KinKi Kids 堂本剛、痛みの中で共に笑えるムロツヨシへの想い 『漢字とカタカナ。』OAに寄せて
「周りはやっぱり求める僕っていうのが、僕の設定しているラインよりも、遥か上なんですよ。いわゆる、こういう病気になる前の僕なんですよ。すごく簡単に言うと」「今までそういう悔しい気持ちとか色んな気持ちがもう毎日のようにあって、周りの人は悪気があって言ってはないけど、傷ついた言葉もいっぱいあって。僕だってそうできたらそうしたいのに、と思うことはいっぱいあった中の積み重ね」。愛してやまない故郷・奈良では、感情が素直に出てきてしまったようだと振り返る。
見えないものは、なかなか周囲に理解されにくい。テレビに出るとき、ラジオで話すとき、痛い、苦しい、辛い、悲しい……なんて毎回言えるものではない。だからといって、その感情がないことにはならない。アイドルでありながら“人間”を歌に昇華したのが、ソロアーティスト堂本剛の歩みだった。その堂本剛が歌えない悔しさは、想像を絶する。そんな今だからこそ、痛みの中で共に笑えるムロツヨシに会いたかったのだろう。
福田監督も、ムロツヨシが『2018年エランドール賞』新人賞を受賞した際、スピーチに駆けつけ「人を元気にできる役者さんです」と話した。さらに「ちょっと1カ月くらい前に、僕があまりにも落ち込むことがあって。僕は弱音を吐くのは、ムロくんだけって決めてるんですけど。ムロくんに、“本当に死にたいほど落ち込んでいます“とメールしたら、“雄一さんが死んだら僕も死ななきゃいけないので早めに教えてくださいね“と言ってくれたのが………すごく嬉しくて。そういうことがみんなにできる役者さんだと思っています」と、目をうるませながら話す姿が印象的だった。
きっと堂本剛とムロツヨシの間にも、そんな想いのやりとりがあったのかもしれない。たとえ、言葉にしていなかったとしても。おそらく10月13日の『剛とツヨシ 漢字とカタカナ。』では、電話越しの鼻息トークくらい、くだらない話が繰り広げられることだろう。その“くだらない”を共有できるムロツヨシ、そしてファンが、堂本剛にとってのもうひとつのホーム。温かな笑い声で、堂本剛の耳が癒やされることを願ってやまない。
(文=佐藤結衣)