『Wonderland EP』インタビュー
miletが語る、原恵一監督と作り上げた映画『バースデー・ワンダーランド』の音楽の世界
私自身は自分のイメージがない
——もう1曲の挿入歌「Wonderland」は、絵コンテを見てすぐに浮かんだと言ってましたね。
milet:監督はボブ・ディランがお好きなようでして。リファレンスとして、ボブ・ディランが清水寺でオーケストラライブをやった映像を見させていただいて。アコースティックな感じも欲しいし、波みたいに徐々に盛り上がっていく感じも欲しい。また、オーケストラと、茜ちゃんっていう主人公と同じくらいの子供の合唱を入れて欲しいっていうご要望があって。
——全部入ってますね。
milet:全部入れました。私もオーケストラの方とお仕事するのが夢の1つだったので。こんなにすぐに叶ってしまうなんて! って。オーケストラは、私が映画音楽をやりたいっていうのと同じで、組み込まれて、何かの一部になって完成させるのが好きなんですよね。一人一人がしっかり歯車の1個になって、全員で完成する。以前フルートをやってた時も、パートごとにやると全然形になってなくて。特にフルートはメロディラインを吹かせてもらうことはそんなにないんですね。でも、この私の音がキーになるって思いながらやるとすごく盛り上がるし、興奮するんですよ。一時期は、オーケストラに入りたいって夢を持っていたこともあったので、本当に憧れですよね。私の大きな夢は、オーケストラの交響曲を作ることなんですけど、今回は時期が早すぎて全然間に合わないので、編曲家の素晴らしい方と一緒にやらせていただいて。天国のようなレコーディング現場でしたね。夢の方々がいっぱいいて。読売(日本交響楽団)の定期公演によく行ってるんですけど、先月見たオーケストラの方がレコーディングに来てて大興奮して。レジェンドの集まりみたいで最高でしたね。
——まだ興奮が残ってますね。
milet:そうですね。「Wonderland」は、初めて原さんと実際にお会いできて、作詞も一緒にさせていただいて。私の夢と嬉しさの詰まった機会だったので、レコーディング中も、自分で作っておいてなんですけど、めちゃくちゃいい歌だなって思ってしまって(笑)。レコーディング中も泣きそうになりながら歌ってたんですけど、今聴いても、こみ上げてくるものがいっぱいあって。ずっと感動してました。オーケストラのレコーディングもアイディア出させていただきながら、進めていって。アレンジも素晴らしくて。弦楽器のリフがサビでくるのが、私の中でぎゅっとくるものがあって。インストを聴いても楽しいんですよ。
——現時点ではインストは聴けないのが残念です。最初に絵コンテを見たときに浮かんだものはなんでした?
milet:水が空高く飛び散って、町全体に雨のように降り注ぐシーンなんですけど、そのイメージが一瞬でオーケストラのアレンジで頭に浮かんで。螺旋階段を上がっていくようなイメージというか。
——ああ、わかります。階段をかけ上がる感じがある。
milet:そのイメージがすぐにできていたので。作ってみたら、サイズもちょうど合っていて。あとは、始まりと終わりが、アコースティックで一緒だけど、感じるものは違うといいなっていうのがあって。茜ちゃんは、普通の世界から地下室の世界に行って、また戻ってくるんですけど、その時に気持ちが変わってるんですよね。それを音で表せたらなと思って、最初と最後は、同じ足取りだけど、気持ちは違ってるっていうイメージをしましたね。
——実際にアニメーション映像に歌がついたものを見てどうどう感じました?
milet:もう号泣ですよね。想像以上に想像以上でした。全体的に愛しか詰まってない映画だなと思ってて。キャストの皆さんも、松岡茉優さんは茜ちゃんだったし、杏さんはチイちゃんだったし、私の歌も作品の一部になってた。私の理想の映画と音の関係性になってましたね。
——さらに2nd EPには、先日の『SPECIAL SHOW CASE』でも披露していた「Undone」「航海前夜」と「Runway」を加えた、計5曲が収録されてます。
milet:この2nd EPには、私の中で「旅」というテーマを設けていて。広い目で見て、5曲とも同じテーマかなと思ってます。
——旅というテーマはどこから?
milet:1st EPは、私自身もあんまり自分をつかめないままリリースしたんですけど、1st EPを出してからは、ちょっとずつ自分のこと、やりたいことがわかってきて。だから、私としては、1stは出したけど、2ndからスタートしたいっていう気持ちなんですね。ここからちゃんと自分の足で歩きたいっていうのがあって、「旅の始まり」っていうことをイメージしながら作りました。だから、「Runway」も離陸する直前の飛行機のイメージで、乱気流を突き抜けて、目の前の雲が晴れていくような開放感のあるサウンドになっているし、「航海前夜」も新しいことにチャレンジする人のための曲になってる。「Undone」も終わりの歌だけど、終わりは始まりだっていうメッセージがあって。全体的に、とにかく前に行くっていうような、自分の背中も押されるような作品になったと思います。
——本当の意味でのスタートと言える2枚目のEPが出来上がって、この旅の先はどう考えていますか? 大好きな原監督と共作して、オーケストラとも共演して。いろいろと夢が叶ってしまってますよね。
milet:そうなんですよね。1st EPでは、学校の授業で勉強してた関監督ともお仕事がご一緒できて。もうないです。2ndにしてやりきってる。
——あはははは。
milet:それは冗談としても、曲はまだまだあるし、やっぱり、他の人の作品に私の音楽が入るっていうことはすごく特別だなって改めて感じていて。自分だけじゃなくて、一部にならなきゃいけない。私は私のまま、その作品の世界に入っていくということは、挑戦でもあるし、すごくやりがいがあるし、とにかく楽しいんですよね。だから、未来は明るいと思います。今はやりたいことを本当にやらせてもらっていて。オーケストラとか生音とか、前作とはちょっと違うエリアに足を踏み入れることができました。もっともっと足を伸ばせるし、いろいろな音を使える気もして。打ち込みの時の歌い方と、生音に合うような歌い方は歌ってみると全然違ったし、もっといろんな歌い方ができると思うし、これからもいろんな声の使い方や歌い方を見つけられると思うんですね。そういう意味では、まだまだやれることがたくさんあるなって思います。1st EPを聴いてくれた皆さんには、私のイメージがあると思うんですけど、私自身は自分のイメージがないから、いい意味でいろんなジャンルの音楽ができると思うので、どんどん挑戦していきたいなって思ってます。
(取材・文=永堀アツオ)
■リリース情報
『Wonderland EP』
5月15日(水)リリース
初回生産限定盤(CD+DVD) 価格:¥1,700+税
通常盤 価格:¥1,400+税
期間生産限定盤(CD+DVD) 価格:¥1,700+税
M1「Wonderland」
※映画『バースデー・ワンダーランド』挿入歌・イメージソング
M2「Runway」
M3「航海前夜」
※専門学校 首都医校・大阪医専・名古屋医専 CMソング
※TBS系テレビ「CDTV」4月・5月オープニングテーマ
M4「Undone」
M5「THE SHOW」
※映画『バースデー・ワンダーランド』テーマソング
■イベント情報
milet SPECIAL SHOW CASE Vol.2 @Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
日時:2019年6月11日(火)
会場:Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
招待数:各公演300名様
1st STAGE Open18:30/Start19:00
2nd STAGE Open20:30/Start21:00
※各回30分ほどを予定
※ご入場時に別途ドリンク代(¥600)
詳細並びに注意事項はmiletオフィシャルサイトにて