「12 Sweet Stories」第4弾リリース『COVER FOR LOVERS VOL.1』対談
FUKI×TEE「12 Sweet Stories」特別対談 二人が語る「ベイビー・アイラブユー 」とラブソング観
男性が書いたものを女性が歌うことで聴こえ方が変わる(FUKI)
ーーこれまでTEEさんもFUKIさんも様々なタイプのラブソングを世に送り出してきた共通点があると思います。せっかくなのでお二人のラブソングに対するこだわりを伺えればと思うのですが。
TEE:ラブソングは世の中にたくさんありますけど、曲のテーマ、コンセプトは尽きないものだなと僕は思っていて。僕の場合、詳細なストーリーから考えるんですよ。例えば遠距離恋愛の曲を書こうと決めたら、場所はどことどこの遠距離なのか、それって1年に何回くらい会える距離なんだろう、2人はどんなことでケンカするかな、どんなときに思いが募り、どんなときに諦めそうになるのかな……みたいな感じで、それこそ1本の映画を作るくらい考えていく。そうするとね、遠距離というテーマでもまだまだ新しい視点で書くことができるんですよ。テーマが尽きないからこそどこにフォーカスを絞るかが大変なところではあるけど、それによって意欲がわくところもあるし。だから僕はラブソングを生み出し続けたくなるんだと思います。
FUKI:すごいなあ! 私の場合はほんとに日々思ってること、その瞬間に思ってることを大事にして曲を作るんですよ。もちろん普段から自分の思いをメモに残してはいるから、その積み重ねもあるんだけど、基本的には思いが募ったことで気づいたら曲になってることが多いんですよね。1人で作るときに関しては。
ーーじゃ普段はあまりテーマから決めていくことはないんですか?
FUKI:あんまりないかもしれない。だから今回のように“〇〇の日”みたいなお題が決まってるとイメージが広げやすいから作りやすい部分もあるし、でも普段の私の作り方とは違うから大変な部分もあるっちゃあるっていう(笑)。お題があると、いつもだったら出ない言葉や表現が引き出されるから、そのおもしろさはありますけどね。
TEE:作り方が逆なんだね。俺は映画を観たり、本を読んだりしたら、勝手にその主題歌としての曲を作ったりするし。お題があったほうが作りやすいんだよね。だから記念日をテーマにして毎月新曲を書くとか、全然ワクワクしながらできると思う。
FUKI:えー、すごい! 聴いてみたい(笑)。
ーーでは、書き手の性別によって生まれてくるラブソングに違いってあると思います?
TEE:それはもちろんありますよね。まあ性別っていうよりは感性の違いが大きいとは思うけど、女性ならではの色を感じることはすごくあるかな。「これは男の俺には書けねぇわ」って率直に思ったりするし。だってさ、女子会みたいなことって男子にはできないじゃないですか(笑)。
FUKI:あははは。確かにそうかもね、うん。
TEE:たまに女子会混ぜてほしいなって思うもん。そこでの会話を自分なりのフィルターを通して歌詞にしたら、また新しい切り口が生まれそうな気がするから。女子会なんかだと女の子のエグいところも見えそうじゃん(笑)。そういう価値観の違いみたいなものが新しい表現につながるのかなって。
FUKI:私もたまに女子会っぽいことはしますけど、だいたい恋愛の話になりますからね。しかもだいたいがグチっていう(笑)。彼氏のいいところを話す子もいますけどね、たまに。
TEE:たまにじゃん(笑)。
FUKI:そうそう、基本は不満だから(笑)。私もそこで聞いたことをネタとして持ち帰ることがけっこうあるんですよね。作詞に行き詰まったりすると、みんなの話を聞きに行くこともあるし。取材感覚で(笑)。
TEE:自分の経験だけで曲を作ってると限界があるからね。俺の場合は、そういうインプットが映画とか本、あとは同じように人と話すことだったりする。もちろん、そこで受け取ったものを自分なりに消化して、自分の思いをプラスさせて作ることが大事はあるんだけど。インプットは大事だと思う。
ーーFUKIさんは男性が生み出すラブソングにはどんな印象を持っていますか?
FUKI:女性にはない感覚はもちろんあるとは思うんだけど、言葉にするのは難しいな(笑)。私の場合、今回のEPもそうですけど、男性の書いたラブソングをカバーすることがほんとに多くて。それは男性が書いたものを女性が歌うことで聴こえ方が変わる、意味が変わってくるみたいなことがあると思ってるからなんです。ってことやっぱり男女の違いはあるってことなんでしょうけど。
ーーリスナー視点のなんとなくイメージですけど、案外男性のほうがロマンチックな感覚を持ち合わせているような気がするんですけど、実際のところどうですかね?
TEE:え、どうなんだろう。男性として自分ではなかなか言いづらいですけど(笑)。
FUKI:いやでも普段の会話からして男性にはそういう傾向はある気がする。女性の方が案外冷めてて、現実的だったりしますからね(笑)。私自身、自分が経験したことを元にして、それを広げて曲にしているから、現実的だとも思うし。そういう部分は楽曲にもにじみ出るものなのかもしれないなあ。
TEE:なるほどね。そういう分析はおもしろいかもしれない(笑)。
ーーTEEさんは9月18日に約4年ぶりとなるオリジナルアルバム『Golden 8』をリリースするんですよね。今回は楽曲提供&プロデューサーとしてSALUさん、C&K、清水翔太さん、Def TechのMicroさんなど、8組のアーティストが参加しています。
TEE:はい。僕はインディーズ時代を合わせると10年くらいアーティストとして活動してきたんですけど、その中で他の人とのかかわりが自分の幅を広げてくれることをものすごく実感してきたんですよね。なので今回は「この人だったらどんな曲を僕に書いてくれるんだろう」「その曲を僕はどんなふうに歌うんだろう」っていう興味を8組の方々にぶつけてみました。結果、自分でも見たことのない新しい自分を発見することができたので、すごくおもしろかった。ぜひ8曲分の化学反応をみなさんにも楽しんでほしいですね。
FUKI:カバーをやらせてもらっても、私はいつも同じようなことを思います。他の方が書いた楽曲や歌詞を通して、まだ知らなかったいろんな自分に気づかせてもらえるっていう。だから今回のTEEくんの作品もすごくおもしろかった! 参加されているアーティストの方の個性が出ているから全部の曲の色が違っているんだけど、でもそれぞれでTEEくんの個性もしっかり感じることができて。そのドッキング具合いが素晴らしいなって思いました。かりゆし58の前川(真悟)さんがプロデュースされた「JUMP UP!」はMVも最高でしたね。めっちゃおもしろい(笑)。
ーーうさぎ跳びに命を懸ける2人組のドキュメンタリー風MVですよね。
FUKI:そうそう。観てるといつのまにか応援しちゃってる自分がいたりして。「頑張れー!」って(笑)。
TEE:2人組の片方はかなり太ってるんだけど、だんだんかっこよく見えてくるからね(笑)。ここからも新しいMVがアップされていくんで、楽しみにしててください。
ーー他者とのかかわりが新たな自分を発見させてくれる。そんなコラボの魅力を知っている2人ですからね、そろそろ……。
TEE:そうですよね。FUKIとはまだコラボしてないもんな。活動してる場も音楽性も含めてすごく近しいアーティストだと思ってるから、いつか一緒に何かできたらおもしろそうだよね。
FUKI:それはぜひ実現させたいですね。ぜひぜひ!
ーーでは最後にFUKIさん。次回、9月17日“告白デー”に配信される新曲の予告をお願いします。
FUKI:“告白デー”をイメージして4曲くらい作ったんですけど、どれもちょっとうまくハマらなかったんですよ。なので新たにもう1曲作って、大至急仕上げる予定です(笑)。
TEE:いやー、大変だな(笑)。
FUKI:イメージとしては「告白しよう」っていう思いを秘めてる女の子の気持ちを書こうと思っていて。みんなの告白の後押しができるような曲にしたいですね。頑張って作りたいと思います(笑)。
TEE:頑張ってね。楽しみにしてます。
(取材・文=もりひでゆき/写真=堀内彩香)
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■リリース情報
FUKI
『COVER FOR LOVERS VOL.1』
2019年8月9日(金) 配信
M1:トドカナイカラ(org:平井堅)
M2:ベイビー・アイラブユー(org:TEE)
M3:小さな恋のうた(org:MONGOL800)
M4:I Believe(org:Full Of Harmony)
配信先はこちら
TEE
『Golden 8』
発売:2019年9月18日(水)
価格:¥2,400(税抜)
楽曲提供&プロデューサー
・SALU
・C&K
・清水翔太
・”デモ”リッションメン
・Blue Vintage
・BES
・Micro(from Def Tech)
・前川真悟(fromかりゆし58)