BTSのリーダー RM、グループの歩みと重なる成長 知的なイメージと“破壊王”のギャップも魅力に

 “リーダー”以外のRMのグループ内での役割を考えた時、グループそのもののイメージがそのままRMと重なる部分は多い。国連本部でのスピーチなどでの知性的なイメージがある一方で、思慮深い反面、実は過去最もさまざまな物議をかもしたり、バッシングを受けてきたことが多かったメンバーでもある。楽曲制作やパフォーマンス面でも最初からカリスマ性やセンスが目立っていたというわけではなく、いわゆる天才型というよりは努力型秀才タイプのラッパーと言えるだろう。読書などでのインプットが多い分、引用に伴う盗作疑惑をかけられたこともあった。しかし、その度にRMは謝罪し、女性学の専門家や作詞に定評のあるミュージシャンに学ぶことを現在まで繰り返してきた。今現在の知性的なイメージは決して一朝一夕で築かれてきたものではないのだ。

 楽曲制作でも同様で、最初は既存のビートを借用していたところから徐々にオリジナルトラックの割合が増えていった。初期の歌詞ではラッパーとアイドル、アンダーとメジャーの境目で苦悩するような歌詞が多かったが、後のインタビューではファンからの手紙で本当の10代のアイドルになりたいと感じるようなったと語っていた。このように、決して完璧ではなく折々で過ちや壁にぶつかっても、そこで諦めることなく学び直して成長していく、という姿は、そのままBTSの成長と重なるようだ。そしてその過程を共有してきたからこそ、ファンも献身的に支持するようになった面もあるのではないだろうか。「韓国のアイドルはデビュー時からほぼ完成されている」というのが定説だ。しかし、パフォーマンス面でのクオリティとは別の次元でデビュー以降最も紆余曲折が多く、目に見える変化や成長が多かったBTSが現在最も世界で支持されるグループの1つになったという事実が、“アイドル”というもののある種の本質を表しているのかもしれない。

 メンバー個人に焦点を当ててきたこのシリーズを振り返ると、BTSはそれぞれのメンバーに得意なことも不完全な部分もある。しかしグループとして全員が揃った時、得意なメンバーが他メンバーの少し足りない部分を補填してリードし、共に成長していくことができる。そしてそれによって、単純に7倍した以上の実力や魅力を増幅させることが出来るという、それこそがまさに“グループがグループである意味”を体現していると言えるのではないだろうか。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
Twitter:@djutakata

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