tofubeatsらも注目 中村佳穂『AINOU』から紐解く“ジャパニーズポップス”の新潮流

中村佳穂から紐解く日本ポップスの新潮流

 中村は8月にKan Sanoとのコラボシングル『eye to eye』も発表している。彼の所属する<origami PRODUCTIONS>が大きな注目を浴び、中でも、近年プロデューサーとして多方面で活躍し、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)への出演も話題となったmabanuaが久々のソロ作『Blurred』を発表したのは、2018年の大きなトピックのひとつと言えよう。mabanuaはアルバムの影響源のひとつとして、Unknown Mortal Orchestraを挙げているが、あのバンドが体現する折衷性は、『AINOU』とも通じるものがある。

 もう少し言えば、以前からUnknown Mortal Orchestraをルーツに挙げ、9月の来日公演でもオープニングアクトを務めたのがTempalayだ。『AINOU』のエンジニアであり、ceroやSuchmosらも手掛ける奥田泰次は、Tempalayの作品も手掛けている。先日BTS(防弾少年団)がTwitterでTempalayの「どうしよう」を取り上げ、バズが起きていたが、中村の楽曲が近い将来海外からの注目を集めることも、十分に考えられる。

 このように、『AINOU』を起点とすることで2018年の潮流が見えるというのは、『AINOU』自体が強い時代性を備えていることの表れである。もちろん、本稿はその魅力の一端を切り取ったにすぎず、楽曲そのものには時代やジャンルでは到底括ることのできない、中村の魅力がたっぷり詰まっている。ぜひとも、あなた自身の感性で、『AINOU』を存分に味わってみてほしい。

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

『AINOU』

■リリース情報
『AINOU』
発売日:2018年11月7日(水)
価格:¥2,800+税
<収録曲>
01 You may they
02 GUM
03きっとね!
04 FoolFor 日記
05 永い言い訳
06 intro
07 SHE’S GONE 08 get back
09 アイアム主人公
10 忘れっぽい天使
11 そのいのち
12 AINOU

「きっとね!」先行配信:10月24日(水)開始

■ライブ情報
『中村佳穂 「AINOU」リリースライブ』
日時:2018年11月7日
OPEN 19時30分 START 20時00分
会場:三軒茶屋 GRAPEFRUIT MOON
出演:中村佳穂BAND
入場資格:2018年11月7日発売『中村佳穂/AINOU』を購入し、(店舗不問・インターネット通販可)ライブ当日、『中村佳穂/AINOU』の現物を持参。入場整理券は2018年11月7日17時より会場にて先着順に配布(定員に達し次第配布終了)。

『中村佳穂 BAND presents. 2nd album「AINOU」release party』
12月4日(火)at 京都 磔磔
12月6日(木)at名古屋TOKUZO
12月22日(土)at下北沢club251
出演:中村佳穂BAND

『中村佳穂 presents. 2nd album 「AINOU」 release party ~好きな人の音楽で旅立たせるの巻~』
12月22日(土)at 下北沢440
出演:中村佳穂SOLO + ゲスト
チケットぴあにて販売中

■関連リンク
Twitterアカウント
中村佳穂HP

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