Novelbright「Walking with you」チャート急上昇中の理由 TikTokから伝播するバイラルの波
ヒットするには“仕掛け”が必要というのは今やアメリカの音楽業界の常識となりつつあります。特に、インターネット上での視聴回数がチャート結果に大きく反映されるため、客演ありのバージョンを追加投入することでオリジナル版のポイントを加算するなどの施策を施した曲はチャートを上昇する傾向にあります。リル・ナズ・X「Old Town Road」がベテランカントリー歌手のビリー・レイ・サイラスを客演に迎えたことで米ビルボードソングスチャート19週連続1位を獲得、最長首位記録を塗り替えたことも記憶に新しいでしょう。しかし、「Old Town Road」に関しては客演版が登場する前からヒットしていて、そもそもこの曲に火が付いたきっかけはスマートフォンアプリTikTokでの流行。カントリーテイストの楽曲に合わせてカウボーイになりきり踊る“チャレンジ”と呼ばれる動画(#YeeHawChallenge)が多数投稿されチャートに登場しました。TikTokの流行から火が付いた例ではリゾ「Truth Hurts」も同様で、歌詞を引用するチャレンジ(#DNATestChallenge)を機にチャートを上昇し、後に客演ありバージョン等の追加投入という仕掛けによってチャートを制覇、現在まで4週連続首位をキープしています。TikTok はアメリカにおいて、ヒット曲を仕掛ける以前にそもそも何がヒットするのかを予見出来る新たなツールと言えるかもしれません。
日本でもTikTokをきっかけとしたヒットが徐々に登場。たとえば、元々韓国で火が付き日本でもこの夏投稿が目立った“2週間で10キロ痩せるダンス”に使われたFitz And The Tantrums「HandClap」は、MV再生等に飛び火してビルボードジャパンソングスチャートで最高20位まで上昇しています。そしてこの度、TikTok発の新たなヒットの兆しが。それが大阪発の5人組バンド、Novelbrightによる「Walking with you」。
Novelbrightが仙台駅前で行った路上アコースティックライブでこの曲を披露した動画がTikTokで拡散、10月2日段階で8万8千以上のいいねを獲得したのみならず、この動画を引用したツイートには4万8千ものリツイートおよび20万を超えるいいねが寄せられているのです。Novelbrightのボーカルを担当する竹中雄大はそのツイートを引用し、“史上最大バズ”と記載しています。
@yudai_vo 仙台駅前で歌いました #Novelbright #Walkingwithyou #歌ってみた #路上ライブ #歌うま ♬ オリジナル楽曲 - 竹中雄大 Novelbright 🥒 - 竹中雄大/YudaiTakenaka
史上最大バズありがとう!!!
ワンマンツアーもソールドアウト続出してて本当に辞めずに続けて来てよかった。
数年前じゃ考えられないよ。
来年はかなりどデカイこと企んでます。
これからもNovelbrightについて来てね!!
ぜってぇ売れてやる。 https://t.co/QILlauaHP3— 竹中雄大 Yudai Takenaka (@yudai_vo) September 11, 2019
冒頭から伸びやかで力強い地声と美しいファルセットが飛び出すインパクトも相俟ってTikTokで支持を集めると、アプリを超えてストリーミングに伝播。昨年リリースされた1stミニアルバム、『SKYWALK』のオープニングを飾る「Walking with you」がSpotifyバイラルチャートでトップ5入りしたほか、9月4日に発売された2ndミニアルバム『「EN.」』(“アンピリオド”と読む)の最後を飾る「拝啓、親愛なる君へ」もトップ10入り。同チャートでは現在、50位以内に4曲もランクインしています。