アルルカン、DEZERT、シェルミィ、ユメリープ…歌詞や世界観がティーン層に刺さるV系バンド

バンドコンセプトや世界観が“刺さる”、シェルミィとユメリープ

 2016年に始動したシェルミィは、子供特有の繊細さと残酷さをコンセプトに掲げるバンド。「いじめ」「成熟嫌悪」「メンヘラ」などをキーワードに、ストレートな言葉で10代の心を掴んでいる。今年5月にYouTube上で公開された新曲「大人になったら死にたい」の〈大人になったら 自分の価値が薄れてく様な気がして 追いかけてくる時計の秒針が、怖いよ〉という歌詞は、無気力で漠然とした不安を抱える思春期特有の感情が的確に表現されており、動画のコメント欄にも共感の声が集まった。現在開催中のツアー『全校集壊-全国編-』では、過去作品をまとめたアルバム『カルティックオカルティック』を購入すると無料で入場できるなど、ティーン世代でも足を踏み入れやすい環境が整っている。9月に高田馬場AREAで行なわれるツアーファイナルのタイトルは、『スクールカースト』。思わず目を逸らしたくなるような名前を付けられたステージでは、一体どんな景色が見られるのだろうか。

シェルミィ 「大人になったら死にたい」MV FULL

 ユメリープは、浮遊感のある楽曲と、毒々しさと可愛らしさを掛け合わせたような“病みかわ”な雰囲気が特徴。2017年に始動した、今注目の新世代バンドだ。シェルミィが現実の残酷さを突きつけているのに対し、“永眠”をテーマにするユメリープの楽曲は、幻想的で浮世離れした雰囲気がある。歌詞はグロテスクな描写や絶望を歌った言葉も多いが、全てひらがなで綴られているため、まるで童話を読んでいるかのような可愛らしさすら感じられる。アーティスト写真やMVには、黒い哺乳瓶や十字架柄の枕など、ユメリープのテーマを象徴するアイテムが使われており、そのビジュアルを見ているだけでも、世界観にどっぷりと浸かれそうだ。“病みかわ”は、10代を中心に2015年頃から流行しており、現在もファッションやメイクに取り入れられている。そんな“病みかわ”を好む10代にユメリープの世界観はぴったりとはまりそうだ。

ユメリープ †ゆめくいめえさん† MV

 家や学校が世界の全てだと思ってしまわず、ライブハウスやバンドの音楽を居場所とする選択肢も、頭の片隅に置いていてほしいと思う。さまざまなジャンルのバンドが溢れるヴィジュアル系シーンだからこそ、きっと自分の居場所が見つかるはずだ。

■南 明歩
ヴィジュアル系を聴いて育った平成生まれのライター。埼玉県出身。

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