The Winking Owlはラウド×ポップスでさらに大きなフィールドへ Ranmalu復帰で届けた4人の音

The Winking Owlが届けた4人の音

 そして、KenTによる豪快なドラムソロを挟んで、ライブは後半戦に突入する。そのブロックで聴いた最新作収録の「片想い」と「君のままで」の2曲は特に素晴しかった。前者においてLuizaはステージをゆっくりと動きながら、観客1人ひとりに語りかけるように歌う。曲名通り、歌詞は異性に思いを馳せる女性の気持ちをストレートに綴った内容だ。背伸びもギミックもない、シンプルな歌詞に乗せた甘酸っぱいエモーションに心は激しく揺り動かされた。曲調は決してアッパーではないのに観客は楽しそうに手を上げ、曲の世界観に浸り切っている。ああ、曲に込めたピュアな心情が多くの人の心を捉えているんだなと痛感。

 後者はMVになった曲だが、こちらも等身大の歌詞が素直に胸を打つ。曲に入る前に「自分らしさを忘れてた。かっこ悪くても、その過程でかっこ良くなれば……」とLuizaは語っていた。ありのままの自分を受け入れ、その覚悟から滲み出た強さが歌に宿っている。ラストの〈不安の雨で育っていくものよ 小さな胸で眠る勇気は〉の歌詞には彼女のリアルな心情が刻まれているようでグッと来た。

 もともとラウド/エモをルーツに持ちながら、それと同時にポップスもこよなく愛するメンバーたち。作品を経るごとに元来持っていたポップ性を衒いなく解き放つようになったけれど、この2曲はその魅力が遺憾なく発揮されている。その意味で最新作はバンドが自分たち本来の姿を捉えた作品であり、それが伝播力に優れたライブパフォーマンスにも直結していた。

 「Bloom」で本編を締め括り、アンコールに応えると、「新しい自分を探しに行こう!」と言い放ち、「NEW」、「Stars」の2曲を演奏。ここに集まった人たちからたくさんの笑顔を引き出し、盛大なフィナーレを迎えて終了した。

 The Winking Owlは万人のツボを押す魅惑のポップセンスを持って、さらに大きなフィールドへと突き進んでいくことだろう。ここから階段を一段一段と駆け上がっていく姿を、心の底から楽しみにしている。

(取材・文=荒金良介/写真=かわどう(@kawado_photo))

The Winking Owl 公式サイト

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