水瀬いのりが語る、表現への意欲と理想像 「器の大きな存在になりたい」

水瀬いのりが語る、表現への意欲

自分の魅せ方を、またひとつパワーアップさせたい

ーーさて、今回カップリングも2曲収録されていますが、そのうち「君色プロローグ」の最初の印象は?

水瀬:この曲はどこか懐かしさを感じて、オシャレでキメすぎていないメロディラインが、すごくシンプルに自分の胸に届いたんです。しかも「次の音がこうなってほしいな」とか「サビの前、こんなブレイクがほしいな」とか思いながら聴いていたとおりに音楽が進んでいって、自分が求めてる曲調のタイプや好きな曲のジャンルに近いと思ったんです。特にAメロ・Bメロあたりはすごく好きで、デモの時点から「何度も聴きたいな」と思うメロディでした。

ーーこういったテイストの楽曲を歌う機会が多いように思います。

水瀬:そうですね。やっぱり自分の好きなジャンルというのもあって、こういうミディアムテンポの曲は聴いていてすごく心地良いんです。聴きたいワードはちゃんと耳に入ってきますし、それ以外はいい意味でちゃんと流れていくように聴けるので、すごく好きなんです。

ーーこの曲は片思いを描いたラブソングですが、歌う際には歌詞のヒロイン像みたいなものも、明確に頭にあったのでしょうか?

水瀬:ありました。タイトルに「プロローグ」っていう言葉も入っていますし、まだ1番2番では自分の想いを伝えていなくて、落ちサビに〈今すぐ伝えたくなる〉っていう言葉がくるんです。なので、そこまでは全部自分の心の中に書き留めてる想いなんだなと思ったので、世界に向けて手を広げて歌うというよりも、苦しくてもどかしくて切なくて、でもそういう片思い中のこの気持ちすらもぎゅっと抱き締めたくなるような愛しさがあって……という優しい気持ちを思い浮かべて、それを自分の中だけにとどめておくようなイメージで歌いました。

ーーそしてもう1曲のカップリング曲「Snow White」もラブソングではありますが、また恋の段階が少し違いますよね。

水瀬:はい。この楽曲に関しては、リリース時期に合わせて冬の歌が歌いたい、というところから選ばせていただきました。でもひとくちに“冬の歌”といってもいろんなジャンルがあると思うんですけど、そのなかで「とびきり幸せな冬を歌いたい」というのがあって、歌詞自体もこの世界の中でふたりだけにスポットライトが当たっているようなものにしたいな、というお願いをして書いていただいた曲なんです。

ーーそれが踏まえられた歌詞に初めて触れたときには、どう感じましたか?

水瀬:想像よりも2~3割増しの幸せムードがあったので、リズムに乗せるとスラスラっと歌えるんですけど、なかなか音読するとなると恥ずかしいなぁと思う歌詞になっていて(笑)。でも幸せすぎるふたりには、それぐらいがお似合いな温度だと思うんですよね。なので冬の曲ではあるんですけどちょっと温かな気持ちになる、頬が染まるような曲になっていると思います。

ーー水瀬さんの歌声も、とてもハッピーなものになっている印象がありました。

水瀬:そうですね。キーも高めなのでサビのアプローチはレコーディングでいろいろ試したんですけど、普段だったら地声で行く高さも、今回はあえてサビでは裏声と地声とを半々ぐらいのミックスにしまして。冬の繊細な空気感を表したり、熱さを和らげる要素として息を多めに歌ったりと、工夫しながら歌っていきました。

ーーそのほかにも、歌う際に気をつけたポイントはありましたか?

水瀬:大サビ最初の〈やっと言えたよ〉の部分は、そこだけでリテイクがあった覚えがあります。というのも、しっかり言ってもらいたい派と、ちょっと照れくさそうな感じで言ってもらいたい派でスタッフさんの中でも意見が割れたんです。どちらのパターンでも録ってみて何度か聴き比べをしたんですけど、恥ずかしいので歌った本人の前ではやめてよと思いましたね(笑)。

ーーお話を聞いていると、表題曲でサビの選択に関わっていたり、サウンドに対するこだわりも強いように思ったのですが。

水瀬:それは1枚目のシングルからずっと、必ずまわりのみなさんと一緒に考えながら制作を進めてきたので、自ずと意見を述べなくてはいけない場があったからだと思います。私自身は楽器も全然弾けないですし楽譜も読めないので、細かいことは全然わからないんですけど、音源を聴いて「もうちょっと隙間があるほうがうれしいかも」とか、歌い手の目線で「ここの歌詞は、この語尾だと伸ばしづらいかも」みたいに私なりの目線で思ったことを伝えていくことで制作に参加させていただいています。

ーーアーティスト活動も3周年を迎えました。今現在、ご自身の方向性や今後なりたい存在などは、思い描いていますか?

水瀬:ライブなどでの自分の魅せ方を、またひとつパワーアップさせたいなとは思っていて。身長もそんなに大きくないですし、大きなステージになればなるほどもっともっと動いて表現しなくちゃ、ということを昨年はすごく思ったので、ステージに立ったときにみなさんの応援や声援をこぼすことなく受け止められるような、器の大きな存在になりたいです。かわいいというよりかは、かっこいいとかついていきたくなる、みたいな存在になっていけたらと思っているので、ステージに立つと大きく見えるとか、普段とは別人みたい、みたいな言葉をかけてもらえるような存在に……時間はかかると思うんですけど、なっていく準備をしたいなと思います。

ーーそういった意味で、理想の方は今いますか?

水瀬:やっぱり全力で楽しそうに歌う方は、すごく素敵だと思います。同じレーベルの水樹奈々さんも、自分がこの世界に憧れたきっかけのひとりの、本当に大好きな先輩ですし。あとは同じ女性で言うと、aikoさんとか。ステージや演出も素敵なんですけど、身体ひとつで歌ってもあれだけ引き寄せられる存在感があって。aikoさんもとても小柄な女性なんですけど、歌うときに一瞬で楽曲の主人公になるのが、観ていて素晴らしいなと思って。ライブってもちろん歌を聴きたくて行くものだと思うんですけど、毎回同じもののないステージングをされる方で……CDでは物足りなくなる存在のひとりだな、と思っています。

ーーそういう存在に、自分もなりたい。

水瀬:そうですね。CDで聴いてもらうのももちろんうれしいですけど、「実際に生で歌ってるのを観ると、CDじゃ物足りないな」と思ってもらえるのがいちばんの理想かなと思うので、生で会いたい、生で聴きたいって言ってもらえる人になりたいです。

水瀬いのり『Wonder Caravan!』全曲試聴動画

(取材・文=須永兼次)

『Wonder Caravan!』

■リリース情報
『Wonder Caravan!』
発売:2019年1月23日(水)
価格:¥1,300(税抜)
初回封入特典:特製トレカ

<収録曲>
01. Wonder Caravan!
※TVアニメ「えんどろ~!」エンディングテーマ
02. 君色プロローグ
03. Snow White

オフィシャルサイト

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