キュウソネコカミは今いい状況を迎えているーー実直に音楽活動に臨んできたバンドの姿勢を追う

 12月5日リリースの、メジャーから3枚目となるニューアルバム『ギリ平成』は、リリックも曲調もアレンジも演奏も、すべての面で、何かが吹っ切れたかのような清々しさと勢いに満ちている。「推しのいる生活」「炊きあがれ召し上がれ」「米米米米(ベイマイベイベー)」といったナンセンス方向に振り切れた曲もあれば、「馬乗りマウンティング」のような、今のこの世の中の生きづらさをテーマにしたシリアスな曲もある。「The band」のように、自分たちの足元を確認しある意味宣言する曲もあるし、「ギリ昭和」のように自らの世代をテーマにした曲もある。

キュウソネコカミ - 「推しのいる生活」
【ラブコメで、LOVE米!?】クボタ LOVE米プロジェクト 特別映像「米米米米」
キュウソネコカミ - 「The band」MUSIC VIDEO(YouTube ver.)

 好きなことを好きなようにやればいい、「ファンはこういうの求めてるかも」「チャート的にはわかりやすい曲を作った方がいいかも」とか気にしなくてもいい、というような。ここまで自分たちがライブで積み重ねて来たことが実を結んでいる、間違っていなかった、という自信に裏打ちされた結果、そんな、風通しのよいアルバムになったのではないか。

 なおキュウソは、年明けの1月から4月までで33本を回るこのアルバムのリリースツアーがすでにアナウンスされていたが、11月21日新木場スタジオコーストのアンコールで、さらにその次のツアーが発表になった。5月と6月『試練のTAIMAN TOUR 2019』14本。12月から1月にかけての間、つまりリリースツアーが始まる前の時期は、Fear, and Loathing in Las VegasやBLUE ENCOUNTやHEY-SMITHのツアーのゲスト6本、イベントやフェス出演4本も控えている。つくづく、止まらない。

■兵庫慎司
1968年生まれ。音楽などのライター。「リアルサウンド」「SPICE」「DI:GA online」「ROCKIN’ON JAPAN」「週刊SPA!」「CREA」「KAMINOGE」などに寄稿中。フラワーカンパニーズとの共著『消えぞこない メンバーチェンジなし! 活動休止なし! ヒット曲なし! のバンドが結成26年で日本武道館ワンマンにたどりつく話』(リットーミュージック)が発売中。

※記事初出時、一部記載に誤りがございました。訂正してお詫びいたします。

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