欅坂46、“21人の絆”という呪縛から解放? けやき坂とのコラボから見えたグループの未来図
また、デビューの頃から漢字欅好きを公言している高本彩花は、今回のコラボについてブログで「ずっと傍で漢字さんの色んな活躍を見ていて だから、ひらがながそう簡単に入っちゃいけないっていうのはずっと思っていたので」と漢字欅に対するリスペクトを込めた思いを綴った。一方で2期生から唯一抜擢された渡邉美穂は「表現力はもちろん、ダンスのフリを徹底的に揃える意識など尊敬するところばかりでした」と漢字欅のメンバーが裏で努力していることを体感。「今回学んだことをしっかりひらがなけやきに持って帰って共有したい」(引用:渡邉美穂オフィシャルブログ)と続けた。改めて漢字欅のダンスのクオリティの高さを実感しただけでなく、舞台裏での交流がお互いを刺激し合うなど、見えないところでも大変意義のあるコラボだったことがわかる。
今の漢字欅に対するひらがなけやきは、アンダーではなく妹的な別のグループとして確立しているが、本来なら今回のコラボのように、漢字欅の空いたポジションにヘルプとして穴を埋めながら昇格していくというのが、従来の理想系であった。ただ、漢字欅は21人の絆を大事にしたことで、選抜制アイドルグループにはないエキセントリックな個性が出来上がり、ひらがなけやきもまたアンダーではなく別グループの道を選んだことで、今の人気を確立した事実がある。
今回のコラボで見えてきたのは、漢字欅から3人が卒業となったことで、必然的に21人の絆という呪縛から解放され、1期生の鎖国状態を終えようとしていることと、漢字欅メンバーの誰かが止むを得ず別の仕事が入ったとしても、パフォーマンスが可能だということ。今回のコラボは、彼女たちが今まで守り通してきたアイデンティティを崩すことでもあった。視聴者が思っている以上に“禁断のコラボ”だったのではないだろうか。ただその中から生まれた、平手友梨奈が後輩を引き連れて歌うという今までにない構図は実にかっこよく、その横でキレキレに踊る鈴本美愉の職人ぶりもいつも以上に逞しく見えた。パフォーマーとしての存在感の大きさを改めて知らしめ、これから後輩が入ってくるであろう漢字欅の未来図が見えたように思う。
3年連続で『NHK紅白歌合戦』への出場が決定し、「アンビバレント」が『第60回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)で優秀作品賞を受賞するなど、平成最後の年末も大いなる活躍が期待される漢字欅。卒業続きで漂う、寂しい雰囲気を払拭する意味でも、年末の音楽特番のスタートとも言える『ベストヒット歌謡祭』でのコラボは、グループにとって良いリフレッシュになったのではないだろうか。
(文=本 手)