『東京ラブストーリー』14年ぶり再放送 小田和正による主題歌との親和性を改めて考える

 ドラマの第3話では、リカが失恋したカンチに向かって「人が人を好きになった瞬間って、ずーっとずーっと残っていくものだよ。それだけが生きてく勇気になる。暗い夜道を照らす懐中電灯になるよ」と言うシーンがある。好きな人と結ばれる/結ばれないということに関係なく、誰かを好きになったことは自分自身の未来をずっと輝かしていく。坂元裕二は、このドラマでそんなことを伝えようしていたのではないだろうか。また、小田和正が手がけた同曲の歌詞にも〈明日になれば君をきっと今よりもっと好きになる/そのすべてが僕のなかで時を超えてゆく〉という一節がある。これもまた、“誰かを好きになったことは、自分の未来にずっと繋がっていく”というメッセージであり、先述したセリフと密接している。

 「24時間好きって言ってて!」、「どんなに元気な歌聴いても、バラードに聴こえる夜もある」など今ではあまり使われないトレンディドラマ的なセリフ回しはあるにせよ、同ドラマは登場人物たちの本心はあまり明らかにされていないし、登場人物の感情の移り変わりも多い。当時のトレンディドラマとしては異例なストーリー展開であったというが、きっと現代のドラマに見慣れている人にとっても新鮮に映ることだろう。そんな同ドラマに対し、小田和正はドラマティックなサウンドや本質を突いた歌詞によって登場人物たちのセリフにはない感情を代弁していたように思える。このドラマが多くの視聴者を感情移入させ心を掴んでいった背景には、そうした楽曲効果もあったに違いない。このドラマを観たことがある人も、まだ観ていない人も、こういった点にも注目して再放送を楽しんでみてほしい。

(文=北村奈都樹)

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