鳥居咲子の新譜キュレーション

Jvcki Wai、GIRIBOY、Keith Ape……企画力やサウンドで個性発揮した韓国ヒップホップ新譜6選

PENOMECO『Garden』

 昨年から動きが活発なPENOMECOの新曲「No.5(Feat. Crush)」は大衆性の高いサウンドで勝負。ZICO、DEANなどのスターたちと活動を共にしながらも先手を取られ気味だったが、ここに来て巻き返しを図り始めた。テレビ出演や精力的なリリース活動を通して着実に結果を残している。年末にリリースした1st EP『Garden』はオシャレで先鋭的なビートで統一。中でもPENOMECO最大の持ち味である尖った声質と滑舌の良さがよく生かされたこの曲は、爽やかで躍動感あふれるビートが心地よくて思わず身体を揺らしてしまう。盟友Crushの伸びやかな歌声もサウンドとの相性が抜群だ。

PENOMECO 페노메코 'No.5 (Feat. Crush)' MV
SUPERBEE『Heu ! (Full Version)』

 最後にラップサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』で誕生した曲をご紹介。韓国で絶大な人気を誇る同番組は、2018年に早くも7度目のシーズンを迎えた。その常連参加者であるSUPERBEEは、今回1万人を超える応募者の中からセミファイナル(TOP 6)にまで残るという健闘ぶり。先日は自主レーベルの設立を発表し、期待の新人を立て続けに迎え入れて話題をかっさらうなど経営者としてもなかなかの手腕だ。そんな彼の最新シングルは、番組内のミッションで披露して人気を博した「Heu !」のフルバージョン。ノリの良いビートに乗せて何度も反復される「heu!」や「yeah yeah」の声は中毒性たっぷりで、ライブで一緒に盛り上がりたくなる。

수퍼비 (SUPERBEE) - "Heu !" (Official Music Video)

 以上、この冬を代表する韓国ヒップホップの中から6曲をご紹介した。ここに登場した総勢13名のアーティストのうち、「Dding」に参加した19歳のOsshun Gumを筆頭に9名がアンダー25だ。上の世代よりもトレンドに追従することへの意欲が高く、さらに制作スピードも早いため、あっという間に若い世代が支配力を広げていった。この傾向がいつまで続くのか、目が離せない。


■鳥居咲子
韓国ヒップホップ・キュレーター。ライブ主催、記事執筆、メディア出演、楽曲リリースのコーディネートなど韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。
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