立花理香が自作詞曲で掴んだ“達成感” 「思いついたらやってみようという姿勢になれた」

立花理香が掴んだ“達成感”

「『アウトレイジ』を観てストレス発散」

ーー続く「Shining Memory」は、少し激しいけど「Brand New」で受けた明るさが引き続き残っている、という印象です。

立花:曲自体はすごく明るいし、キラキラもしてるんですけど、歌詞の内容はすこし強い人を描いてもらいました。

ーーMVにもその強さと明るさがハッキリ表現されているように感じました。色味もかなりファッショナブルで。

立花:MVはあからさまに“インスタ映え”を狙いましたね(笑)。とにかく“映え”る生活を送ってみたいという願望を詰めていただきました。

立花理香 / Shining Memory(Short Ver.)

ーーここまでサムネイルから“映え”てるMVもなかなか無いですね(笑)。この曲を聴いて印象に残ったのは、前作で多用していた粘っこい歌い方が、もう少し疾走感も加わったものにアップデートされていることでした。

立花:主人公を自分のなかで立てるようにしなくなったからこそ、色々試してみようという欲がどんどん出てきているんです。やってみてダメだったら中土さんから「これはこうした方がいいよ」とアドバイスもいただけるので。

ーー挑戦が許される環境ができてきた、ということですね。ライブでもスタッフさんから「ご自身でどんどん意見を言っていくタイプ」と暴露されていましたが、ようやく言える環境が歌手というフィールドにおいても整ってきたんでしょうか。

立花:そうですね。「MY SWEET UNIVERSE」でも、「こういうコール入れてみたらどうですか?」みたいに提案させていただいたり、自分の中での欲がいい意味で出てきていると思います。

ーー「MY  SWEET UNIVERSE」はトロピカルでアッパーな楽曲なうえ、先ほどのお話にもあったようにコーラス使いにも遊びが効いていますね。

立花:全力で遊びました! 「ちょっとこういうコール入れたいんですけど」というものをたくさん提案して、なかには「さすがにそれはギャグになっちゃうからNG」というものもあったり……(笑)。

ーーボツ案もあったんですね。とはいえ結城アイラさんの書いた歌詞はそこまではっちゃけてはいない、という対比も面白いです。

立花:これは私の二次元に対する愛を、結城さんがうまく拾い上げて書いてくださったんです。この仕事をするようになったのは、ゲームやアニメのような二次元が好きだったからなので、それも私生活の一部だなと思って、歌詞に入れ込んでいただきました。なので〈イタい〉という言葉もあえてそれっぽく表記しているんです。

ーーなるほど。そういう意味では、松井洋平さんが作詞、俊龍さんが作曲を手がけた「KOTO-DAMA」はどうでしょう?

立花:バチバチにカッコいいんですけど、「あまりたくまし過ぎない塩梅でやっていきましょう」とは話しました。ファイターじゃなくて、ヒールで戦うみたいなイメージというか。歌詞については、私のストレス発散法が元になっていて。私、じつはアウトローな映画を観てストレスを発散するんですよ。『アウトレイジ』とか。そういうのが好きなんですとお話ししたらすごく盛り上がって、この曲ができました。自然体とはいえ、いわゆる女の子っぽいだけのものにはしたくなくて、カッコいい一面も入れたいなと思っていたので、ちょうどそこにハマってくれました。イメージは完全に夜の新宿なんですよ。田舎から東京にやってきて、夜の都会をヒールを履いて歩く女を想像しながら聴いてください(笑)。

ーー『アウトレイジ』が好きということですが、それは邦画の任侠ものが好きということですか? それとも洋画のマフィアものも見たり?

立花:邦画の任侠ものが多いですね。『極妻(極道の妻たち)』とか。ちょっと背筋が寒くなって「いい子にしよう」と思えるし、やる気にもなるんです(笑)。

ーー面白いストレス発散法だったので、思わず掘り下げてしまいました(笑)。ここから自作詞の2曲についても聞いていきたいのですが、デモを聴いて歌詞を書きたいと志願した「TUNE UP」は明るいギターロックですね。どのような流れで歌詞を書きましたか? 例えばサビから書いた、とか。

立花:最初に曲を聴いた段階で、サビのフレーズは出てきたんです。あとは文章というより、音に嵌める形で歌詞を作っていきました。とはいえ曲として成立させたかったので、“LIFE”というテーマに沿って「お出かけをして、ちょっと見つけたお店に入る」ような感じを意識しています。

ーーサビのフレーズは、立花さんの初作詞曲とは思えないくらい、キャッチーな言葉が並んでいます。音が繰り返されるところは言葉がリフレインしていたり、おいしいフレーズに気持ちいい言葉がしっかり入っていたり。

立花:歌って踊った経験があるので、音がハマった瞬間の気持ち良さがわかったし、自分の歌詞でもそういうフレーズを書きたいと思ったんです。それに、自分の歌なので、「この高さでこの音を出すのは好きだけど、こっちは苦手だな」というのを理解した上で書けるので、自分が一番気持ち良く歌える歌詞になったんですよ。

ーーとはいえ初めての作詞なので、修正が発生したり、歌いながら直したり、みたいなこともあったんじゃないですか?

立花:歌いながら直した箇所はいくつかありますね。語尾の言葉で迷ってるところは、何パターンか歌ってみて良かった方を採用したり。そういう意味では自分で書くのは良いなと思いました。直した箇所はこの辺なんですけど……(『広島東洋カープ 新井貴浩学習帳』を取り出して開く)。

ーー新井さんの学習帳ですね。

立花:私のアーティスト活動を共に過ごしてくれてるノートなんですけど、歌詞も最初はこれに書いていたんです。

ーー確かに、読んでみると最初から現在まで歌詞がほとんど変わってないですね。

立花:そうなんですよ。音の高さを記号みたいなので書いて、それに文字を嵌めていきました。私、どうやら「手」と「風」ってフレーズを使いがちみたいで。その辺りはあとで調整しました。

ーーそのノートに書いてるせいなのかはわかりませんが、〈ルーレットを回して〉とか〈この手で掴むんだ〉というフレーズが、プロ野球選手の応援歌に思えてきました。

立花:おお、そうなんですよ! それは私の夢でもあるんですけど、野球選手がホームゲームで打席に入るときに、自分の曲が使われたら最高だなと思っているんです。今回の曲はそういう要素も入れられるなと思って、応援歌っぽいフレーズも使いました。ちなみに2番には〈Change Up〉という歌詞も入っています(笑)。

ーーひっそり球種も忍ばせてたんですね。

立花:ワンチャン狙ってます! それに、感謝の気持ちを伝えるうえで、聴いてくださる方から「元気が出た」と言ってもらえたら嬉しいなと思ったので、応援歌っぽいフレーズが入ったことで、より色んな捉え方をしていただけるようになったのかもしれません。

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