ぱいぱいでか美が姫乃たまに明かす、“普通”の半生を語る意味「人を大事にしていてたらうまくいく」

ぱいぱいでか美、姫乃たまに本音トーク

 ぱいぱいでか美が初の著書『桃色の半生!〜仲井優希がぱいぱいでか美になるまで〜』(リットーミュージック)を上梓した。タイトル通り、学生時代から『有吉反省会』(日本テレビ系)出演、そして現在に至るまでの半生を記した内容だ。著書発売を機に、以前より彼女と交流がある地下アイドル/ライターの姫乃たまによるインタビューを企画。共にステージに立った経験を持ち、互いの活躍を見守ってきた2人ならではのトークが展開された。(編集部)

ぱいぱいでか美「おばあちゃんになるまで、できる限りはやっていく」

姫乃たま(以下、姫乃):改めて本を読んで、私とでか美ちゃんは同世代だけど真逆だな、と思って。でも、久しぶりにクラスの席近い女の子からもらった手紙を読んだみたいな感じがして、胸にくるものがありました。文章もすごい素直で。

ぱいぱいでか美(以下、でか美):こうやって(長方形に)折られてる手紙ね(笑)。私は自伝を出すには向いていないタイプだと思って書いていました。本当に平和すぎて、いいのかなと思ったんですけど、普通の人間が普通に頑張って暮らしているのも、読んだ人を元気付けられるならそれでいいかな、って。

姫乃:そこまで言うほど“普通”でもない気が……。

でか美:本当に? でもこういう本を出す人って、どこかで不良になっちゃったり、人気絶頂から転落したりという展開が多いイメージでした。

姫乃:そういう特別さと比べると、普通ではあるけど……。とは言え、それでも本を出そうと思ったのはどうして?

でか美:「ぱいぱいでか美を何者か知らない人が多いので、半生を書きませんか?」と言ってくださって、「耳マン」で連載をしていて。最初から書籍にできればいいですよねとは話していたんです。結構評判がよくて、じゃあ書籍化しましょうか、と。

姫乃:あっ、1回楽屋で見たんだけど、携帯で書いてたよね?

でか美:全部iPhoneで書いてる。パソコンで書いたことないです。

姫乃:だから手紙っぽさがあるのかもしれない。

でか美:自分の話はどうしても話し口調でしか書けなくて、読者に話しかける感じになってるかも。普段本を読まない人にも読みやすいって言ってもらえました。

姫乃:でか美ちゃんはいわゆるスクールカースト上位の明るい気質だけど、オタクやサブカルの子とも喋れるから、そういう子がくれた手紙っぽくて。あとカバー裏がプロフィール帳みたいなデザインになっていて、表紙も浜崎あゆみのオマージュで、こういう世代観と“芸能っぽさ”はでか美ちゃんの強みで、すごいなって思っています、いつも。

でか美:ちょっと大げさだけど、“陽キャの孤独”みたいなのがずっとある人生だから、それも伝わればいいなって。学生の時はいわゆる“陽キャ”と教室で漫画描いたりしているタイプの子の橋渡し的なポジションをやってて。どっちとも仲良くしてたから、両方わかるというか。

姫乃:私もでか美ちゃんと同じような感じで下北沢で活動してきて、途中で鬱になったところまでは一緒なんだけど、でか美ちゃんの鬱にはすごい加藤ミリヤを感じる(笑)。

でか美:あはは。ギャルっぽいってことか。高校の時の鬱は受け入れるまで時間がかかったんです。でも専門学生になってからぶり返した時は、しんどかったけど風邪みたいな感じがした。本には一応書いたけど、実はそこまで重く受け止めてなかったのかも。

姫乃:1回底を打つと強いよね。今回本を書いてみて変わったり、思い出したりしたことってある?

でか美:そういうスタンスで生きているつもりはなかったけど、人に対する感謝が強いことに気づきました。人のおかげで生き長らえてきたな、という感覚はあったけど、ここまであったのかって。今年28になるのに、「友達最高」みたいな気持ちがすごくて。ちょっとの時間でも人に会いに行ったりするし、本を書いたおかげで前よりフットワークが軽くなった。

姫乃:前から軽かったけど、さらに。

でか美:前は今よりも会う人をかなり選んでたかも。すごい傾斜が緩い坂だけど、私は人生で下ったことはないなと思って。このままずっと登り続けてたら、実はすごく高い山に登れているかもしれない。だから、この調子でやっていけたらいいなって。本を出せることも本当に色々な人のおかげでもあるし。書籍化しますって発表した時の反響も大きくて。これからも機会があったら本を出せたらいいなと思うし、6月には初めて舞台に出るから、色々挑戦していこうって思った。

姫乃:おー、楽しみ。本の最後の(博多)大吉さんとの対談も、「あの知らない女の子誰?」「あの子、ぱいぱいでか美っていうんだよ」っていう『有吉反省会』のやり取りについての話題から始まって、「誰だこの子?」っていう怪しい魅力を今後どう転がしていくかというテーマに広がっていって。すごい鋭い話だったなあ。

でか美:さすが、大吉さんすごいなと思った。対談の中でも「わけわからないまま生きていけばいいと思うよ」みたいに言ってくれて。だから現状維持とは違うけど、人生このままでいいな、と。名前が“ぱいぱいでか美”だから、「いつまで続けるの?」とよく言われるんです。でもおばあちゃんになるまで、できる限りはやっていく。先のことはわからないけど、自分の意思でやめることはない気がします。

姫乃:出版してから反響とかありますか? ギャルとか。

でか美:今までの活動で一番わかりやすく反応がある。今って私たちが思っている以上に、音楽が趣味じゃない人からしたらCDを買うとか、お金を払ってライブハウスに来るというのが結構なハードルみたいで。でも出版イベントでは、そのハードルがぐっと下がってるのを感じます。

姫乃:あー、そうねえ。本だったら買おうか、みたいな。

でか美:そうそう。自分はずっと音楽が趣味だったからわからない感覚で。だからテレビで見てぱいぱいでか美ちゃん好きなんだよね、みたいな人が買ってくれたり、会いに来てくれる機会をもっと増やしたいなと思う。ライブハウスでのライブのハードルを下げるのは難しいから、ショッピングモールでイベントできるような人になったら一番いいんだろうなぁ。

姫乃:ふぬふぬ。

でか美:歌詞や曲って一番素直な感じが出せるから、自分の軸として音楽活動はずっと続けていきたい。でもそこにたどり着くまでの間口や道筋を、もっといっぱい作っておけるぱいぱいでか美になっていきたいですね。悩むことはあるけど楽しいから、やめたいって思ったこともそんなにないし。側から見たら挫折や危機でも、自分はそんなにそう感じてなくて。だからこの名前も受け入れられたような気がします。

姫乃:歌って踊れるバンドウーマンだった頃から、覚悟を決めるためにバイトをやめた時期とか、でか美ちゃんとは友達だったから、改めて当時のことを文章で読んで、勝手に感慨深くなってしまった……。

でか美:こっちの世界ではまとも担当なんだけど、バイトもバックれちゃったし、就活もしたことないし、本当は全然ダメなの。

姫乃:そこが愛おしいところだよね。元々でか美ちゃんはアイドル好きなので、ファンの気持ちもわかると思うんだけど、自分のファンとはどう付き合っていますか?

でか美:会いに来てまでくれるファンの母数が少ないから悩みがないのもあるかもしれないけど、大きなトラブルは起きたことなくて。私がアイドルを名乗らずにタレントですって言って、元彼の話とかもするから、女性としての期待をさせないというか。

姫乃:ふぬ。

でか美:そういう期待をさせちゃうのは罪なことだな、と思ってるから。男友達と飲んでるのとかもSNSに載せるし。そこを乗り越えて“ガチ恋”してくる人って、自分で気持ちを処理できているから、そんなにトラブルは起きないのかも。これからもファンが増えていったら嬉しいなと思うけど、例えばたくさんテレビに出れるようになったりしても、直接会う機会は絶対なくせない。

姫乃:難しいけどそうだよね。藤田ニコルさんがTwitterで、ファンをやめるっていう報告が辛いと言っていて。リプライ欄を見たら、彼女のことをコンテンツとしてしか見てない人も多いんだな、と。

でか美:芸能人はそう見られがちかもね。私はリプ自体全然こないよ。私がSNS上で厳しいからかな。たまにInstagramのDMとかは来るけど、普通に可愛い感じの内容で。でもどれだけコンテンツとして見られても、自分と周りの人が「私のことを人間と思っていれば大丈夫」って思うようにしてる。

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