sumika、幸せ噛み締めた横アリ公演 “一人一人に歌を届ける”揺らぐことないバンドのスタンス

 ライブもいよいよ終盤。ドアが閉まる音が響くと、ステージセットが「家の外観」から「部屋の中」に変わる。ライブでもひときわ盛り上がるナンバー「Lovers」「Flower」を畳み掛け、「伝言歌」では客席から大きなシンガロングが沸き起こった。最後は、sumikaの音楽を心から信じているファミリアたちを繋ぐ大切なナンバー「Familia」でライブ本編がフィニッシュ。「出会ったらおしまいだからな! 離さないからな!」そんな片岡の熱い呼びかけに、望むところだと言わんばかりの大歓声と愛が込められた拍手が送られ、メンバーはステージから降りて行った。

 会場が暗転すると、観客が手に持つスマホのライトが光り、まるで星空の中にいるようなロマンティックな景色が広がった。その中でアンコールを求める手拍子が鳴り、これに応えてメンバーがステージに再登場。アンコールは6月にシングルリリースされたばかりの新曲「イコール」に始まり、ラストはsumikaとして初めて作った楽曲「雨天決行」が披露された。この演奏の前に片岡は「次に歌う曲が出来た時、『まだバンド続けんのか』って笑う人がたくさんいました。だけど、この曲があったから絶対に折れないって、絶対に折れてたまるかって、心の中でお守りみたいにしてずっと大事に歌ってきた」と、曲に込めた思いを語っていた。sumikaの歩んできた道は決して、最初から順風満帆だったわけではない。ポップな曲調のイメージも強いが、本質は泥くさいところがある骨太なロックバンドである。アンコールで一番新しい曲と古い曲が披露されたことで、彼らの原点を再認識できた。

 最後はメンバーで手を繋ぎ「ワッショイジャンプ」で会場中に挨拶をして、横アリ公演は終幕。ステージを降りるまで、片岡は客席を見渡しながら「幸せだよ」と何度も何度も噛みしめるように呟いていた。

(写真=後藤壮太郎)

■渡邉満理奈
1991年生まれ。rockin’on.com、Real SoundなどのWEB媒体を中心にコラム/レビュー/ライブレポートを執筆。趣味は読書でビートたけし好き。

sumika 公式サイト

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