多くの人の心を掴む“YOSHIKIサウンド”の正体 SixTONES「Imitation Rain」を機に考える

 さらに、YOSHIKIの楽曲は、サウンドだけではなく歌詞も特徴的だ。英語と日本語が入り混じったYOSHIKIの歌詞は、繊細な心の揺らぎや美しいフレーズ、破壊衝動が滲み出るような言葉で出来ている。「Imitation Rain」の歌詞にもYOSHIKIの色が表れている。元々英詩部分が多い曲ではあるが、少ない日本語の歌詞の中には、〈壊れてゆく ガラスの薔薇のように〉〈紅に染まるまで 雨に打たれて〉など、X JAPANの世界観に通じるワードが散りばめられている。特に「紅」「薔薇」「雨」「壊れてゆく」などの単語から、X JAPANの名曲「紅」「ENDLESS RAIN」「Rusty Nail」などを連想するリスナーも多いだろう。この歌詞は、アイドルのデビュー曲としては決して王道ではない。しかし、間違いなくYOSHIKIの色を感じられる要素の一つだろう。

 繊細なピアノの音、相反する要素が共存するサウンド、振り絞るハイトーンボイス、そして世界観のある歌詞。“YOSHIKIサウンド”は、こういった要素の複合でできていると言える。50年以上音楽に触れ続け、世界的ミュージシャンとして地位を確立してきたYOSHIKI。彼の作るサウンドは、今後も音楽シーンに多くの影響を与えていくだろう。

■南 明歩
ヴィジュアル系を聴いて育った平成生まれのライター。埼玉県出身。

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