Hi-STANDARD、“All Generations”集った18年ぶりマリンスタジアム 『AIR JAM 2018』レポ

 そしていよいよ、Hi-STANDARDが登場。会場が揺れるほどの大歓声の中で披露された一曲目は、SiMがカバーした「Dear My Friend」だ。もちろん観客たちは大合唱でこれに応える。2017年に発表した新曲「The Gift」から、難波章浩(Vo/Ba)の「みなさん、恋をしていますか?」との呼びかけでスタートした「Summer of Love」へと続く流れで、すでに盛り上がりは最高潮に。会場中で観客たちのスマートフォンのライトが点灯し、まさに満点の星空の様な光景を生み出した「Starry Night」、04 Limited SazabysのGENが突然ステージに現れてメンバーとともに歌った「My First Kiss」と、名曲のラッシュは止まらない。そして、現在のHi-STANDARDのテーマを表現した8曲目「All Generations」が披露されるーー。

写真=岸田哲平

 90年代後半、Hi-STANDARDは若者たちを中心に一大ムーブメントを巻き起こし、数多くのフォロワーバンドを生み出した。『AIR JAM 2000』開催後、Hi-STANDARDは活動休止することになるが、彼らが蒔いた種は芽吹き、シーンは色とりどりのバンドで咲き誇った。そして2011年、Hi-STANDARDは再始動し、『AIR JAM』も再開。イベントには、10代から20代の若者のみならず、30〜40代になり親となった往年のファンたちもその子どもを連れて訪れ、まさに“All Generations”が集うものになった。Hi-STANDARDが歌う「Stay Gold」は、1999年の発表からおよそ19年の時を経て、当時とはまた違った深い意味合いを帯びるようになった。筆者が同曲を収録した名盤『MAKING THE ROAD』を手にしたのは17歳の頃で、当時は歳を重ねていつか自分が中高年になることに対しての漠然とした不安と恐れがあったものだが、今「Stay Gold」を聴くと、大人になるのもそう悪いことではないと思えるから不思議だ。少なくとも、当時憧れた『AIR JAM』をこんな風に楽しんでいるなんてことは、これっぽっちも想像していなかった。それはきっと、Hi-STANDARDを始めとした演者も、この日集った往年のファンたちも同じなのではないだろうか。

写真=TAKASHI KONUMA

 「Mosh Under The Rainbow」の大合唱に合わせて、スタジアムの上空にはピースマークやハート型の花火が打ち上がる。2018年、平成最後の夏の終わり。あらゆる世代の人々が一緒に同じ音楽を聴いて楽しむことができる時代は、すでに始まっている。思い描いていたよりもずっと自由な未来がそこにはあった。

(文=松田広宣/写真=BRAHMAN:Tsukasa Miyoshi、SiM:半田安政(Showcase)、SLANG:本田裕二、KOHH:岸田哲平、マキシマム ザ ホルモン:浜野カズシ、HEY SMITH:半田安政(Showcase)、10-FEET:Kohei Suzuki、The Birthday:TAKASHI KONUMA、04 Limited Sazabys:Kohei Suzuki、Hi-STANDARD:岸田哲平、Kohei Suzuki、TAKASHI KONUMA、本田裕二、半田安政(Showcase))

AIR JAM 2018 オフィシャルサイト

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