです(笑)。

ーー贅沢な海の使い方ですね……!

MAAKIII:でも、お洒落なバーベキューとは違って、お肉もめちゃくちゃ固い(笑)。

SASSY:米兵がコンバットナイフで肉を切ったりしていて。そういう経験を通して、「楽しみ方」を教えてもらった感覚がありました。ときにはストリートバスケをやって、ボコボコにやられたりもして……!

ーー(笑)。アルバムリリース以降の活動については、どんなことを楽しみにしていますか?

MAAKIII:まずは『Opportunity』というアルバムを名刺代わりにして、これからも色んなところに自分たちの音楽を広げていけたらいいな、と思います。

SASSY:自分たちのことを知ってもらうものができたので、これを色んなところに広げていけば、またそこからDracoVirgoでやりたいことも広がっていくのかな、と思いますね。

ーーこれまでの楽曲がすべて入っている作品ですもんね。

mACKAz:そうですね。念願の“ファーストベストアルバム”ができたので、2020年はライブの数も増やして、より色んな人たちに会いにいけたらな、と思っています。

アルバム『Opportunity』(初回限定盤)

■リリース情報
アルバム『Opportunity』
2020年1月15日(水)発売
¥3,600(税抜)
※初回生産限定デジパック仕様

<Disc1収録曲>
1.Rainbow Butterfly
2. “KALMA”
3. 阿弥陀の糸
4. hanaichimonme
5. FLY
6. 清廉なるHeretics (毛蟹 feat. DracoVirgo)
7. Oh Eh Oh
8. ABRACADABRA
9. RYUKYU
10. HATENA
11.ハジメノウタ
12. KAIBUTSU

<Disc2 兎に角、ジェネシス!!!!! -DracoVirgo version - 収録曲>
1.Massatsu - DracoVirgo Instrumental -
2.×××× - DracoVirgo NADAR mix -
3.トリックスター – DracoVirgo GAULTIER mix –
4.ココニオイデヨ - DracoVirgo OSSIAN mix -
5.超感覚的知覚 – DracoVirgo MICROCOSM mix –
6.kIRA○kIRA – DracoVirgo LUCIFER mix –
7.Opportunity - DracoVirgo Instrumental –
8.DASH!脱出!奪取! - DracoVirgo LEONORA mix -
9.いーじゃんっ! - DracoVirgo SHEPHERD mix –
10.SPAAAAAAAAAARK!!! - DracoVirgo OZ mix -
11.スノーボールアース – DracoVirgo ALICE mix –
12.Magma - DracoVirgo Instrumental –

■ライブ情報
『DracoVirgo ワンマンライブツアー2020』
DracoVirgo  “Opportunity 2020〜Rainbow Butterfly Tour〜”
2020年1月18日(土)大阪・Zeela
[OPEN/START]17:30/18:00
お問い合わせ キョードーインフォメーション tel 0570-200-888(全日 10:00~18:00)

2020年1月19日(日)名古屋・ell.FITS ALL
[OPEN/START]17:30/18:00
お問い合わせ サンデーフォークプロモーション tel 052-320-9100(全日 10:00~18:00)

2020年1月25日(土)東京・Shibuya WWW
[OPEN/START]17:30/18:00
お問い合わせ ディスクガレージ tel 050-5533-0888(平日 12:00~19:00)
※一般チケット発売日:2019年12月1日(日)

■関連リンク
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