『走り出す瞬間』インタビュー

けやき坂46 小坂菜緒×渡邉美穂×丹生明里 “2期生トリオ”が語る、激動の10カ月と自身の成長

「ツアー初日はファンのペンライトに安心感を覚えた」(小坂)

ーー6月4日からは全国ツアー『けやき坂46「走り出す瞬間」ツアー2018』も始まりました。2期生がここまで本格的にライブに参加するのは今回が初めてですし、ここまで新曲をたっぷり披露するんだと驚きました。

丹生:ですよね(笑)。

ーー6月4日のツアー初日なんて、メンバーの皆さんも新曲を初披露するし、お客さんもその場で初めて聴く曲ばかりだし、いろんな不安があったんじゃないかと思います。

小坂:初日にこの3人のユニット曲「キレイになりたい」を初披露したんですけど、どんな反応があるのかすごく怖くて。でも、ちょうどそのときの衣装が赤くて照明も赤かったんですけど、そうしたらファンの皆さんがすぐにペンライトを赤にしてくれて、会場一面が真っ赤になって。

丹生:あのときはびっくりしたよね。

渡邉:その瞬間「うわーっ!」って驚きました。

小坂:それを観て、曲の後半は安心してパフォーマンスすることができました。

ーー今回のアルバム『走り出す瞬間』で新曲が18曲も増えましたが、それをツアーに向けて短期間で振り入れして覚えたわけですよね。今まで1期生の皆さんは漢字欅(欅坂46)の楽曲、2期生の皆さんは乃木坂46の楽曲をカバーしてきましたが、そこにはお手本となる存在がいたところを、今回は自分たちのために作られた新曲なのでゼロから始めたわけですし。

渡邉:多いときだと1日に4曲も振り入れをしたので、頭の中がいっぱいになって。合間合間にダンサーさんに細かいところを確認したり、一人ひとりがイヤホンをして曲を聴き返して振りを確認したりして、本当に大変でした。

小坂:途中で何がなんだかわからなくなりますし(笑)。

渡邉:踊りながら周りのメンバーを観て、「あ、ヤバイ。自分間違ってる!」って気づいたり。

ーーこの取材の時点では10公演中4公演を終えたところですが、手応えはどうですか?

丹生:まだまだ全然だよね。

渡邉:うん。

小坂:自分の中の目標にまだ達してなくて、今も地に足もついてない状態です。

丹生:振りを形として覚えていたとしても、それを本当の意味での表現として出しきれていなくて。それは私もそうだし、全体としてもあると思うので、ライブを通して個人としてやグループとして、曲のカラーをいろいろ出していけたらと思います。

渡邉:私は正直、歌に自信がなくて、踊りながら歌うことがすごく苦手なんです。今回も踊っていると体力がもたなくて、歌もうまく歌えないのが悔しくて。なので、このツアーでは体力の限界に挑みながら、今までやってきた曲も新曲も動けるだけ動こうと頑張ってます。

ーー確かに以前は数曲だったところ、今回は半数前後の楽曲に出演しているわけですから運動力も急激に増えています。小坂さんや丹生さんは体力に自信がありますか?

小坂:まったくないです(笑)。

丹生:私もあんまり(笑)。でも、この3人はみんな運動部出身なので(※丹生は剣道部、小坂はバレーボール部、渡邉はバスケットボール部出身)。

小坂:ホントだ!

渡邉:なのに、体力がないという(笑)。でも、衣装を着ちゃうと余計に苦しくなるからね。あと、緊張もしますし。

「センターに立って歌詞をちゃんと伝える責任感が強くなった」(小坂)

 

ーーそのツアーの合間に、けやき坂46初のアルバム『走り出す瞬間』が発売されます。さっきも言いましたが、まさか新曲がここまでたくさん収録されるとは思ってもみなかったので、びっくりしました。

渡邉:制作途中から増えていったんですよ。

小坂:最初は18曲もなかったんですけど、いつの間にか増えていて。

丹生:「あれ、またレコーディングが入ってる?」って(笑)。

ーー18曲って普通に考えたらアルバム2枚分のボリュームですし、それこそライブ1本行うのに事足りる数です。しかも、今までになかったタイプの楽曲も増えていて、本当にバラエティ豊かな内容になりましたね。完成したアルバムを聴いて、皆さんどんな印象を受けましたか?

渡邉:まず素直に、自分たちの歌声が入った曲が増えたのが嬉しかったです。やっとけやき坂46の一員としてステージに立つことができるなって。これまでは参加できる楽曲が少なかったのもあって、ライブもちょっと、ね?

丹生:「すみません、出させていただきます」みたいな感じでしたし。

小坂:“1期さんのライブ”みたいになっていたんですけど、1期生2期生20人で初めて一から作り上げているものだなって思って。そこにいられる嬉しさが、このアルバムを聴くとこみ上げてきます。

ーーだから20人全員で歌う曲もあれば、1期生だけ、2期生だけという分け方もできるし、その中でもユニットでバラバラになって見せることもできる。けやき坂46の見せ方の選択肢も、幅が一気に広がりましたよね。そこが、このアルバムの新鮮さにつながっているんですよ。

丹生:曲調も今までのひらがなのイメージとは違った、カッコいい系の曲もあったり、「ああ、やっぱり可愛らしいな」って曲とか、すごくハッピーオーラを感じる曲とか、曲のジャンルが増えたので、それが嬉しかったです。

ーー小坂さんは「半分の記憶」(※欅坂46の6thシングル『ガラスを割れ!』カップリング曲。今回のアルバムにも収録)でセンターを務め、今回のアルバムに収められた2期生全体曲(「未熟な怒り」「最前列へ」)でも再びセンターを担当しています。最初にセンターに就いた頃と比べて、意識に変化はありましたか?

小坂:すっごい変わりました。歌詞の意味をちゃんと捉えて、伝えなくちゃいけないなという責任感が今は強くて。新曲の2曲も、まだなかなか自分の中でのイメージが固まりきれてなくて表現しきれないところもあったので、ツアー後半でもっと良いものをお見せできるようにならないとなと思っています。

ーーこれは小坂さんだけじゃなくて、2期生全員に言えることだと思いますが、皆さん表情が以前とは変わりましたよね。ちゃんと曲の世界観や歌詞に合った表情を作れるようになってきたし、佇まいからも頼もしさが感じられますし。

小坂:みんながすごすぎて、私自身どうしたらいいのかわからなくなっちゃうときがあって。だから、たまにネガティブになっちゃうときがあるんですけど、でもそんなんじゃダメだなって思うし、みんなにもちょっとずつ力を借りています。

ーーそこは相乗効果じゃないですけど、あの子が頑張っているなら私も頑張らなくちゃって気持ちになるのでしょう。そういった点では、今の2期生はいい関係を築けているんでしょうね。

渡邉:うん、そうだと思います。

ーーアルバムにはたくさんのユニット曲が収録されており、そのおかげで一人ひとりの声が把握しやすくなりました。

丹生:必ずひとり1箇所はソロパートがありますし。

ーー皆さんは先ほど話題に挙がった「キレイになりたい」で一緒にユニットを組んでいますが、この曲を最初に聴いたときの印象は覚えていますか?

渡邉:驚き?

丹生:衝撃?

小坂:うん(笑)。曲調がすごくセクシーで、イントロのギターフレーズがちょっと昭和感を漂わせていて、歌詞も刺激的なフレーズが含まれていて。たぶん大人の方々が聴くとちょっと懐かしさがあるのかなって。で、私たち10代の子たちが聴くと、どこか甘酸っぱい恋の切なさに共感してもらえるんじゃないかなと思います。

渡邉:でも、この3人でこの曲を歌って、成り立ってるのかな?(笑)。

丹生:歌詞が大人っぽいから、ちょっと不安だよね。

小坂:ライブでも試行錯誤を続けている最中です。

渡邉:早く完成したものをお見せできるようになりたいです。

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