まねきケチャ、今年は多くのチャンスに恵まれる1年に? 篠原葵加入後初となる大舞台を見て

 もう一つ舌を巻いたことといえば、松下玲緒菜と深瀬の歌唱力だろう。ずば抜けた歌唱力を持つ藤川千愛が卒業したことでより研ぎ澄まされた印象だ。圧巻の声量を会場に響き渡らせた。中盤で聞かせた「あたしの残りぜんぶあげる」「昨日のあたしに負けたくないの」は、これが際立つ楽曲に。一層パワフルになったダンスも相まって、ドラマチックな仕上がりになっていた。その後のMCで書き初めを披露するコーナーがあったのだが、深瀬がしたためたのは「チャレンジ」。「ありきたりなんですけど、いろんなことに挑戦していきたくて」と決意をにじませた。「たとえばスカイダイビング!」と言い、進行の石橋哲也から「そういうこと!? パフォーマンスじゃなくて!?」とツッコまれていたものの、「(経験を重ねて)強くなれそう!」と前向きに語る。たった1人の2期生が歌という武器と強さを身に着け、頼れる存在になる日も近そうだ。

 ちなみに、リーダーの中川美優の書き初めは「記憶」。「お酒で記憶を飛ばすことが多かったから、今年はそうならないように」と明かし、場内を沸かせた。不思議な魅力を持つ中川。終盤には、「去年も同じ時期にここでやったけど、去年よりガラガラだったら嫌だ、ダメだったって言われるのは嫌だって思ってた」と熱い胸の内を明かし、「残りあと少しも頑張ります」と宣言した。

 その宣言通り、「ありきたりな言葉で」からはじまった後半戦では、会場のボルテージは最高潮に。歌唱中、篠原に寄り添ったり全員で身体を寄せ合ったりと微笑ましい姿を見せた。そして「きみわずらい」で本編を終え、アンコールを受け「妄想桜」「相思い」「ワンチャンス」を披露。2度目の「ワンチャンス」は、別れを惜しむようにもう一度振りのレクチャーが行なわれ、先程よりシンクロ度の高いパフォーマンスを見せた。

 「5人で新しい夢を叶えていきたいです。今日がいいスタートになったと思います」。明るい表情でそう言ったのは、松下。これを象徴するかのように、5人は長く深いお辞儀でステージをあとにした。アイドルの解散が増えている今、長く愛され、続けていられるグループには理由がある。激動を経て、熱いファンに見守られている彼女たちの2019年は、きっと多くのチャンスに恵まれることだろう。

(取材・文=松本まゆげ/写真=高階裕幸、野田凌平)

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