the GazettE、アルバム『NINTH』がライブに与えた衝撃 ツアーに凝縮された深化したバンドの姿
ラウドに鳴り響く無機質なビート……不穏な空気を呼び起こすようなSE「99.999」に合わせて、真紅の光の筋がステージ後方の柱を照らすと、そのまま『NINTH』の印象的なロゴを描いていく。それが5つ並ぶと下手から現れたメンバーがゆっくりと持ち場についた。地響きのような轟音と猛り狂う獣の咆哮、いや、RUKI(Vo)のグロウルが轟く。がっしりとした低い重心と、アタックの深く切れ込むようなメリハリの効いたアンサンブルが襲い掛かってくる。オープニングナンバー「Falling」で『the GazettE Live Tour18 THE NINTH / PHASE #01-PHENOMENON-』は幕を開けた。
7月19日、埼玉県三郷市文化会館 大ホール。「サイタマァァァァーー!!」RUKIの叫びに全力で応えていくオーディエンス。アルバムを引っ提げてのツアーは実に3年ぶり。座席のあるホールでのライブも久しぶりだ。スタンディングやアリーナ会場とはまた違う雰囲気と景色が広がる。それはステージ上からのメンバーが見る視界も同じようで、膂力を大きく振りかぶりながらアンサンブルを司る戒(Dr)は時折、満悦な表情を隠せない様子で客席を眺め、体勢とともに腰を落としたグルーヴを弾き出すREITA(Ba)は、オーディエンスを挑発するようにカッと目を見開きながら舌を出す。クールにキメ込む麗(Gt)も葵(Gt)も、この場を愉しんでいるように見えた。
「基本『NINTH』っていう新曲ばかりなんだけど、どうやって動いていいかわからないよね? それは俺らも同じなわけ(笑)」
黒を纏ったメンバーの中、臙脂色のベロアの上下で身を固めたRUKIが口開く。予定調和を嫌うライブバンドらしい言葉だ。
「俺が引っ張って行くから、オマエらついて来いよ!」
『NINTH』は非常に刺激的なアルバムだ。タイトル通りの“9枚目”であることを色濃く打ち出した楽曲群。彼らの貪欲なこれまでの音楽探求を踏襲しつつ、より深化した現在のバンドの姿が凝縮されている。猟奇的でありながら妖艶で蠱惑的な魅力を持つthe GazettEというバンドをわかりやすく表しているといえるだろう。そんなライブ映えする楽曲が矢継ぎ早に強襲してくるのだ。息つく暇などない。