クリス・コーエン、マック・デマルコ……60~70年代サウンドを消化したUSインディー5選

Drugdealer『Raw Honey』

 貨物列車に乗ってアメリカを旅しながら、独学で楽器の弾き方や曲作りの仕方を学んだというマイケル・コリンズ。そんな彼が辿り着いたのがLAで、アリエル・ピンク周辺のミュージシャンとプレイするうちに結成したのがDrugdealerだ。2作目となる本作は、70年代のウェストコーストロックが現代に甦ったようなサウンドを聴かせる。カントリーやフォークを消化した爽やかなメロディ。多彩なコーラスアレンジやストリングス。そして、時にはジャジーなサックスが絡んだりと、見事に70年代サウンドのエッセンスや空気感を捉えている。それでいて古臭く感じさせないのは、そこに現代的な洗練や、みずみずしいポップセンスが息づいているからだろう。ヨットロックやシティポップが再評価されるなか、出るべくして出たバンドといえるかも。「Honey」にはワイズ・ブラッドが参加。マック・デマルコがエンジニアを務めるなど、西海岸インディシーンの仲間達がバックップしているのも見逃せない。

Drugdealer - Fools (Official Video)
CALEXICO AND IRON & WINE『YEARS TO BURN』

 アリゾナを拠点に活動する2人組・Calexicoと、サム・ビームのソロユニット・Iron & Wineが14年ぶりにコラボレート。前回はEPだったが今回はアルバムで、じっくりと音を交えている。3人は2018年12月にナッシュビルで落ち合ってセッションを重ねたが、おもにサム・ビームがソングライティングを担当して、そこにCalexicoの二人が即興などで音を加えて発展させていったらしい。3人以外にも、それぞれのバンドのサポートメンバーが参加。両者の共通点であるルーツミュージックをベースにしながら、ジャムセッションを記録したような即興色もあり、トランペットやスティールギターが飛び交う。その音の膨らみが面白い。アメリカーナ、サイケ、オルタナティブなど様々な要素が混ざり合うなか、ソングライターとして高い評価を得るビームが紡ぎ出すメロディやコーラスの美しさも絶品だ。

Calexico and Iron & Wine - Midnight Sun

■村尾泰郎
ロック/映画ライター。『ミュージック・マガジン』『CDジャーナル』『CULÉL』『OCEANS』などで音楽や映画について執筆中。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』『はじまりのうた』『アメリカン・ハッスル』など映画パンフレットにも寄稿。監修を手掛けた書籍に『USオルタナティヴ・ロック 1978-1999』(シンコーミュージック)などがある。

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