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銀杏BOYZ、8年ぶりの全国ツアーファイナル公演レポ 峯田和伸の活動史20年が凝縮された夜

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 この夏、『世界平和祈願ツアー 2016』を行った銀杏BOYZ。彼らにとって全国ツアーは実に8年ぶりのこと。全チケットは早々に完売し、各地大盛況であったと聞く。そんな中おこなわれた8月17日の単独公演「東京の銀杏好きの集まり」は、このツアーの最終日。同ツアーの追加公演にあたる。会場は中野サンプラザ。同町に長く住み続けているメンバーの峯田和伸(ボーカル&ギター)にとっても、一際、思い入れのある場所だ。ライブでは、峯田が音楽活動を始めてからこの20年間で作ったGOING STEADY~銀杏BOYZの楽曲が、今の彼の想いも込められて、今の銀杏BOYZとして歌い放たれた。

 この日のライブは、北海道での公演を終え、スタッフと街を徘徊し、市井の人たちと何ら変わらない一市民・峯田和伸を映し出す映像からスタートした。終わるや否や、無伴奏による峯田による「人間」の生々しい歌声が場内に響き渡る。スポットライトの当たった先には、客席扉内でハンドマイクにて歌う峯田の姿が…。そのまま客席を歌いながら徘徊。会場の大合唱に迎えられる中、ステージに上がり、アコギを持ち、弾き語りにて、歌い放つように同曲を伝える。続いては、「生きたい」。<それでも生きなくてはならない!!>そんな人々の一場面一場面がアコギの硬いカッティングに乗せられ、痛々しくストーリーテリングされていく。中盤からサポートメンバー、山本幹宗(ギター:ex.The Cigavettes)、藤原寛(ベース : AL)、後藤大樹(ドラム : AL)が加わり、ガツンとしたバンドサウンドに豹変。ステージ一面が赤いライティングに包まれると、曲の力強さと共に心境移入も急変。希望が悲痛を塗り去ってしまうように、<生>へのバイタリティがむくむくと湧き上がってくる。峯田もまるで希望に向けているようにハンドマイクに持ち替えた片手を、ここではないどこかへと伸ばしている。

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 峯田がギターをエレキに持ち替え、「若者たち」に転じると、ライブがいきなり走り出す。ステージから土煙を上げて場内の隅々にまで飛びかかってくる唄と、それと並走するかのように一緒に歌う会場。演奏スタイルやサウンドは変われど、ステージとオーディエンスとの関係性は全く初出の頃のままだ。GOING STEADY時代の「DON’T TRUST OVER THIRTY」の再アレンジ曲「大人全滅」では、感極まった峯田が早くも場内に飛び込み、各席関係なく、そこにみんなが群がり、自分の歌と言わんばかりに一緒に歌う。

 曲を終えたあと飛び込んでくる愛情と愛しさのこもった罵声が、まるで、“待ってたよ!!””お帰り!!”“また逢えて嬉しい!!”そんな声援のように温かく響く。その中、峯田は「8年ぶりの遠距離恋愛のような今回の全国ツアーを回ってきて、各地で飛んできた野次や罵詈雑言が何よりも嬉しかった。ライヴ活動をしていない時期も、その声を夢見ていた。こうしてツアーに回れて良かった」と、全国ツアーを振り返り語る。それ以上に待っていたであろう会場からは、それを歓迎する無数の声援や感謝の言葉がステージに向け贈られた。

 あの頃に戻ったり振り返ったり、今の心境を込めながら、その時々の少年峯田和伸とすでにアラフォーに差し掛かっている峯田がその時々で顔をのぞかせた、この日。

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 大学進学時の上京の際に、近所に住んでいたタカシ君からもらったアコギで、上京直後に作った中の1曲だったと告げ歌われた、GOING STEADY時代の「YOU & I」は、あの頃の同曲の中心にあった刹那的な永遠性が、時を経て、挫折や現実を知り、夢や幻想と悟りつつも、どこかそれを今でも信じていたい、そんな「VS.THE WORLD」の副題が付けられ、今の気持ちを交え歌われた。続く「佳代」は、上京し、高円寺に住んでいた時に、初めて付き合ったという彼女に向けて作られた曲。アコギ一本で歌われた同曲も、一人ひとりが、<自分の愛しい人=自分の中の佳代>を思い浮かべ、その人へと想いを馳せさせた。

「骨」では、藤原のコーラスも入り、歌にふくよかさが寄与されていく。その新曲「骨」は、ドラマ『奇跡の人』(NHK BS)のエンディングに流れていた際とは趣きを変え、バンドサウンドを伴って鳴らされた。ドラマ時の弾き語りによる鬼気迫るものから、よりポップさを擁し、これまた違った感じに響いたのも印象的であった。

 峯田和伸の唄は、歌の持つ生命力やバイタリティもだが、ロマンティシズムも大きな魅力の一つ。それを思い起こさせたくれたのが、「夢で逢えたら」であった。ストレートな8ビートに乗せて、ロマンティックで一途でピュアな気持ちが飛び込んでくる。

 どっしりとしたフロアタムを活かしたダイナミズム溢れる後藤のドラムに、ちょっとしたクロっぽさを交えた藤原のベース。その安定したリズム隊に、フリーキーなギターフォームの山本のギターが絡むように自由に泳ぎ回るのが、このバンドメンバーの特徴。そこに決して予定調和にならない峯田の歌と、どう展開するか分からない構成ながらキチンとキメのポイントが作られていく。その化学変化には、曲毎に感心させられるものがあった。

「この曲をサンプラザで歌ってみたかった」とプレイされた「BABY BABY」では、<この一瞬よ永遠に続いてくれ!!>そんな刹那な気持ちと共に会場中も合わせて大合唱をする。

「ツアーに出たくても、そのタイミングでは既にメンバーも居なく、一人になり、出られなかった。こうしてまたギター、ベース、ドラムとバンドで全国を回ることが出来ました。次の曲は、より気持ちを込めて歌います」の言葉に続き歌われた「新訳 銀河鉄道の夜」の際には、満天の星空を彷彿とさせるライティングとミラーボールが回るファンタジックな雰囲気の中での歌唱が印象的であった。

      

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