内田勘太郎×甲本ヒロトによるブギ連、純度100%のブルースに取りつかれたライブを観た

 9月27日金曜日、東京キネマ倶楽部でブギ連を観た。なにしろ内田勘太郎と甲本ヒロトというスーパーユニットゆえ、ライブの出現率は極めて稀で、『ブギる心』と題した1stツアーは東名阪でわずか4本、しかもキャパ数百人の小バコばかり、とんでもないチケット争奪戦だったことは想像に難くない、この日のオーディエンスは本当にラッキーだ。

甲本ヒロト

 午後7時半ちょうど、「Yes Sir,I Can Boogie」の賑やかなBGMに乗って2人が登場。椅子に座るやいなや勘太郎のスライドが火を吹き、ヒロトがブルースハープをブカブカ鳴らして〈あ~ブギる心〉と唸る、ド迫力のパフォーマンスに空気がビリビリ震える。アルバム『ブギ連』には未収録の「ドゥー・ザ・ブギー」だ。そのままスライドソロを経て「あさってベイビイ」へ。ギター1本なのになぜかベースもドラムも聴こえるような超絶奏法が炸裂。ヒロトが口を開けながらニコニコして勘太郎のプレーを見つめている。いきなりギターの弦が切れるというハプニングに「何かの呪いだな」とヒロトが笑う。2人の息はぴったりだ。アルバム未収録の「オラ・ネル・ブルース」は、同名のブルースのスタンダードが元ネタだろう。歌詞は〈おら寝る〉の洒落で、〈ふっとんでけ〉という歌詞も洒落が効いてる。ヒロトはこういう作詞が本当にうまい。

「今日も嬉しいな。みんな甲本先生のおかげだな」

「そうだったの?」

「そうだよ。ずっと敬語だもん。リーダーだから」

「……やりづれー(苦笑)」

内田勘太郎

 2人ののんびりしたやりとりも、ブギ連ライブの大きな魅力。“2人で最初に合わせた曲を”という紹介で歌われた、勘太郎が日本語詞をつけた「ひたすらハイウェイ」の軽快なリズムが楽しい。「誰かが見てる」ではなぜか「ジングルベル」のフレーズを、「バットマン・ブルース」では「Smoke on the Water」(Deep Purple)の一節を繰り出す、勘太郎のアドリブプレーに会場が大いに沸いた。ヒロトは相変わらず少年のまなざしで勘太郎のプレーを見ているが、マイクに向かう姿は凄腕ベテランブルースマンそのもの。「闇に無」の、叫び、唸り、伸ばし、叩きつける歌声が凄まじい。いやはや、なんてうまいボーカリストだろう。負けじと勘太郎も、自身のオリジナル「グッバイ クロスロード」で味のあるボーカルを聴かせる。アッパーなロッキンブルースにフロアもノリノリだ。誰かが「ヒロト楽しいね」と呼びかける。ヒロトは何度もうなずいて「めちゃめちゃ楽しい!」と返す。ヒロトはいつだって本音だが今日は特別に素直に見える。

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