IZ*ONE、BLACKPINK、TWICE……注目のK-POPガールズグループが新作で打ち出した旬の勢い
TWICE『FANCY YOU』(2019年4月22日リリース)
韓国で7枚目となるTWICEのミニアルバムは、イギリスの女性シンガー・チャーリーXCXを筆頭に有名作曲家が多数参加、クールな装いの「GIRLS LIKE US」やファンキーな「TURN IT UP」といったメンバー自ら歌詞を手掛けた曲を中心に構成するなど、今まで以上に音楽的な面を強化している。
注目はリードトラックの「FANCY」。2019年のファッションのトレンドであるネオンカラーを意識したというサウンドとビジュアルはフレッシュではあるが、曲作りに参加しているのは「Like OOH-AHH(優雅に)」、「CHEER UP」、「TT」といった一連のヒット曲でおなじみのブラック・アイド・ピルスンなので、従来の路線を大きくは踏み外していない。冒頭こそセクシーに迫るものの、サビに入ると明るく元気ないつものTWICEになる軽快なダンスポップで、あえて言うならスカ風のギターリフが新味だろうか。
同じ時期にリリースされた3枚だが、それぞれの目的は明らかに違う。IZ*ONEはイメージの定着、BLACKPINKはアメリカ進出への足掛かり、TWICEは現在のポジションの維持だ。サウンドも美意識も三者三様で、正直なところ、比較するのはあまり意味がない。
ただひとつ言えるのは、いずれのグループも(本人たちが自覚しているかどうかは定かではないが)、「〇〇らしく」「〇〇はこうあるべき」といった他人の意見に惑わされることなく前を向いて活動している様子が新作を通して垣間見えるということだ。その力強い姿が国境を超えて愛される理由の一つであることは間違いないだろう。
旬の勢いを感じさせるアルバムを、新たな旅立ちにふさわしい季節である春にリリースしたIZ*ONE、BLACKPINK、TWICEの3組。彼女たちの活躍のおかげで、2019年のK-POPシーンも昨年以上に盛り上がりそうな気配を見せている。
■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。