乃木坂46、加速するアジア進出 日本アーティスト初メルセデス・ベンツアリーナ2DAYS達成の軌跡

 今年5月には齋藤がセンターを務める23rdシングル『Sing Out!』をリリース。クラップ、英語詞といったこれまでにない乃木坂46の楽曲路線に齋藤は「日本だけとは言わず、世界中で『Sing Out!』のブームが巻き起こったらいいねという願望があります」と語っている(参考:乃木坂46 齋藤飛鳥、新曲「Sing Out!」視聴会で明かした制作秘話「今までなかった楽曲の雰囲気」)。その思いは『真夏の全国ツアー2019』にも表れており、「Sing Out!」の演出ではフランス・パリのファンとの生中継映像がスクリーンに映し出された。10月には新番組『#乃木坂世界旅 今野さんほっといてよ!』(AbemaTV)がスタート。内容は伏せたものであったが、番組のスタートは『真夏の全国ツアー2019』から予告されており、「Sing Out!」の延長線上として、海外を意識したグループの姿勢が感じ取れる。

 そして、上海メルセデス・ベンツアリーナでの2DAYS公演。齋藤は自身がナビゲーターを務めるラジオ番組『POP OF THE WORLD』(J-WAVE)のコーナー「HARRY’S ENGLISH CLASS」10月19日の放送分にて、海外公演は改めて初心に返れる機会だと語り、日本語にもリアクションしてくれる現地のファンについて「近づこうとしてくれるので嬉しいですね」と話していた。

 前回の上海公演では、中国のSNS微博(weibo)にてメンバーが生放送を行ったりとフォロワーを増やす施策を行っていた。今回はメンバーによる開催までのカウントダウンとサイン入りチェキのプレゼントを実施。さらに、bilibili動画と提携して、約月1のペースで松村沙友理が生出演していた企画が、中華料理を通じて中国語を学ぶ異色の料理番組『沙友理的爱吃厨房』としてスタート。第1回のゲストに賀喜遥香、掛橋沙耶香を迎え、すでにコメントには中国語が溢れている状態だ。

 上海公演が終わった後も、現地での乃木坂46の熱狂は続く。東京で25万人を集めた乃木坂46のアートワーク展が『乃木坂46 Artworks だいたい全部展 EXTRA』として上海で11月3日まで開催。セブン-イレブン台湾のCMで馴染みの深い齋藤、秋元真夏、松村沙友理がPRを務めている。11月22日からは「乃木坂46版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」2019」が上海で上演。乃木坂46のメンバーが主演を務める舞台としては初の海外公演である。

 アジア進出に成功した乃木坂46が、次に進む場所はどこなのか。2014年7月に初の海外イベントとして『JAPAN EXPO』に出演し、今年の『真夏の全国ツアー2019』にも登場したフランス・パリは、グループの次の現在地となる場所として有力な候補だ。「Sing Out!」の歌詞には〈水平線のその向こうは晴れてるのか? それとも土砂降りの雨か?〉という一節がある。その答えを見つけるための乃木坂46の挑戦はこれからも続いていく。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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