ブシロード 木谷高明が語る、『バンドリ!』プロジェクトの軌跡と未来 「何十年も続く作品にしたい」

木谷高明が語る『バンドリ!』の軌跡

「RAISE A SUILENは女性版ONE OK ROCKを目指している」

【RAISE A SUILEN】「UNSTOPPABLE」ライブ映像【THE THIRD(仮)2ndライブ】

――ライブのほうのお話に戻ってしまうのですが、ポピパもだいぶライブも重ねてきました。彼女たちの演奏能力やパフォーマンスについては、どう感じられていますか?

木谷:両方とも上がっていますし、少し余裕まで感じられるんですよね。特に大塚(紗英)さんと西本さんのふたりは「職人ですか?」ぐらいのレベルになっていて。大塚さんは、アニサマ(『Animelo Summer Live 2018 “OK!”』)での「God Knows...」のギターソロもよかったですね。あれは「すげぇ!」って思った人も多いんじゃないかなと思います。それに大橋(彩香)さんと伊藤さんは笑顔がいいですよね。そして愛美さんはフロントマンとして全体的なバランスをうまく取りつつ、パフォーマンスを大切にして動きながら、メリハリをつけて演奏にも注力していて……だから、すごくバランスが取れたバンドだなぁと思いますよ。メンバーが変わったから仕方ない部分はあると思うんですけど、Roseliaとは演奏技術でちょっと差が開いちゃったかなと感じるくらい上達しています。でも、Roseliaはこれから新メンバーも入って、2~3カ月ぐらいはしっかりもう一度練習し直す時期になるんじゃないでしょうか。 もう一度合わせるところからスタートするのは大変だと思いますが、彼女たちのポテンシャルならさらなるスキルアップが可能だと期待しています。

――メンバーが変わると、呼吸から変わってしまいますからね。

木谷:そうですね。あとは3番目の実演バンド・RAISE A SUILEN(以下:RAS)も、先日THE THIRD(仮)名義でライブアルバムを出したんですが、おそらく純粋な演奏技術だけで言えば、RASが一番だと思いますね。ポピパも負けているわけではないと思いますが、ポピパとRASは名前が知られている日本のトップクラスのガールズバンドと並んでも遜色のない実力を持っていると思います。

ーーそのRASの構想は、どのように生まれたのでしょうか?

木谷:RASは元々僕が発案しました。『ガルパ』の他の3バンド(※「Pastell*Palettes」・「Afterglow」・「ハロー、ハッピーワールド!」。この3バンドは現在演奏は行っていない)を歌うときに、バックバンドがいないとカラオケになってしまう。かといって男性のバックバンドを入れたくはなかったから、まずはバックバンドを担当するグループを考えたんです。その流れで自分たちのオリジナル曲も歌ってもらおうか、と。

――このメンバーになったきっかけは何だったんでしょうか?

木谷:Raychellさんには『カードファイト!!ヴァンガード』(テレビ東京系)のエンディングテーマを歌ってもらったことがあったので、そこから去年行われた弊社の10周年ライブでも歌ってもらったんです。そのときにドラムの夏芽さんがサポートで手伝ってくれて、ギターを大塚さんが弾いてるのを見て「これでもう1バンド作ったらいいんじゃないの?」と思ったのが最初ですね。先日、5人目としてDJ担当の紡木吏佐さんが加入しました。彼女もすごく練習しているので、ライブなどの雰囲気作りが上手くて。しかも小さい頃にインターナショナルスクールに通っていたので、英語もできるんです。だから、歌・演奏・英語の三拍子が揃っているので実は海外展開も視野に入れていて。女性版ONE OK ROCKを目指してるんですけど……大袈裟すぎますか?(笑)。

――いえいえ、そんなことは!

木谷:あと、RASには今後、バンドとしてもっと自由にやってもらおうかなと思っていて。来年はほかの作品の、それも他社作品のオープニングやエンディング曲を担当してもらいたいですね。そうやってポピパとRoseliaとの差別化もしていこうと考えていて、演奏や歌のスキル的にも彼女たちなら実現してくれると期待しています。それにRASって、身長差も含めてのアンバランスさがいいんですよ。初めて見る人でも、すぐに覚えてもらえると思うんです。

「『バンドリ!』はガンダム、『スタァライト』はエヴァに似ているんです」

【Roselia】「BLACK SHOUT」ライブ映像【BanG Dream! 5th☆LIVE】

――『バンドリ!』も含めて、最近の木谷さんが手掛けられているプロジェクトではやはり“音楽”というものが鍵になっているように思います。

木谷:音楽コンテンツは積極的に作っていくべきなんです。たとえ音楽コンテンツじゃなくても、音楽の要素を入れるべき。例えばアニメがヒットしたとしても、次に制作スタジオの枠を取れるのは3年後、早くて2年後です。その期間をどう埋めるかと言ったら、アプリゲームとライブしかないんです。だから音楽の要素は重要なんですね。同じ映像を100回観る人ってなかなかいないと思いますけど、同じ曲を100回聴く人はいますから。しかもイベントやライブとスマホって、相性もいいですし。

――その点は、今の文化に当ててだけではなく、昔のお仕事の中でも大事にされてきた部分のように思うのですが。

木谷:いや、そんなことはないんですよ。イベントが好きだからライブを行っていたというのはありますけど。前の会社(※株式会社ブロッコリー。木谷氏は同社の創業者でもある)でもライブやCDの発売をしていましたけど、それをあんまりビジネスにしようとは考えていなかった。今にして思うと、もっとやるべきでしたね。

――ミュージカルも『ギャラクシーエンジェル』でやられていましたし。

木谷:そうですね。でも『スタァライト』は、「男性が舞台を観るきっかけになった作品」って後々言われると思います。たぶん30代の男性に「舞台観たことある?」と聞いたら、そこまでいないと思うんです。でも、『スタァライト』のライブを観ると気づくんですよ。「『スタァライト』の舞台って歌いながら下りてくるから、ある意味接近イベントじゃん」って。それは、6月末のライブでお客さんが「え、これ現実!?」みたいにほっこりした顔をしているのを見て、思ったことなんですけど。

――その音楽を軸にした『バンドリ!』という作品を、木谷さんは今後どう成長させていきたいですか?

木谷:『バンドリ!』はやっぱり『ガンダム』にしたいんですよね。40年50年と続くものにしたい。だからこそ普遍的な物語にしなければいけないんですよ。例えば香澄たちが物語の中で高校を卒業するにしても、大学に行ったり社会人になってもバンド活動はやっている。で、もしかしたら花咲川女子学園の学園祭に、OGとしてゲストに来てライブをするかもしれない。そういった、ずっと続いていく物語にしていきたいですね。

――物語としては普遍的なところがやはり大事で。

木谷 そうですね。だから目的がはっきりしている『バンドリ!』は『ガンダム』に似ていて、『スタァライト』は『エヴァ』に似てるんですよね。

――最後にお聞きしたいのですが、今後木谷さんがやってみたいことはありますか? 『バンドリ!』に関係しないことでも構わないのですが……。

木谷:うーん……実際進めているものもいくつかあるんですけど、まだ明かせないですね。でもどれももうピースは埋まっていて、どうブラッシュアップするかというところまで来ています。また新しいことが発表されていくのを期待して待っていてもらえればと思います。

(取材・文=須永兼次/写真=伊藤惇)

Poppin'Party 11th Single『ガールズコード』

■リリース情報
Poppin'Party
11th Single『ガールズコード』
発売中
価格:¥1,300+税

<収録曲>
1.ガールズコード
2.切ないSandglass
3.ガールズコード -instrumental-
4.切ないSandglass -instrumental-

■ライブ情報
『BanG Dream! 6th☆LIVE』
会場:両国国技館
チケット一般発売は11月16日(金)10:00からスタート
詳細はこちら

2018年12月7日(金) 開場18:00/開演19:00(予定)
出演;RAISE A SUILEN
ゲスト:伊藤美来(ハロー、ハッピーワールド! 弦巻こころ役)

2018年12月8日(土)開場15:00/開演16:00(予定)
出演:Poppin’Party

BanG Dream! 公式サイト

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