森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.128

RADWIMPS、SKY-HI、ぼくりり……キャリアのターニングポイントとなる傑作新譜5選

 ジャンルの枠を完全に超えたRADWIMPSの約2年ぶりのニューアルバム、アーティスト活動の終了を宣言したぼくのりりっくのぼうよみのラストアルバム、まさかの再ブレイクを果たしたDA PUMPの新作など、キャリアを左右する5作品を紹介。大きなターニングポイントを迎えたアーティストたちの新たな傑作を、たっぷりと堪能してほしい。

RADWIMPS『ANTI ANTI GENERATION』

 「前前前世 [original ver.]」を含む大ヒットアルバム『人間開花』以来、約2年ぶりとなるRADWIMPS待望のフルアルバム『ANTI ANTI GENERATION』。シングル曲「サイハテアイニ」「洗脳」「カタルシスト」のほか、「IKIJIBIKI feat.Taka」「泣き出しそうだよ feat.あいみょん」といったコラボ楽曲、衝撃的な映像表現を含むMVが話題を集めている「PAPARAZZI〜*この物語はフィクションです〜」などを収めた本作は、ジャンルの融合がさらに加速。オルタナ、R&B、ヒップホップ、ジャズ、ネオソウルなどのテイストを貪欲に取り入れることで、もはや完全にロックバンドの枠を逸脱した作品に仕上がっている。サウンドメイク、リリック、映像などすべての領域において、賛否両論を巻き起こしながら新たな表現へ突き進むスタンス、それ自体がおどろくほどに刺激的だ。

PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~ RADWIMPS MV

SKY-HI『JAPRISON』

 タイトルの『JAPRISON』は“JAPAN +PRISON”と“JAPanese Rap IS ON”を意味する造語、つまりは“日本という名の監獄”と“日本のラップの現在地”を同時に示したアルバムというわけだ。あまりにもSKY-HIらしい問題意識を含んだ題名だが、実際に本作は、現在の日本にはびこる閉鎖的な雰囲気をリアルに反映させながら、著しい進化を遂げている日本語のラップミュージックの現在地を提示する作品としても成立している。K-HIPHOPアーティスト・Ja Mezzや<Hi-Lite Records>所属のプロデューサー・Yosiが参加しているのも本作の大きな意義。彼はいま、“アジア発のラッパー”としての存在感をさらに強めつつあるようだ。空気を読まないでガンガン突き進んでほしいと、切に願う。

SKY-HI / What a Wonderful World!! (Prod. SKY-HI) -Music Video-

ぼくのりりっくのぼうよみ『没落』(通常盤)

 2019年1月でアーティスト活動を終了するぼくのりりっくのぼうよみのラストアルバム『没落』から感じられるのは、音楽業界に対する嫌悪感でも“どうせ自分なんて”というニヒリズムでもなく、これまで積み重ねてきたキャリアと価値観を破壊し、揺るぎない独自の意志を備えた人間として生まれ変わりたいという切実な願いだ。最後に収録されている「超克」に象徴されるように、哲学者のニーチェが提唱した超人思想に通じる本作の在り方は、奥深いメッセージと最新鋭のヒップホップを融合させたぼくりりの音楽の最終形態であると同時に、「どんな形にせよ、この人は表現を続けるはずだ」という確信につながる。デビューから本作に至るプロセスを追体験できるベスト盤『人間』もぜひチェックしてほしい。

ぼくのりりっくのぼうよみ「没落」MV

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