ポップしなないで『CDはもう売れない』リリースインタビュー
ポップしなないで×ブクガ 和田輪が語る、バンドとアイドルに求められる“クリエイターとしての資質”
“セカイ系おしゃべりJ-POP”を掲げる男女ツーピースバンド・ポップしなないでがミニアルバム『CDはもう売れない』をリリース。Maison book girlの和田輪がMVに出演していることでも話題の「魔法使いのマキちゃん」、リード曲「言うとおり、神さま」を含む本作は、カラフルかつエッジ―なポップ感を含んだかわむら(Dr)の楽曲、声優としても活動しているかめがい(Vo&Key)の表情豊かなボーカルを堪能できる作品に仕上がっている。
リアルサウンドでは、ポップしなないでのかめがい、かわむらと和田輪の鼎談を企画。「魔法使いマキちゃん」のMVをフックにしながら、お互いの印象、音楽活動に対するスタンスなどについて語り合ってもらった。(森朋之)
「魔法使いマキちゃん」MV撮影秘話
ーーポップしなないでと和田輪さんとの出会いのきっかけは、THIS IS JAPAN(かわむらが参加しているバンド)とMaison book girlが参加した2016年のカナダツアー(『Next Music From Tokyo vol.9』)だったそうですね。
かわむら:はい。カナダの空港で和田ちゃんが取り調べを受けているところを見たのが最初ですね。
かめがい:取り調べ!?
和田輪(以下、和田):何かがひっかかったみたいで、ちょっと調べられただけです(笑)。ツアーでは、5グループ(THIS IS JAPAN、Maison book girl、jizue、羊文学、虎の子ラミー)で一緒にいろんな都市を回って。
かわむら:そのときは正直、そんなに仲良くなったりしてないんですよ。僕はずっと同行していたカメラマンのけんちと話してたので。今日も撮影してくれてるんですけど(笑)。
かめがい:かわいい女の子たち(Maison book girl)に絡んだらヤバいからね。
かわむら:そうそう。僕はアイドルのライブを一切見たことがなかったんですけど、ブクガのステージが素晴らしかったんです。オケが鳴った瞬間に「これはヤバい」と思ったし、曲もすごく好みで、ダンスもカッコ良くて。圧倒されましたね。
和田:ありがとうございます。あのときは「私たちはバンドじゃないし、メンバー自身で曲も作ってないし、大丈夫かな」と不安でしたが、みなさんに認めていただいたというか、ちゃんと受け入れてくれて。優しい方々でした。
かわむら:いやいや。ディスジャパのメンバーも「めっちゃいい」って言ってました。普段は他の出演者に興味を示さないヤツも「すごいっすね」って。
かめがい:それ以来、私にもずっと「ブクガがすごくカッコいい」って推してたんですよ。その前に企画に呼んでいただいてはいるのですが、初めてブクガのライブを純粋なお客さん目線でフロアから観たのが『YOIMACHI』(東京・大塚のサーキットフェス)だったんですけど、「faithlessness」のフリがかわいくて、ずっとマネしてたんです。そしたらお客さんに「ポップしなないでのかめがいさんが、ブクガのライブで一生懸命踊ってる」ってツイートされて(笑)。
かわむら:僕らの自主企画イベント(2017年10月に新宿MARZで行われた『ガガガ!“girl!girl!girl!”』)にもブクガに出てもらったんですよね。
ーー和田さんはポップしなないでに対してどんなイメージを持ってたんですか?
和田:最初に観たのが「エレ樫」のMVだったんです。アニメのMVなんですが、メガネの女の子がかわいいなと思って。THIS IS JAPANはその前から知ってたから、「爆音でドラムを叩いている人がこんなポップな音楽をやってるんだ!」と意外に感じたんですよね。「え、歌詞も書いてるの?」って。
かわむら:そうだよね(笑)。
和田:カナダに行ったとき、かわむらさんがゲーム好きだって聞いて、「なるほど、だからか」と納得できたところもありました。
かわむら:「Minecraft」ね。カナダツアー中の唯一の会話です(笑)。
ーーポップしなないでの「魔法使いのマキちゃん」のMVに和田さんが出演したことも大きな話題を集めています。このコラボレーションはどうやって実現したんですか?
かわむら:ここにもカメラマンのけんちが出てくるんですけど(笑)、以前から「何かいっしょに何かやろうよ」って言ってたんです。映像作品を作ろうということになったときに、ふたりの間で「やっぱり和田ちゃんだよね」という共通のイメージがあって。忙しそうだからムリかなと思ったんだけど、声をかけさせてもらったら、すぐに「やります」と言ってくれて。
和田:「こういうオファーが来てます」と聞いた瞬間に「え、やるやる」という感じでした。
かめがい:和田ちゃんが受けてくれたとき、超うれしかった!
和田:私もうれしかったです。ポップしなないでのMVに出て来るメガネの女の子たちと並べるなんて、すごく光栄なので。
かわむら:自分たちのMVに和田ちゃんに出てもらうには、何か理由が必要だと思うんですけど、和田ちゃんはアニメの印象に負けないキャラクターですからね。ステージでの凛とした雰囲気もそうだし、ただ歩いているだけで雰囲気があって。
かめがい:しかもメガネまでかけていて。奇跡ですね。
和田:私は「メガネ女子だから抜擢してもらえたのかな」と思ってました(笑)。
かめがい:お願いしたのは和田ちゃんだからです! MVもすごくいいんですよ。幻想的なんだけど、どこか生々しくて。和田ちゃんのおかげですね、ホントに。
和田:ありがとうございます。歌舞伎町のなか走って撮影した甲斐がありました(笑)。撮影の前はすごく緊張してたんですよ。演技したこともないし、大して踊ったりもできないし、大丈夫かしら? って。「私はマキちゃんの役ですか?」とかわむらさんに聞いたら、「いや、和田ちゃんです」と言ってくれたので、「じゃあ、自分をやろう」と少し安心できましたね。
かわむら:和田ちゃんが出演していることを知らない人も、「あ、和田輪ちゃんだ!」って気付いてくれて。
和田:Maison book girlのファンも観てくれてるみたいです。ふだん赤いドレスを着ることはないし、両方とも好きな人は「ポしなのMVに和田輪が! やば」みたいに言ってくれて。
かめがい:良かった。じつは最初は別の候補曲があったんですけど、その後「魔法使いのマキちゃん」が出来て、「これでMVを撮ろう」ということになったんですよ。
かわむら:MVの撮影もずっとスムーズで。すべてのタイミングが良かったんでしょうね。
ーー「魔法使いマキちゃん」という楽曲について、和田さんはどんな印象を持ってますか?
和田:MVに出演することが決まってから曲を聴かせてもらったので、最初は「私、どんなことをやればいいんだろう?」だけだったんですよ。
かわむら:歌詞もちょっとわかりづらいしね。かめがいさんにもほとんど説明しないし。
かめがい:がんばって歌ってます(笑)。
和田:ブクガもそうですよ。サクライさん(Masion book girlのプロデューサー・サクライケンタ)も歌詞の意味とか教えてくれないので。
かわむら:教えなそう(笑)。しかもメンバー4人いると、意志の統一が大変だろうね。
和田:統一されてないかも(笑)。
かめがい:かわむらくんは大枠のテーマは教えてくれるんですけど、「あとは自由にやってください」という感じなんです。どうしても困ったら質問しますけど。
和田:そのときは答えてくれるんですか?
かめがい:うん。
和田:いいなあ。サクライさんは質問しても答えてくれないです(笑)。