銀杏BOYZの二度目の日本武道館公演にあった“誕生日みたいな、葬式みたいな、結婚式みたいな気持ち”

 何をやってもいいから、なんとかして、とにかく生き延びてほしいーーというメッセージを、峯田らしい言い方で伝えてから、「あんたたちのことなんてとっくに好きじゃないんだよ。ただ愛してるだけなんだよ」というセリフを決めて「ぽあだむ」に入ったが、歌詞を間違えてしまい曲をストップ。「あんたたちのことなんて~」のくだりからやり直し、二度目は無事に曲の最後まで走り切る。

 ラストは「もしも君が泣くならば」。超満員の武道館、この日何度目かのピークを迎える。歌い終えた峯田は、「どうか世界がひとつになりませんように」と、このライブのタイトルを口にし、「僕ときみが、僕ときみのままでいられますように」とひとこと足してからステージを下りた。

 峯田がGOING STEADYで音楽を始めて20周年のタイミングだったこと。「エンジェルベイビー」「骨」「恋は永遠」のシングル3枚=「恋とロックの三部作」をリリースした直後だったこと。サポートメンバーを集めてバンドでのライブを再開し、1年以上かけてそれを固めて来た集大成的な時期だったことーー。

 というようないろんな意味合いが、前回の銀杏BOYZ初日本武道館にはあった。でも今回は新曲のリリースとかもなかったし、そのへんちょっと位置付けが曖昧かもなあ、という思いが、正直、観る前はあったのだが、終わってみると、僕のそんな気持ちはきれいに消えていた。

 要は、今、ここでやるべき、観るべき価値だけでできたライブだった、ということだ。観ながらいろんなことを思い出したし、これからのいろんなことも考えた。銀杏BOYZに関しても、自分個人に関しても。

 2018年、リリースは一回目の武道館のライブ映像作品『デイドリーム 祈り』しかなかったものの、ツアーがあったりしてライブは比較的活発だったから、というのも理由だろうけど、それだけではない。峯田にとって銀杏BOYZが絶対に必要であること、このバンドでライブをやることが不可欠であることが、一本一本からひしひしと伝わってくるステージを、今の峯田がやっているからだと思う。で、もちろん、こちらにとっても絶対必要だし、銀杏BOYZ。改めてそう感じさせる、掛け値なしにすばらしいライブだった。

(文=兵庫慎司/写真=松木宏祐)

■公演情報
銀杏BOYZ
『世界がひとつになりませんように』
2019年1月15日@日本武道館
■SET LIST■
1.生きたい
2.若者たち
3.駆け抜けて性春
4.GOD SAVES THE わーるど
5.骨
6.恋は永遠
7.夢で逢えたら
8.ナイトライダー
9.I DON'T WANNA DIE FOREVER
10.漂流教室
11.新訳 銀河鉄道の夜
12.NO FUTURE NO CRY
13.SEXTEEN
14.スローバラード(RCサクセション)
15.光
16.ボーイズ・オン・ザ・ラン
17.BABY BABY
18.僕たちは世界を変えることができない
19.エンジェルベイビー
<ENCORE>
1.ぽあだむ
2.もしも君が泣くならば

銀杏BOYZ オフィシャルサイト

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