『UNCHAINED』インタビュー

SWAYが1stアルバム収録曲から明かす、アーティストとしての歩みとヒップホップへの情熱

SHOKICHI、TEE、AK-69……収録曲から紐解く“仲間”との関係

ーー楽曲についても聞かせてください。まずは「Be a Beast」。プロデュースはOLDMANWILDIN’ですね。

SWAY:アルバムの入り口について考えているときに、僕の音楽人生に大きな影響を与えてくれたDOBERMAN INFINITYのメンバーと、ソロでも何かやりたいと思ったんですよね。ちょうどP-CHOさん(DOBERMAN INFINITY)がJAY’EDさん、NAOtheLAIZAさんとOLDMANWILDIN’を結成したタイミングでもあったし、ぜひ一緒にやりたいですと声を掛けさせてもらって。その後に「MANZANA」が来ることもイメージしながら、1曲目の「Intro」と2曲目の「Be a Beast」でアルバムの世界観を作ってもらった感じですね。

ーー「Never Say Goodbye feat.EXILE SHOKICHI & SALU」にはSWAYさんの盟友であるSHOKICHIさんが参加。

SWAY - Never Say Goodbye feat. EXILE SHOKICHI & SALU【配信中!Album『UNCHAINED』2018.8.29 out!!】

SWAY:知り合ってから15年くらい経ちますからね。僕のソロデビューをいちばん喜んでくれたのもSHOKICHIだし、お酒を飲んでるときだったら「愛してる」って言えるくらいの関係です(笑)。本当に仲間思いだし、ピュアに優しいんですよ。LDHという場所で戦うチャンスを作ってくれたのも彼だし、今回、「一緒に曲を作りたいんだけど」と言ったときも二つ返事で「もちろん!」って答えてくれて。

ーーSHOKICHIさんのソロ1stシングル「BACK TO THE FUTURE」にSWAYさんが参加していることを考えると、このアルバムのクレジットにSHOKICHIさんの名前があるのは必然ですよね。

SWAY:はい。ただ、自分としては「一緒にやるのはもうちょっと先かな」という気持ちもあったんです。ラッパーとしてしっかり確立できて、ここぞ! というときにやるべきかなって。でも、「Never Say Goodbye」のトラックを聴いたときに、「ここにSHOKICHIの声があったらすごくいいだろうな」と感じて。曲を良くするためにも、彼に参加してもらおうと思いました。SALUくんも北海道出身で、昔からつながりがあるんですよ。僕は19歳から21歳までカナダにいたんですけど、ちょうどその頃にSALUくんは札幌のクラブで活動していて。僕が帰国したときにはSALUくんは厚木に移っていて、初めて会ったのは東京だったんですけどね。北海道出身というだけですぐに仲良くなったし、今回もいい意味で友達と遊んでるような感覚でやれて。一緒に音楽をやると、その才能のすごさを改めて思い知らされますね。

ーーそして先行リリースされた「Perfect Love」の歌詞はTEEさんが担当。TEEさんとは“カナダつながり”だとか。

SWAY「Perfect Love」2018年7月18日(水)配信スタート!

SWAY:これもちょっとおもしろい話で。TEEくんは僕が行く前からカナダで生活をしていたんです。僕がカナダに行ったときにはすでに日本に帰ってきていましたが、僕がトロントでいろんなミュージシャンとセッションやジャムをやっていると、「おまえ、TEEってヤツとノリが似てるな」と言われることがよくあって。TEEくんも「日本からおまえに似てるSWAYってヤツが来てるよ」という話を聞いてたみたいなんですよ。そこからしばらくmixiで連絡を取ったりしていて、TEEくんの「ベイビー・アイラブユー」がヒットした後、札幌のライブのときに初めて会いました。そのときから「すごくいいラブソングを書く人だな」と思っていたし、今回のアルバムの制作中に「純粋なラブソングがほしい」という話になったときに、「TEEくんしかいないな」と。

ーーR&B系のラブソングは本当に上手いですよね、TEEさん。

SWAY:TEEくんって、ふだんから本当に愛がある人なんです。現場で会うたびに「SWAY、元気?」って優しい声で話し掛けてくれて。だからこそ、TEEくんの書くフレーズには嘘がないんですよね。〈君との時間はPerfect Love〉〈死ぬ気で守ってやんぜ〉もそうですけど、この人じゃないと書けないなという歌詞ばかりだし、そこにまったく嘘がないからこそ、自分で歌うときも「嘘がない表現にしたい」と思えるというか。もし自分で書いていたらもっと遠回しな表現になったと思うし、TEEくんにお願いして本当に良かったと思います。

ーーちなみにSWAYさんがカナダに行った理由は何だったんですか?

SWAY:もともとはアメリカに行こうと思ってたんです。僕は飛行機が苦手で、12時間も乗ってるのはつらすぎるから、「1回向こうに行ったら、できるだけ長く滞在したい」と思って。ビザのことを調べてみたら、カナダのほうが長くいられるから「じゃあ、そっちにしよう」と決めました(笑)。当時はなぜか「JAY-Zのライブ以外でアメリカには行かない」と思ってたんですけど、なかなかチャンスがなくて。結局、初めてJAY-Zのライブを観たのは日本のサマソニでした(笑)。

ーーJAY-Zのどんなところに惹かれていたんですか?

SWAY:すべてですね。音楽はもちろん、ビジネスの考え方だったり、自分をブランドにするやり方だったり。めちゃくちゃたくさんの人が「JAY-Zと仕事をしたい」とがんばっていたと思うし、自分もそういう人間になりたいな、と。まわりの人たちを動かせるアーティストというか……日本でいうとAK-69さんがそうですよね。

ーーAK-69さんはアルバム収録曲の「XXX feat. AK-69 & HIROOMI TOSAKA」に参加してますね。

SWAY:はい。SHOKICHIと同じで、このコラボもまだ早いと思っていたんですよ。でも、EYELANDというフェスでご一緒したときに、打ち上げの席で「SWAY、アルバム作るんでしょ? 何で俺を呼んでくれんの?」と言われて。「え、いいんですか?」って言ったら、「やろうよ。リリックも書かせてよ」と。そうなったらNOとは言えないですからね。翌日「お酒の席の話じゃないですよね?」って確認の電話を入れさせてもらいましたけど(笑)。登坂くんは僕がLDHに入る前からSHOKICHIに紹介してもらっていて。同い年というのもあるし、すぐ意気投合して「何かやれたらいいね」って言ってたんですよ。この曲ではタイトルにある3つの「X」ーーAKさん、登坂くん、僕の3人のクロス(X)ポイント、その地点をゼロとしてゴールを示す10(X)、そしてゴールにたどり着くXデーを表現しています。

ーーSWAYさんにとって、AK-69さんのすごさとは?

SWAY:とにかく、めちゃくちゃ影響を受けてるんですよね。最初に知ったのはDJ PMXさんのアルバムだったんですけど、「最初のヴァースは歌、2番目のヴァースはラップ」という二刀流のスタイルで「とんでもない人がいるな」と衝撃を受けて。カナダに行っていたときも、親に頼んでCDを送ってもらってました。地元の名古屋をレペゼンしながら活動しているところも影響を受けてますね。ずっと東京に憧れていたんだけど、AKさんを知ってからは、札幌出身であることに誇りを持つようになりました。Def JamにつないでくれたのもAKさんだし……。今回書いていただいたリリックもすごかったです。〈イモってちゃゴールないぞ〉というフレーズは、自分自身に向けられてると思ってますね。

ーーアルバムのタイトルチューン「Unchained」はSALUさんのリリック。トラックはSALUさん、JIGGさんが担当しています。

SWAY:僕の“夢ノート”に「いつかJIGGくんと曲を作る」という項目があって、それがやっと叶いました。ミーティングの場で“Wireless”というテーマが出てきて、それをSALUくんに伝えたら「“Unchained”はどう?」と提案してくれて。僕はDOBERMAN INIFINITYのグッズのデザインをやらせてもらってるんですが、チェーンをモチーフにしたものが多いんです。“解き放たれる”という意味も今の自分に合ってるなって。

ーー逆に、何かに繋がれてしまって、思うように動けない時期もあった?

SWAY:めちゃくちゃあったし、常にあると思います。たとえば活動が忙しくなれば、時間にしばられる場面もあるだろうし。でも、それは自分の捉え方次第だと思うんです。“しばられている”と考えるのではなくて、その鎖をつたって、綱渡りように進んでいこうと思えばいいわけだから。そういう強い気持ちは、「Unchained」のSALUくんの歌詞からも受け取りましたね。たとえば〈お前が俺に何を言ってこようが I just don’t care〉というフレーズは歌うたびに強くなれる気がするし、〈この太めのチェインは飾る為じゃなく/己の価値を感じる為さ〉というラインもヤバいなって。やっぱりすごいですよね、SALUくん。

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