Teresaのエンジェルボイスは多くの人を虜にーー今井了介も絶賛する歌声を『Hybrid』から分析

台湾出身歌手・Teresaの歌声を分析

一青窈カバー「ハナミズキ」の聴き応え

 彼女の日本デビュー作となるミニアルバム『Hybrid』には、先行配信された2曲の他に、アッパーのビートに乗せて、ハイテンポなボーカルも聴かせる「Calling」、ダンスサウンドに乗せてクールからエモーショナルまで多彩な歌声を聴かせる「Bitter Sweet Session」。等身大の歌声で自分らしさを表現したポップチューン「Promising myself」、ジャジーなムードのサウンドと共にウィスパーボーカルを聴かせる「Sympathy」などを収録している。

 さらに一青窈のカバー「ハナミズキ」は、非常に聴き応えがある。サウンドは、ゆったりとしたビート、ボイスサンプリング、クラップ、空間を埋め尽くすシンセといったエレクトリックなサウンドながら、リバーブがかかったエレキギターが印象的。つぶやくような雰囲気を持ったTeresaの歌声は、他のサウンドと見事に融合しており、まるでサックスやフルートのような一つの楽器といった感じで存在している。独自の死生観を元に“悼み”と“願い”が込められたこの曲において、彼女は事実のみを次世代に語り継ぐストーリーテラーのように過剰な表現を抑えることによって、楽曲の根底にあるものを浮き彫りにしながら、「ハナミズキ」を再解釈したトラックにも目を向けさせているようだ。

 Teresaのボーカルは、空気成分を多く含んだファルセットのようなハイトーンと、まるで恋人に優しく語りかけるかのようなウィスパーボイスが魅力的で、今井氏が“エンジェルボイス”と表現したこともうなずける。現代的なR&Bのエレクトリックなサウンドと見事に溶け合いながら、その裏には熱いエモーションを隠し持つ。歌詞の言葉一つ一つを自然に演じるような表現力は、女優としての経験や、多彩な自己表現が求められるモデルという経験があればこそだろう。

 ショートヘア、10頭身の美女モデルという側面を持ち、日本語・北京語・英語・台湾語・客家語という5言語をつかいこなすマルチリンガルでもある彼女は、アジアを中心に音楽・芝居・ファッションモデルとして多彩に活動している。その才能は、あらかじめワールドワイドに活躍することが宿命づけられていたかのようだ。今チャレンジしたいことについて「バンドを組んで東京でツアーをやりたい」と、日本での音楽活動に意欲を見せる彼女。まずはこのミニアルバム『Hybrid』で、多くの人を虜にすることだろう。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

■リリース情報

Teresa『ざくろ』
リリース日:9月25日(水)配信楽曲
配信一覧URL
ジャケット写真(Art Director:信藤三雄)

Debut mini ALBUM『Hybrid』
リリース日:2019年10月23日(水)
価格:2,000円+TAX
COCP-40955
ジャケット写真(Art Director:信藤三雄)
<CD収録楽曲>
1. ホシゾラニ・キミヲオモフ
2. Calling
3. Bitter Sweet Session
4. ざくろ(テレビ大阪 ドラマ『抱かれたい12人の女たち』エンディングテーマ)
5. Promising myself
6. Sympathy
7. ハナミズキ

特典情報
Teresa『Hybrid』店頭購入者特典
「オリジナルポストカード」
※対象店舗など詳細は日本コロムビアHPにてご確認ください。
※特典は先着となり、無くなり次第終了となります。 予めご了承ください。
※特典の有無など詳細は、各店舗へ直接お問い合わせください。

■関連リンク
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