デーモン閣下が語る、劇団☆新感線との関係性 25年前と現在の感性が交差した『うた髑髏』

デーモン閣下と劇団☆新感線の関係性

「ロックなのに今までとは確実に異なる」ものができたという自負

ーー芝居の中で歌われる歌は、芝居の中だけで完結する美学もあります。それを今回CD盤として残す上では、そこにはどんな新たな意味を見つけたのですか?

デーモン閣下:芝居の中では芝居が第一の優先事項であり、芝居を盛り上げるために楽曲はある。盤にするということは、1曲単位で成立するものとして生まれ替わらせないといけないわけで、曲を単体で聴いて、「いい曲だな」とか「格好いい」と思ってもらえないといけない。そのための工夫をした。

ーー役者さんが歌っていたものを閣下が歌っていることもそうだし、演奏も新たに?

デーモン閣下:そうだね。例えば25年前の曲は、芝居で流す音源としては残っているけど、それは盤にできるほどの音質やクオリティではないので、演奏も録り直している。ただ岡崎氏が作った曲は岡崎氏がアレンジし直しているので、アレンジ自体はそれほど大きく変わってはいないけれど、シンセサイザーの音は時代と共に新しくなっていくから、そこは最新の良いテイストの音にしてくれている。

ーーサウンド面での聴きどころは?

デーモン閣下:今回新たに録った曲は基本的に打ち込みだけど、岡崎氏の「劇音楽の全体バランス感覚」は素晴らしいぞ! そして以前に生演奏で録った曲のリマスターを2曲収録していて、それは改めて迫力ある演奏を楽しんでもらえると思う。ロックミュージカル『SHIROH』の「Medleyさんちゃご~神の王国をつくれ~なぜに奪われし光」は、ドラマーがグレッグ・ビソネットで、元Van Halenのデイヴ・リー・ロス・バンドのドラマーだ。

ーーすごい人が叩いていたんですね。

デーモン閣下:楽曲のアレンジはスウェーデン人のアンダース・リドホルムで、リズムギターはアンダースが自分で弾いて、リードギターはボスニア人のギタリスト=ムルス・バルジックだったかな? でもほとんどアンダースを仲介したインターネットでのやりとりだから、ムルスとはかれこれ16~17年の付き合いになるのに一度も会ったことがないのだ、実は(笑)。

ーー劇団☆新感線ファンにはもちろんですが、いわゆるロックのファンや聖飢魔Ⅱのファンには、どんな部分を楽しんでほしいですか?

デーモン閣下:1曲1曲、きちんと成立したものになっているし。二十数年間で劇団☆新感線と作ってきた曲が全部入っているわけではなくて、そこから選りすぐっているので、吾輩としては劇団☆新感線とのコラボレーションで生まれた曲のベスト盤という感覚。だから、相当いいと思うんだよね(笑)!

ーーミディアムとかバラードが多くて、聴き応えがありますね。

デーモン閣下:『うた髑髏』というタイトルだから、ヘヴィメタルのゴリゴリとした曲がいっぱいと思いきや、激しい曲は全体の2曲くらいしかないんじゃないかな。

ーーメタル系のバラードで和の感じもあって、演歌っぽさも感じました。

デーモン閣下:それは岡崎氏の作風だと思う。劇団☆新感線の「時代系芝居」の中で作るバラードは、“泣き”が入ったメロディが多くなるので、確かにそういう部分はある。日本人ならではの楽曲だよ、特にバラード系はね。

ーーこういうメタルを海外のロックファンは、どう受け止めるんでしょうね。

デーモン閣下:どうなんだろうね。吾輩に聞かれても困るけど。それこそムルスにでも聞いてみたいよね。「どう思うの?」って(笑)。歌詞がほとんど日本語だから、歌詞の意味が分からないと楽しみが半減してしまうかもしれないけど……。

 でも日本や日本語が大好きな外国人はいっぱいいて。吾輩はその国に行ったらその国の言葉でMCをしたり、サビだけその国の言葉で歌ったりするんだけど、以前にフランスの『JAPAN EXPO』に出演した時は、むしろ日本語のままのほうが良かったみたいで。

ーーまた「いらんことしい」って?

デーモン閣下:そうは言われなかったけど、「日本語のままで大丈夫です」って言われた(笑)。

ーーまた、『髑髏城の七人~Season月』の「修羅と極楽」という曲は、某富士五湖畔でMVを撮影。劇団☆新感線の方も出演されていて、MVにしておくのはもったいないくらいの作品ですね。

デーモン閣下 『修羅と極楽』MUSIC VIDEO

デーモン閣下:新感線とアクションクラブの人達が出てくれて、非常に豪華なものになった。まったく縁もゆかりもなく連中に出演をオファーしていたら、相当な金額のギャラになるはずだよ(笑)。それも公演期間中だったから、休演日にわざわざ遠くまできて出演してくれて。おかげでいい作品ができたので、とても感謝している。

ーー湖畔に霧がかかっていて、雰囲気も格好良かったです。

デーモン閣下:ロケでMVを撮るのは、天気の問題もあるから賭けなんだよね。晴れでもピーカンは暑くて嫌だし、建物が湖の水面に映って興ざめになってしまったりするけど、当日はいい感じでどよ~んとしていて。人気の無い湖みたいに見えて、まるでネッシーが出てきそうな感じじゃなかった? やはり、普段の行いが良かったんだなって。悪魔のくせに、普段の行いが良いのもどうかと思うけど(笑)。

ーーあと、コンサートもあるそうですね。

デーモン閣下:10月から11月にかけて、東名阪のZeppで『DEMON'S ROCK "DKR(うたどくろ)" TOUR』を行う。基本的には今作『うた髑髏』の曲をほぼ全部やるつもりだ。曲順は……それは来てのお楽しみかな。

ーーもともと舞台の場面に合わせて作っているから、その曲のハマりどころがあるわけですね。

デーモン閣下:ただちょっと難しかったのは、岡崎氏の作る曲のクセもあったけど、『髑髏城』シリーズの「Season月」と「Season極」の曲を収録していて、それぞれ同じような場面のために作られているから、それがバッティングしちゃって。この曲をこのあたりで聴かせたいけど、ここに置くとどっちも良く聴こえなくなるという現象が起きて、それで本来置きたいと思った位置ではないところに、離して置いた曲もある。

ーー閣下のファンも、劇団☆新感線のファンも楽しみなツアーというところでは、演劇的な要素も入りそうですか?

デーモン閣下:それはこれから詰めていくけど……演歌ショウみたいに、みこしや船や大漁旗は出てこない。殺陣とか入れていくと、そうなりそうじゃないか。決して新宿コマ劇場の座長公演ではないので(笑)。基本的に普通のロックコンサートだ。

ーー普通と言っても、劇団☆新感線のナンバーですし(笑)。

デーモン閣下:まあ、普通のロックコンサートというのが、どういうものなのかは定かではないけど(笑)。でも、どの新作を作った直後も「いいのができたぞ!」と思うしそう言ってきたけど、今作は客観的な立場から見ても、本当にクオリティの高い「ロックなのに今までとは確実に異なる」ものができたという自負がある。厳しい耳で聴いてくれても、いいと思ってもらえるはず。ぜひ聴いてもらえればうれしいかな。

(取材・文=榑林史章/写真=石川真魚)

■リリース情報
ソロアルバム『うた髑髏(どくろ) -劇団☆新感線劇中歌集-』
発売:魔暦21(2019)年10月16日(水)

※初回生産限定盤特典DVDには、「修羅と極楽」MUSIC VIDEOと、劇団☆新感線主宰・いのうえひでのり氏、俳優・ 古田新太氏、デーモン閣下のスペシャル座談映像を収録
※初回生産限定盤では更にフォトブックレットが封入
※劇団☆ 新感線の座付き作家で多くの脚本を担当されている中島かずき氏によるライナーノーツと、デーモン閣下による劇中歌解説を掲載(初回生産限定盤、通常盤共通)

 <初回生産限定盤(CD+DVD)>
価格:¥3,800(税抜)
<通常盤(CD)>
価格:¥3,000(税抜)

収録楽曲(曲順未発表)
・天魔王誕生 :『髑髏城の七人〜Season月』より
・きみ死に給ふことなかれ :『髑髏城の七人〜Season月』より
・刃よ明日に向かえ :『髑髏城の七人〜Season月』より
・修羅と極楽 :『修羅天魔〜髑髏城の七人 Season極』より
・流れながれて極楽に :『修羅天魔〜髑髏城の七人 Season極』より
・いきる :『修羅天魔〜髑髏城の七人 Season極』より
・名もなき火の鳥 :『修羅天魔〜髑髏城の七人 Season極』より
・Love Dies :『星の忍者〜Stranger in a Strange Star』より
・Burning Beauty :『星の忍者〜Stranger in a Strange Star』より 
※「SYMPHONIA」(魔暦4[2002].2.14発表) 収録曲、リマスター
・The Rock Age - 闇に集いし妖しき衆生 -『星の忍者〜Stranger in a Strange Star』よ
・Get The Planet’s Power! :『星の忍者〜Stranger in a Strange Star』より
・Medleyさんちゃご 〜神の王国をつくれ 〜なぜに奪われし光 :『ROCK MUSICAL「SHIROH」』より
※「MYTHOLOGY」(魔暦14[2012].5.16発表 ) 収録曲、リマスター

『うた髑髏(どくろ) -劇団☆新感線劇中歌集-』特設サイトはこちら

■配信情報
「修羅と極楽」
配信はこちらから

■イベント情報
『デーモン閣下サイン会』
デーモン閣下「うた髑髏(どくろ) -劇団☆新感線劇中歌集-」の購入者対象
※下記の店舗での「うた髑髏」購入者がサイン会の対象

日時:10月16日(水)19:00スタート
場所:タワーレコード新宿店 7F イベントスペース
問い合わせ先:タワーレコード新宿店:03-5360- 7811

日時:10月20日(日)17:00スタート
場所:タワーレコード梅田大阪マルビル店
問い合わせ先:タワーレコード梅田大阪マルビル店:06- 6343-4551

日時:10月27日(日)13:00スタート
場所:タワーレコード渋谷店 5F イベントスペース
問い合わせ先:タワーレコード渋谷店:03-3496- 3661
 
詳細はこちらから

■ツアー情報
『魔暦21年「DEMON’S ROCK“DKR(うたどくろ)”TOUR』
10月21日(月)
Zepp Namba 開場18:30/開演19:00
11月2日(土)
Zepp Nagoya 開場17:30/開演18:00
11月10日(日)
Zepp DiverCity 開場17:00/開演17:30

出演:デーモン閣下(Vo)、松崎雄一(Key)、石垣愛(Gt)、原田喧太(Gt)、 LEVIN(Dr)、大桃俊樹(Ba)、MIYAKO(BGV)、ayumi(BGV)
・料金:指定 7,500円/立見 7,000円(11月2日名古屋公演、11月10日東京公演のみ)
※各会場別途1ドリンク代が必要。
※未就学児童入場不可(入場者すべてに入場券が必要)

デーモン閣下 公式web site

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