『LAWSON presents TrySail Live Tour 2019 "The TrySail Odyssey"』千葉公演レポート
TrySailが目指したユニットとしての“次なる表現” 長旅への出航告げたツアー初日公演レポ
TrySailが2月23日、千葉・幕張メッセ イベントホールにて、『LAWSON presents TrySail Live Tour 2019 "The TrySail Odyssey"』を開催した。
TrySailは、麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜による声優ユニット。今回の全国ツアーは、2月27日発売の新アルバム『TryAgain』を携えてのもの。“Odyssey”(=長い冒険の旅)と掲げたタイトル通り、ユニット史上最大規模での開催となっている。また、『TryAgain』のコンセプトは、“跳躍”や“壁を超える”こと。その志向するところは、新たなTrySailを“聴かせる”ことにあるという。なお、同作は本日2月24日にライブ会場にて予約購入すると、特典クリアファイルを入手できることも記しておきたい。
彼女たちにとって、またひとつ新たな挑戦を迎える今回の全国ツアー。メンバーは今回のステージに臨む上で、初日公演という要素以外でも、普段とは異なる緊張感を覚えていたようだ。それもそのはず、この2日間の千葉公演のみ、ツアーを通じてアルバムリリースに先駆けてのステージとなる。しかし、夏川がライブ序盤に語った通り、その不安も単なる杞憂に過ぎなかったという。実際に、この日のライブはTrySailが備えるユニットとしての“強度”のみならず、彼女たちが自身の表現をさらにアップデートしようとする意志さえ感じられた。
この日のスタートナンバーは「WANTED GIRL」。サビ終盤の〈最高のショータイムを さあ始めましょ!〉というフレーズは、ライブの開幕にはもちろん、新たな“航海”への船出にも相応しい。続く「CODING」は、フューチャーベース的なアプローチを攻めた楽曲。シンセサイザーの分厚いサウンドに対して、彼女たちも負けないくらいの力強い歌声を響かせる。ここで印象に残っているのが、その声質から感じられた個人単位の“地力”である。
メンバー全員がソロアーティストとしても活動するTrySail。それぞれが日々、着実にレベルアップを重ねているためか、この日の歌声もまっすぐで芯のあるものだった。その上で、可愛らしい甘めの声でファンを魅了する麻倉、芯の通ったクールな歌声が印象に残る雨宮、パワフルで伸びやかな歌声を持つ夏川など、それぞれが独自の特徴も兼ね備えている。TrySailは全員が“自立したシンガー”であるからこそ、パフォーマンスの面でも“三位一体”と評して申し分ない。ここでは、そんな彼女たちの歌声とダンスが、類まれな力強さを備える理由を改めて実感させられた。
そこからの「未来キュレーション」もまた、ユニットならではの振り付けを楽しめるパートに。同楽曲では、メンバーがブギーなトラックの上で、拍子に対してゆとりあるダンスを披露。その一方、直前に歌唱された「CODING」は、均一な四つ打ちビートのダンスチューン。こちらの楽曲では、各拍子に対して正確に振り付けを収め切ることで、キレのあるパフォーマンスに。どちらの楽曲も、3人が次々とポジションを入れ替えるのが見ていて面白く、ダンスの側面でもまた、ユニットとしての振り幅の広さを体感することができた。