フジロック、サマソニからROCK IN JAPANまで…5大夏フェス注目の若手アーティスト
ROCK IN JAPAN FESTIVAL(以下、RIJF)
RIJFは、ここ数年ロックに限らず、アイドルやヒップホップ、ポップスなど幅広いアーティストが出演するジャンルレスなフェスとなっている。新進気鋭なバンドももちろん数多くラインナップされている。まずは昨年念願のメジャーデビューを果たした、RIJF初登場のどついたるねん。
90年代のJPOP、パンク、R&B、ファンクを混ぜ合わせたような独特の楽曲で、インディー時代から根強いファンがいる彼ら。”異端児”とも称されるハイテインションなライブパフォーマンスが魅力の一つで、ライブをきっかけに好きになるという人も。日本一周ツアーを経てからは、アウェイなライブでも会場を沸かせる実力も備えている。RIJFのステージをきっかけにファン層を拡大させ、今後さらなる躍進が期待される。
そして2017年に大飛躍したCHAIもRIJF初出演。
CHAIの昨年の活躍は言わずもがな。今年はSuperorganismのツアーへの出演が決定するなど、海外でのライブ活動もより積極的に行っていきそうだ。さらに2年目のUSツアーを終え一皮むけたEP『ワガママニア』は、ニューウェーブとポップスを突き詰めた傑作。グラミー受賞を目標にしている彼女たちは、近い将来叶えてしまうのではないか、と思わせるほどのポテンシャルを持っている。いつ世界的に有名になってもおかしくない彼女たちをヒルサイドステージで見ることができるのは今だけだろう。
RISING SUN ROCK FESTIVAL(以下、ライジング)
今年のラインジングは、04 Limited SazabysやMy Hair is Badなど若いリスナーに支持されるロックバンドが例年に比べて多い。その中でも、次世代邦ロックの代表格となりうる若手バンドが見逃せない。まず注目したいのが“2018年ブレイク必須”とも言われている緑黄色社会だ。
彼らは『バズリズム02』や『めざましテレビ』に出演するなど、メディアへの露出も増えている。クラシック要素も含んだキラキラポップスと、長屋晴子(Vo)の力強い歌声が大きな魅力だ。さらに、Red Hot Chili Peppersに影響を受けたという穴見真吾(Ba)の厚みのあるメロディアスなベースラインも聴き逃せない。演奏面でも突き抜けている彼らの極上ポップスは、北海道の澄んだ空気にぴったりだ。
Saucy Dogも、これからの邦ロックシーンに欠かせない一組。
THE ORALCIGARETTESやフレデリックも輩出した『MASH A&R』2016年度グランプリを、結成からわずか約5カ月で獲得したSaucy Dog。今年は『スペースシャワー列伝ツアー』にも抜擢されるなど大躍進中だ。等身大で共感できる歌詞がフィーチャーされること多いが、琴線に触れる煌びやかなメロディを1曲に何パターンも取り入れるなど、メロディメイカーとしての実力も備わっている。ライジングでは、私たちの胸に迫るようなエモーショナルなステージを見せてくれるに違いない。
SWEET LOVE SHOWER(以下、ラブシャ)
今年のラブシャは、Suchmos、DAOKO、ONE OK ROCKなど、近年の日本の音楽シーンになくてはならないスターを凝縮したメンツに。さらに、未来のスターたちも漏れなくラインナップされている。まずは、今年本格的にブレイクしたNulbarich。
彗星の如く現れた彼らは、2016年に結成して間も無く、その楽曲が幾つものCMソングに抜擢された。ロックに、ファンクやジャズといったブラックミュージックを織り交ぜた風通しの良いメロディと、フロントマン・JQのスムースなフロウで、瞬く間に世間に知られる存在になった。ブラックミュージックに影響を受けている点や、両バンドともホンダのCM曲を担当していたことなどからSuchmosと並べられることが多い。しかし、そのアプローチは大きく異なっている。Suchmosは、鮮烈なメロディの裏で、重厚でなめらかなベースラインを繰り広げている一方、Nulbarichはメロウなサウンドに、ソリッドで歯切れのいいファンキーなビートを刻み続けている。このリズムの違いからも、それぞれ違ったライブの楽しみ方ができるに違いない。この機会に、SuchmosとNulbarichのパフォーマンスを見比べてみるのはいかがだろうか。
そして、今年春にメジャーデビュー決定したYogee New Waves。
昨年リリースした『Waves』は、後藤正文が立ち上げた音楽賞『Apple Vinegar Award』にも選出された。3月には『シブヤノオト』でもゲストに呼ばれるなどメディアへの露出も増え、人気は冷めることなくさらに過熱している。サニーデイ・サービスを想起させるファンキーなビートと青くポップなメロディは、いわゆる”シティポップ”と呼ばれる表現の幅をさらに拡大させている。今年の音楽シーンの重要アーティストであるYogee New Wavesと、Suchmos、ONE OK ROCKを同日に見ることができるのはラブシャだけだ。
今年の夏フェスのラインナアップはこのように、ベテランアーティストだけでなく、ニューカマーが充実している。日本の音楽シーンの明るい未来を予感させる、熱い夏になりそうだ。
(文=北村奈都樹)