ソウル・フラワー・ユニオン 中川敬、ロックンロールを続ける意義「一人ひとりの物語を歌いたい」

SFU中川敬、ロックンロールを続ける意義

音の渦を作り出して、人生を踊らせる。最高の労働や。 

ーー今やロックは音楽シーンではなんとなく旗色が悪いみたいな、そういう風潮もありますけど。何か思うことってありますか?

中川:旗色悪いでしょ。なんと言ってもCDが売れない時代やし、芸をやっても金にならないっていう。しかも人件費かかるしね。メンバーが居てスタッフが居て。ひとりか2人のユニットとかが楽やわね、やっぱりこういう時代は。プロトゥールスの中で絵描けばそれでいいわけやから。誰でも即席「アーティスト」。でも、俺は、バンドで面白いことをやることに意味を感じちゃってるから。ずっとね。

ーーロックにこだわってるっていう意識はありますか?

中川:いやいや、俺がバンドをやるとこうなっちゃうだけ。

ーーどうしようもなくロックであると。

中川:そうやね。ロックンロール。音の渦を作り出して、人生を踊らせる。最高の労働や。

ーーさらに言えば長い時間かけてアルバムをじっくり作って、みたいなのも、もう今の時代の流れのそぐわないかもしれない。そんな中で、ロックバンドをやって作品を作り続ける、苦労とかこだわりとか。

中川:苦労はこのまま朝まででも語れるけど(笑)。こだわりっていうか、面白味が体に沁みついてるから、やめることはちょっと考えられない。俺の場合、15までの「子ども時代」があって、16以降はずっと「バンド時代」やからね。

ーー身軽にやろうと思えば、弾き語りのソロが一番身軽にできるわけじゃないですか。お金もかからないし。

中川:弾き語りばっかりやってると、バンドやりたくなるし。弾き語りはかなり楽しいけどね。日本列島は小っちゃいとか言いながらも、ホント広いし、多様な文化があって。いろんな人らと出会って、土地土地で歌を歌って、そこの人らと飲んで、ひとりで知らない路地を歩く。かなり楽しんでる。まあ体中痛いけど(笑)。でもね、やっぱりバンドはやりたくなる。3カ月にいっぺんはやっぱりバンドのライブやりたい。例えば、1年ぐらい東京・大阪のワンマンライブは控えて、年に一回武道館あたりでバーンとやりますかとか、今そういうやり方をみんな選ぶやん。俺はたぶん無理やと思う。3カ月にいっぺんはやりたい。

ーー今後のソウル・フラワーはどうなっていくんですか?

中川:アルバム、1年半か2年に1枚は出していきたいなと思ってて。ただそのためには、制作費が必要でね、ズバリ。今回が好調やったら、次はすぐに取り掛かるよ。

ーーそれはどういうモチベーションなんですか?

中川:来年の1月からまた曲を書こうと思ってて。ソウル・フラワー・ユニオンの。どこまでそれを続けれるかな、みたいな。ソロも含めて、2010年ぐらいからあんまり休んでなくて。常に何かを制作してる状況が続いてる。いい感じなんよね。50歳超えて、70まであと20年で、4年に1枚やったら、70までにあと4、5作。ふと計算した日があってさ。それはかなり少ないやん、みたいな。

ーー年取ると、自分はあと何枚アルバム作れるか考えるってみなさんおっしゃいますよ。

中川:あ、ホント? みんながどう思ってるか俺は全然知らないけど、ほんとのところ、できたら1年に一作出したい、ソウル・フラワー・ユニオンで。メンバーのスケジュール、制作費…。曲はひたすら書き続けたいし。

ーー曲のネタに困ることはない。

中川:それもあるけど、何より、すごい好きやし、曲作るの。メンバーに送る弾き語りの音源が仕上がった瞬間のあの喜び。このあと10年ぐらい休んでいいんちゃうかっていうぐらいの達成感。贅沢な労働ですよ、これは。この労働が、もうちょっと金になればとは思うけど(笑)。ガンガン曲を書きたい。ホントに。もっと書きたい。

ーーいつからそう思うようになったんですか。

中川:ずっとそうやけどね。弾き語りも面白いし、バンドも充実してるから、以前より、よりそう思うようになったのかも。ヴァン・モリソンも半年に1枚ぐらい新譜出すでしょ、最近。気持ち、めっちゃわかる。あんな感じがいい。アルバムは毎年出したいね。誰かパトロンになってくれへんかな。大企業のトップとかが「中川さんの作品が世界に必要なんです! 我が社が出資します!」みたいな(笑)。

ソウル・フラワー・ユニオン - アルバム『バタフライ・アフェクツ』 [Trailer]

(取材・文=小野島大)

ソウル・フラワー・ユニオン『バタフライ・アフェクツ』

■リリース情報
『バタフライ・アフェクツ』
発売:2018年12月19日(水)
価格:¥2,800(税抜)
1. バタフライ・アフェクツ
2. この地上を愛で埋めろ
3. 最果てのバスターミナル
4. シングルハンド・キャッチ
5. 路地の鬼火
6. インシスト
7. エサに釣られるな
8. 愛の遊撃戦
9. ランタナの咲く方へ
10. 深い河の彼方から

■ライブ情報
『『ソウルフラワー中川敬・~SFUニューアルバム発売記念ツアー』~中川敬の弾き語りワンマン・ライヴ!』
12月21日(金) <京都>磔磔
2019年
1月3日(木) <愛知>安城市カゼノイチ
1月12日(土) <東京>代々木Zher the ZOO YOYOGI
1月13日(日) <埼玉>熊谷モルタルレコード2階
1月19日(土) <大阪>martha
1月26日(土) <香川>高松RUFFHOUSE
1月27日(日) <岡山>MOGLA
2月2日(土) <静岡>浜松市 KJホール
2月3日(日) <岐阜>関市 高橋商店
2月9日(土) <鹿児島>Bar MOJO
2月10日(日) <長崎>パニックパラダイス
2月16日(土) <奈良>奈良市ビバリーヒルズ
2月23日(土) <高知>高知市カクテルバーシャトー
2月24日(日) <愛媛>八幡浜スモーキードラゴン
3月1日(金) <福岡>博多Voodoo Lounge
3月2日(土) <広島>ヲルガン座
3月3日(日) <島根>出雲リベレイト
3月9日(土) <徳島>寅家
5月25日(土) <沖縄>那覇Output

『バタフライ・アフェクツ』特設サイト
オフィシャルサイト

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