欅坂46、3rdアニラなぜ“笑顔”溢れる公演に? 長濱ねるを写し出す「100年待てば」を軸に考える

 欅坂46が、デビュー3周年を記念して、4月4日から6日までの3日間にわたり、『欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』を開催した。アニバーサリーライブ(以下、アニラ)初の大阪での公演に加え、初のライブビューイングも行われた本公演。全国のファンに向けて新しい欅坂の景色を見せるライブとなった。

欅坂46『黒い羊』(通常盤)

 3年間のたくさんの思いが詰まった今回のライブでは、卒業を発表している長濱ねるの残りわずかなステージということもあり、多くの欅坂ファンが注目していた印象だ。蓋を開けてみると、リリースしたばかりの新曲「黒い羊」のパフォーマンスはなく、アンコールでは乃木坂46の「シンクロニシティ」を披露するなど、いつもの欅坂のライブとは違った趣になっていた。尾関梨香はブログで「今回のセットリストはとにかくずっと笑っていられる楽曲が多かった!」と綴り、キャプテン菅井友香もまた『オテンキのり&欅坂46菅井友香のレコメン!』(文化放送)で「今回お祝いというのもテーマで。来て下さった皆さんに楽しんでもらえてたら、それだけでもありがたいなって思ってます」「純粋に今回は表現することを楽しんでほしいって制作の方も言ってくださって」とコメント。観客が笑顔になれるセットリストや演出は意図的だったことが伺える。実際にライブビューイングで観ていたが、今までのライブの中でグループ全体が最もリラックスしていたように感じた。

 今回のアニラも欅坂の歴史と今を知ることができる様々な演出が施されていたため、すべてが見せ場だったことは間違いない。だが、長濱を軸に考えるなら、ライブでお馴染みの彼女のソロ曲「100年待てば」が特に印象的だった。長濱の欅坂での境遇を表現した曲が「乗り遅れたバス」なら、「100年待てば」は彼女自身を写し出したような代名詞とも言える楽曲だ。欅坂の中では珍しく、ポップでキュートな曲調で、グループの張り詰めた世界観を和らげるような長濱の存在とリンクする。長濱がけやき坂46(以下、ひらがなけやき/現・日向坂46)との兼任から欅坂に専任となった後、ひらがなけやきが初の武道館単独ライブを行った際には、メンバー全員で同曲を披露。長濱がいなくても、彼女の存在感はひらがなけやきにとって大きく、「100年待てば」を通して多幸感溢れる空間を作り出していた。

 2ndアニラの後、『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46』のインタビューで、長濱は「100年待てば」について、「ライブにいらっしゃるお客さんは、漢字欅のクールな雰囲気が大好きな方がほぼほぼだと思うので、自分がソロやユニットでああいうポップな世界観を表現することで、そういう全体の雰囲気を壊してしまわないかと不安だったんです。本当にガラッと変わるので」と語っている。確かに、ウサギの着ぐるみダンサーや風船の演出など、長濱の振り切れたパフォーマンスは欅坂の中で異質だったが、2ndアニラは平手が不在という不安定な状況だったため、彼女の世界観が一種の救いのようなアクセントとなり、結果的に大正解だったように思う。また2ndアニラは明るいユニット曲も多数披露したことから、長濱は「今までクールな欅坂の曲しか知らなかった人が、今回のライブで『欅坂って明るい曲もあるんだ』と思ってもらえたと思う」と口にしていた。

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