堂本剛、V6、亀梨和也、Kis-My-Ft2……『2019 FNS歌謡祭』第2夜出演ジャニーズに見る“覆す力”

今年、満を持してソロデビューした亀梨和也

 KAT-TUNは、ジャニーズ=優等生なイメージが定着していく中で、オラオラ系の立ち位置を作り出したグループ。2001年にグループを結成し、2002年には初の単独コンサートを実施。2006年にはCDデビュー前のアーティストとして初の東京ドームコンサートを成功させるなど、その活躍も彼らのヤンチャぶりに拍車をかけたのだろうか。スタッフや先輩たちにも叱られてばかりだったというエピソードが数多く語られている。

 かつて舞台で共演した堂本光一も彼らの様子を、お互いに若くて尖っていたと前置きしながら「幕が下りた後に“おい、お前ら!“と言ったことが、1度、2度、3度?ほどあります」と話す。上田竜也も当時を振り返り「光一くんの立場なら、絶対にぶん殴ると思う」と自らも大反省するほど。

 そんなギラギラしたメンバーが集まって、おとなしくアイドルをしているはずもなく、1人、また1人とグループを去っていった。前例のない不良スタイルを貫いてきたKAT-TUNだからこその苦悩。だが、そんな展開もまたKAT-TUNならではの不屈の精神で乗り越えた。充電期間を経て1人ひとりのキャラクターは確固たるものになり、メンバー脱退を率先して話題にするなど、他のアイドルグループにはないぶっちゃけスタイルも確立。彼らは立ち上がるたびに強くなっていくことを印象づけた。

 亀梨和也、中丸雄一、上田竜也の3人のKAT-TUNは、今までで一番強い何かを掴んでいるように見える。そのホームグラウンドが整ったのを見て、今年ソロデビューを果たしたのも、きっと意味があるはずだ。彼の人気と実力なら、いつだってできたはずなのだから。ソロ曲「Rain」は彼の中に蓄積されたものが、歌の雨になって心ににじむ。「前髪とかも目ぐわーっと隠して、とにかく内から出るもの、内から出るエネルギーを大事にレコーディングしました」とラジオで語っていた亀梨。KAT-TUNの亀梨和也としてのウェットな歌声とも、山下智久とのユニットで見せるアイドルらしい歌声とも異なる、深く、根強い、弱さ、大人の男の乾きを表現するソロアーティスト亀梨和也を、今夜も見せてくれるに違いない。

数々の逆境をチャンスに変えたKis-My-Ft2

 Kis-My-Ft2は、常にピンチをひっくり返して成長してきたグループだ。長い長い下積み時代。後輩メンバーが次々とCDデビューを決めていく中で、鍛え抜かれた精神力からだろうか。ようやく掴んだ念願のデビュー後も、ネット検索で「Kis-My-Ft2」と入力すると「ブサイク」と多くヒットしてしまう世知辛さを経験。しかし、それをも逆手にとってバラエティ番組『キスマイBUSAIKU!?』(フジテレビ系)をスタート。さらに、シビアなメンバー間格差さえもネタにした派生ユニット『舞祭組』で多くのファンの心を掴んでいく。

 まるでスポ根マンガのように、次々と彼らを試すような壁が立ちはだかってきたのが、Kis-My-Ft2の歴史だ。きらびやかなスター街道とは違う泥臭い彼らのアイドル人生。“成功するための唯一の方法は、成功するまで止めないこと“を地で行くようなスタンスは、効率を求めるがゆえに、回り道を避けがちな現代において貴重な輝きを放つ。荒波に揉まれ、がむしゃらに、ひたむきに、生きる彼らを誰もが応援せずにはいられない。それは芸能界の先輩たちも同じようだ。中居正広、濱口優(よゐこ)、サンドウィッチマンなど、数々のアニキたちが彼らの背中を押してきた。

 リアルな迷いや葛藤もエンタメにしてきた彼らだからこそ、最新曲「Edge of Days」を始めとしたハードなサウンドがよく似合う。また、逆境においても諦めずに続けることで、その先に光のような応援や共有する希望が待っていることも知っている彼らは、ハートウォーミングな楽曲もにこやかに歌う。ハードをハートに覆し続けるKis-My-Ft2のライブに、今夜も勇気を貰えそうだ。

(文=佐藤結衣)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる