Kleissis、初ワンマンで見せた『アルカ・ラスト』の世界観とグループのパフォーマンス力
加えて、言わずもがなだがボーカルパフォーマンスのレベルも、“歌姫”と称されるにふさわしい高いもの。確固たる実力を持ちながらもそれぞれの特色を帯びた歌声は、ソロ、ユニゾンいずれの場面でも楽曲の魅力を最大限に引き出すもので、前述の2曲のようなスローな楽曲では元吉有希子(ミオ役)の、芯を持ちながらも落ち着いて大人びた歌声が実によく映える。また、ライブの幕開けを飾った「決断のDivergence」をはじめとするハード寄りの楽曲では、パフォーマンスと合わせて7人の歌声も力強いものに。終盤の「Into the Abyss」では髙橋麻里(ユン役)が甘めの声質をクッとシリアスの方向へと向けて楽曲にベストマッチさせると、ライブ全体を通して力強い歌声を響かせた田中有紀(カスミ役)が、この曲でもラストのロングトーンを最後の最後まで尻下がりさせずに歌いきり、聴く者に気持ちよさを与える。さらに直後の「Another Sky Resonance」では突き抜けるような鋭さをもって富田美憂(アキラ役)がDメロを歌い上げ、立て続けに心を揺さぶってくれた。その一方で、本編ラストを飾ったバラード「さよならの彼方へ」での7人は、優しく穏やかな表情で心地の良いハーモニーを響かせていく。大サビでは全員が向かい合って輪を作って歌唱し、視覚・歌声の双方から絆と調和とを感じさせてくれた。
さらに、より歌姫らしさを感じられたのは、その後のアンコール。歌唱直前にそれぞれがこれまでの1年を振り返りながら観客にメッセージをおくった場面では、感極まるメンバーもみられた。しかし、最後に披露された彼女たちのはじまりの曲「Kleissis Chaos」が始まると、7人全員が気持ちを切り替え、力強いボーカルをしっかりと響かせていく。曲の最後を飾るコーラスも非常に美しく重ねて最後までステージをまっとうしたその姿からは、“歌姫”としての矜持までも感じることができた。
1stワンマンで、自らデビュー1周年を華々しく飾ったKleissis。7月30日に配信開始された『アルカ・ラスト』や9月に発売されるアルバムなどを通じて、これからも着実に歩を進めていくことだろう。今後も『アルカ・ラスト』の世界と付かず離れず独自の世界観を持ちながら、グループとしても個々としてもさらに大きくなっていく姿に期待し、注目していきたい。
(取材・文=須永兼次/写真=田辺佳子)
■SETLIST(第2部)
0.朗読劇
1.決断のDivergence
2.Kleissis Chaos
3.Ark of promise
4.贖いのアリア
5.逆さまの世界にて
6.囚われのChiral
7.Into the Abyss
8.Another Sky Resonance
9.さよならの彼方へ
[ENCORE]
1. Kleissis Chaos