日向坂46、新曲は“ハッピーオーラ”を封印? 「こんなに好きになっちゃっていいの?」を考察
10月2日発売される日向坂46の3rdシングル『こんなに好きになっちゃっていいの?』の表題曲が9月2日放送の『ゆうがたパラダイス』(NHK-FM)で初オンエアされた。繊細な女性の感情を表現した哀愁ある美しいバラードは、これまでの日向坂にない新たな一面を引き出す楽曲となっている。
デビューシングル曲「キュン」、2ndシングル曲「ドレミソラシド」と続けてキャッチーな曲調&ダンスで徹底したアイドル路線を貫いていた日向坂。今ではキャッチーなダンス=日向坂とイメージしている人も多いだろう。とはいっても、けやき坂時代の曲は幅広い楽曲にチャレンジしていて、自分たちの境遇や人生の応援歌を歌ったエモーショナルな楽曲も多い。そういったところにグループの良さがあると思っているファンもいる。カップリング曲でその一面は引き継いでいるとは言え、日向坂の表題曲には物足りなさを感じていた人も少なくないだろう。しかし今回は、3枚目にして機が熟したと言わんばかりにドラマティックなバラード曲になった。それは、欅坂の新境地ともなった3rdシングル『二人セゾン』リリース時を思い起こさせる。前2作で日向坂のイメージを定着させられたからこそ、大人なバラード曲という新たな楽曲にもチャレンジしたのかもしれない。
まるでAORサウンドのような本作は、恋に落ちた繊細な女性の感情を表現している。本作の内容は、前2作と変わらず恋に落ちた主人公の心情であるのだが、「キュン」は春、「ドレミソラシド」は夏、そして「こんなに好きになっちゃっていいの?」は秋・冬とそれぞれ季節感があるのがおもしろい。
『ゆうがたパラダイス』に出演していた佐々木久美は「衝撃を受けました。私たちがこれを歌うんだ」とし、高本彩花は「最初からこんな曲歌ちゃっていいの?って思いました」と同曲についてコメント。"誰に止められてもブレーキがかけられない"という恋の盲目状態を恋愛禁止のアイドルーーしかも純真無垢な印象が強い日向坂にーーに歌わせることは、とても挑戦的であり意味深だ。そして同曲のポイントは、グループが“ハッピーオーラ”を封印しているということ。つまり、けやき坂時代からのモットーに頼らなくても、グループの個性が発揮できる実力と人気を得たということであり、「日向坂46」というブランドが確立した証明だといえるだろう。