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株式会社ブシロード 『Bang Dream!』プロジェクト統括 木谷高明 インタビュー

ブシロード 木谷高明が語る、『バンドリ!』プロジェクトの軌跡と未来 「何十年も続く作品にしたい」

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『バンドリ!』成功の要因

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――お客さん側からは、ライブごとにメンバーがだんだん集まっていくように見えていたと思います。

木谷:それは、漫画に合わせての展開ですね。ただ、アニメも形は違えど徐々にメンバーが集まっていくのは同じ形で……僕、ああいうの好きなんですよね。昔のスポ根漫画とか男の友情を描いたような漫画ってだんだん仲間が増えていくんですけど、そういう成長ストーリーがすごく好きなんです。それに『バンドリ!』って、余計な捻りもあんまり入ってないから、すごくわかりやすいと思うんですよ。メンバーを揃えるところから始まって、次に「ライブハウスでライブしたい!」という目標ができる。それが実現したら「もっとでかいところでやりたい!」「仲間と一緒に演奏したい!」……と、わりかし目的とか動機がはっきりしてるんです。そこに友情・絆みたいな要素が加わるのも、割と昔ながらの王道の作品っぽいですよね。

 『ラブライブ!』もそういう部分はあるんですけど、スクールアイドルというものが現実にはないから、リアリティのある目標を設定するのが難しいんです。でもバンドだと、今言ったようなリアルな段階を踏んでいける。そこがいいところかなと思いますね。それに、アニメの後半に(戸山)香澄の声が出なくなるっていうのも、実際最初の頃にあったことなんですよ。弾くことを気にして力みがあったりして、愛美さんの声が出なくなっちゃったんです。

――ちょうど声帯のあたりが詰まるような感じになって。

木谷:そう。で、「声が出ない」となるとそれが気になっちゃって、悪い連鎖に入っちゃう。そういう実際にあったことを、ある意味題材のようにしながら描いてもいます。

――そんななかで、木谷さんがブレイクの兆しを感じたタイミングってありますか?

木谷:うーん……順を追ってお話しますと、まずアニメの前評判がすごく高かったんですよ。でも、1話放送後の反応を見て、正直「ヤバい」と思ったんです。「このクオリティでダメなのか」と。第3話の「きらきら星」のくだりとかも、すごい揶揄をされましたし……それでプロモーションをゲームに全振りするように切り替えて、『ガルパ』の事前登録にはものすごく力を入れたんです。

 その一方で、ライブは安定していたんですよね。2017年2月5日の3rdライブ(『3rd☆LIVE Sparklin’ PARTY 2017!』)も成功しましたし、日本武道館の先行申込券をBlu-rayの1巻につけるとなったらガーッと売り上げも伸びたんですよ。で、『ガルパ』をリリースして一気にガーン! と行けたので……だから「なんでこれ、アニメがああだったのにヒットしたの?」って不思議に思ってる人が多いと思うんですけど、僕はゲームの出来の良さと、やっぱり実演ライブのおかげだと思います。できそうにないことを実現できたから。あと、3rdライブにサプライズでRoseliaが出てきたのもよかったですね。お客さんはきっと、そこで歌うとは思ってなかったでしょうから。

――前年のゲームショウでお披露目はされていましたけど、ライブ展開について話してはいませんでしたからね。

木谷:そう。歌う気配を全く見せてなかったんです。あと曲も、「BLACK SHOUT」もいいし、「魂のルフラン」でスタートしたっていうのもよかったと思うんですよね。しかもRoseliaって、今ではメンバーが入れ替わってるからリアルにバンドとしてのドラマがついてるじゃないですか?

――今井リサ役/ベース担当の遠藤ゆりかさんが6月に卒業して、引き継ぐ形で中島由貴さんが加入されましたね。また、9月に行われたファンミーティングでは白金燐子役/キーボード担当の明坂聡美さんが卒業して、現在は白金燐子役のオーディション中。なので体制も現在は、5人から4人体制に変化しています。

木谷:なので、「次は4人でやります!」とライブの開催を宣言していて、その先行申込券を月刊ブシロードにつけているんですけど、その反響もとてつもなくて……きっと、ファンはドラマが観たいんでしょうね。ポピパも日本武道館までの道のりがひとつドラマになっていたと思うんですけど、逆にポピパはアニメがあるからこそあまりそのイメージの枠をはみ出せないんですよ。でも来年は、ポピパにも新たなドラマが生まれる予感がしています。

――アニメの2期・3期もありますから。

木谷:はい。1期はオーソドックスに作りましたが、2期は最初から飛ばしますよ。1話からもう、すごいです。

――2期はCGになるんですよね。

木谷:ええ。12月12日にイオンシネマ板橋で「BanG Dream! 2nd Season」制作発表会を開催しますが、そこでもいろいろとサプライズを仕掛ける予定です。あと、2018年10月からイオンシネマで『BanG Dream! ガルパ☆ピコ』のメンバーが上映前に流れるマナー映像に出ているんですよ。現在はPastel*Palettesバージョンです。期間ごとにバンドを交代しながら、1年間続く予定になっています。さっきのコラボゲームの話じゃないですけど、これからは一般化もしていきたいですし、女子層のファンもさらに増やしたいですね

木谷氏が感じる、女子向け作品を手がける難しさとは?

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――感触的には、まだ女子はそんなに多くないと感じられている。

木谷:ガルパカフェを開いた時はお客さんの6割が女子のときもあったので、女子ファン自体は多いんですよ。でもライブとなるとハードルが高く感じる方もいるみたいなので、今後は『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の舞台みたいに『バンドリ!』でも女子限定の公演日を作りたいんです。5月にはArgonavisという男性バンドも発表したんですけど、改めて女子向けって難しいな、と。

――それは、どのような部分が?

木谷:今って、ほとんどのアプリゲームはガチャで絵を買ってるんですよね。だから「男性が男のキャラの絵を買うの?」っていう問題にぶち当たるんですよ。女性ユーザーの中には、男性以上にかわいい女の子が好きな方も多いため、同性キャラの絵も買う傾向があるんです。なのでかわいい女の子が登場するコンテンツを作るときは、変に男に媚びてる感じを出さなければ女子ファンは必ずできるし、弊社の作品も女性ファンがついているんですよ。それに、僕が男に媚びてる作品がちょっと。「空から女の子が降ってくるなんて、あるはずないだろ! 自分で努力して勝ち取れよ!」みたいな気持ちになっちゃうんです(笑)。

――先ほど、長所としておっしゃっていた「リアルな段階を踏める」という言葉の根底にも、そういう想いがあるのかもしれませんね。

木谷:そうですね。最近ではそこから先に進んで、「もう男性キャラを出すのはやめたほうがいいんじゃないのか?」と思っていて。というのは、今って映画もどんどん短くなってきていて、わかりやすく描かなければいけなくなってきています。そうなると、恋愛モノ以外で何かと並行して恋愛を描こうとすると、本筋をちゃんと描けなくなってしまうんですよ。『タイタニック』みたいに恋愛と歴史物語を両方同じぐらいの比重で描こうとするとメインテーマがぼやけてしまうので、もしそうするならば長尺の作品にせざるを得なくなる。だから12~13話だけの間では、あんまりいろんな要素を入れて描けないんですよね。

――だからこそ『バンドリ!』のアニメ1期では、王道でやっていったし。

木谷:そう。「仲間を集めてチャレンジする」っていう。で、そのなかでちょっと挫折もあって……だから2期・3期は、もっと男性キャラが出てこないかもしれません。

――先ほどブレイクを牽引した要因のひとつに挙げられた『ガルパ』ですが、PR以外に内容面での成功の理由はどういったところにあると思われますか?

木谷:ガルパのコンセプトはCraft Eggさんに考えていただいていて、楽曲に関しては上松(範康)先生を中心にElements Gardenさんにおまかせしているので、そのチームワークがうまくいってるんだと思います。あとは、今までのコンテンツと違ってカバーも入れた、ということが大きいのかもしれません。

――たしかに。その方針は、最初から決まっていたんですか?

木谷:はい。いちばん最初の2015年4月のライブのときに、スタッフが「オリジナル曲が少なすぎて、ライブができません!」って報告してきたんです。だから僕が「何言ってるんだ? バンドなんだからカバーをやればいいじゃないか」と言って。そしたらそれがファンにウケたんですよ。それで、ライブが終わったときにCraft Eggさんから「ゲームにカバー曲を入れていいですか?」と提案があって、「ぜひ。僕は大賛成です」と進めたのがきっかけです。でも、実はこれって、弊社の『ヴァイス・シュヴァルツ』というカードゲームと同じスタイルで。少し勢いが落ちてきても、人気のタイトルが出ると盛り返す。この10年、過去作品を登場させることで再び注目が集まる状況を体感していたからこそ、カバーは大賛成でした。あともうひとつの理由は、人口ですね。

――人口ですか?

木谷:去年生まれた子どもは94万人と言われています。でも団塊ジュニアの世代は、毎年200万人以上生まれていました。『新世紀エヴァンゲリオン』の「残酷な天使のテーゼ」がカラオケでよく歌われているのは、団塊ジュニアの層にも刺さったからだと思うんですよ。その頃の年齢で覚えた歌は忘れないですからね。もちろんいちばん人口が多いのは団塊の世代なんですけど、そこはもう70歳以上になっているので、その次の世代としていちばん大きい団塊ジュニアの層に刺すのは大事なことなんです。だからきっと、これからカバーの時代がくる可能性もあると思いますよ。

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