フジロック、サマソニからROCK IN JAPANまで…5大夏フェス注目の若手アーティスト

 今年の夏フェスは、それぞれ豪華ラインナップが実現した。FUJI ROCK FESTIVALにはケンドリック・ラマー、N.E.R.D、ボブ・ディランが、SUMMER SONICにはチャンス・ザ・ラッパーやマシュメロが、ROCK IN JAPAN FESTIVALには松任谷由実やサザンオールスターズが出演するなど、そうそうたるメンツが並んでいる。なかでも注目したいのは、若手アーティストの存在だ。ビッグネームの周りを固めているのは、未来の大物になりえるポテンシャルを持つアーティストばかり。本稿では、将来音楽シーンを牽引する可能性を秘めたアーティストを5大夏フェスから取り上げたい。

FUJI ROCK FESTIVAL(以下、フジロック)

 フジロックは、2013年のホワイトステージにケンドリック・ラマー、2010年のレッド・マーキーにはThe xxをブッキングするなど、将来大きく飛躍するであろう若手アーティストの演奏をいち早く届けてきた。今年の注目は、2015年にデビューしたサーペントウィズフィートだ。

serpentwithfeet - bless ur heart (Official Video)

 サーペントウィズフィートは、2017年にビョークの「Blissing」を手がけて話題になったシンガー。2016年にリリースしたEP『Blisters EP』は、クラシックやゴスペル要素をR&Bに落とし込んだ実験的な作品であり、音楽ファンに衝撃を与えた。そして今年リリースされた待望の1stアルバム『Soil』は、ゴスペル要素が強くなり音の厚みが増した完成度の高い作品となっている。ちなみに、彼は幼い頃から聖歌隊に所属し、大学ではボーカルパフォーマンスを学んでいたという経歴も。ゴスペルならではの荘厳なダイナミズムの中に繊細なビブラートを効かせる圧倒的な表現力の歌唱は、一度は生で聴いてみたい。

 続けて、2016年にプロデューサーとしてデビューした韓国出身ペギー・グー。

Peggy Gou - 'It Makes You Forget (Itgehane)'

 今年はコーチェラ・フェスティバルにも出演し、世界最高峰のクラブと呼ばれる『Berghain』でDJも行うなど、ワールドワイドに注目を集める彼女。往年のハウスミュージックに、アフリカ音楽やエレクトロ要素のエッセンスを取り込み昇華させた楽曲は、新しいのにどこかクラシカル。次世代ハウスミュージックを担う存在となること間違いなしだ。

SUMMER SONIC (以下、サマソニ)

 今年のラインナップには、ヘッドライナーにNoel Gallagher's High Flying BirdsやBeck、マウンテンステージにはNickelback、Queens of the Stone Ageなどのロックアーティストが目立つ。一方、同様に充実しているのが、再び注目されつつあるUK出身の若手アーティストだ。まずは、ロンドン出身弱冠23歳のトム・ミッシュ。

Tom Misch - It Runs Through Me (feat. De La Soul) [Audio]

 2017年に行なわれたヨーロッパ、USツアーでは、当時デビュー前だったにもかかわらず各公演がソールドアウトに。16歳で楽曲をストリーミングサイトにアップすると、たちまちキャッチが早い音楽ファンから支持され、一気に有名になった。ソウルフルなビートを鳴らしたかと思えば、艶やかでメロウなギターサウンドも聴かせるなど、多種多様な表現力を持っている。スタイリッシュかつ絶妙な緩さもある彼の演奏を、ビーチステージで聴けるのは本当に贅沢だ。

 続いて、ウォルソール州出身ジョルジャ・スミス。

Jorja Smith - Blue Lights (Official Video)

 ジョルジャ・スミスは、ドレイクのアルバム『More Life』で2曲参加、全国ツアーにも出演している。また、ドレイクは「Jorja Interlude」というインタールードを作ってしまうほどに彼女に夢中だ。最近ではケンドリック・ラマーのプロデュース作『Black Panther: The Album』にも参加。プロデューサー・松尾潔も、ラジオ『松尾潔のメロウな夜』で彼女について度々語っており、国内外で注目を集めていることが伺える。その魅力はなんといっても唯一無二の歌声。ハスキーで力強く、憂いを帯びたその歌声はエイミー・ワインハウスを彷彿とさせる。21歳に思えない大人びた風貌と、時折見せる若さ故の孤独を放つ彼女の存在自体からも目が離せない。最近デビューしたUKアーティストの中で最も注目すべき存在だ。

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