Yultron X Jay Park、Lil Cherry & Jito Mo、E SENS……この夏聴きたい韓国ヒップホップ5選

nafla, Loopy, イ・ヨンジ & PLUMA – I’m the ONE 7/25

[MV] nafla, Loopy, Lee Young Ji, PLUMA(나플라, 루피, 이영지, 플루마) _ I’m the ONE
nafla, Loopy, イ・ヨンジ & PLUMA – I’m the ONE 7/25

 『SHOW ME THE MONEY』昨シーズンの優勝者であるnaflaと準優勝のLoopy、そしてその姉妹番組とも言える『高等ラッパー』出身のイ・ヨンジとPLUMA。これら旬のラッパー4人がシングル曲「I’m the ONE」で集結した。この曲で最も注目すべきは『高等ラッパー』シーズン3の覇者イ・ヨンジだろう。ロートーンの安定した発声で存在感たっぷりのラップを披露する彼女は、まさにガールクラッシュ(※女性が憧れる女性)の新境地だ。実はこの曲、韓国の大手銀行である『IBK企業銀行』とのコラボレーションなのだ。このように韓国ではMnetやDingoなどのメディアに限らず、ヒップホップとタイアップする大手企業が少なくない。スポーツブランドや銀行が楽曲を共同制作し、メーカー企業やカード会社がライヴのスポンサーとして資本を提供する。ヒップホップという分野でこのような動きが活発なことは実に羨ましい限りである。

E SENS – Son of a

E SENS - 그XX아들같이 (Official MV)
E SENS – Son of a

 上述のように、近年の韓国ヒップホップシーンは芸能界やメディアを最大限に活用し、巨大資本を取り入れながらますます規模を拡大している。しかしそんな流れもどこ吹く風と、マイペースな活動で成功を収めているのがラッパーのE SENSだ。かつてはメジャーシーンで活動していたが、自らアンダーグラウンドに移行してからは真のカリスマラッパーというポジションを確立している。ニューアルバム『異邦人』は、発売前の予約販売分だけで17,000枚の売上を記録。日本以上にCDからデジタルに音楽市場が移り変わって久しい韓国で、これは異例の数字だ。先行シングル曲「Son of a」が象徴するように、E SENSは本作でもひたすらラップスキルとリリックメイキングのみで勝負。派手なサウンドもキャッチーなメロディも必要ない。ここに至るまで紆余曲折のあった彼が、ようやくたどり着いた自分だけのヒップホップなのだ。

■鳥居咲子
韓国ヒップホップ・キュレーター。ライブ主催、記事執筆、メディア出演、楽曲リリースのコーディネートなど韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。 運営サイト「BLOOMINT MUSIC」/ Twitter

関連記事