ももいろクローバーZはアイドル界の“王道”になったーー10年のキャリア凝縮したベスト盤から考察

 そのパフォーマンスの特異性やロックバンドとの対バンに臨む姿勢などから、いつしかももクロには“アイドルらしくない”というキャッチコピーがついて回るようになった。ただ、今改めて考えると、“工夫を凝らしつつ全力でファンを楽しませる”という“アイドルらしい”としか言いようがないスタンスをひたすら貫いてきたことこそが、ももクロの求心力を形作っているのではないか。4人編成となったこれからも、この構造は変わらないだろう。

 AKB48に対する“邪道”的なポジションとして活動を始めたももクロは、10年のキャリアを積んだ今ではアイドル界の“王道”のひとつとなった。旧来的な価値観では“アイドルらしくない”と評されていたアイドルが真ん中にいるという事実に、2010年代のアイドルシーンの面白さが凝縮されていると思う。

■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題になり、2013年春から外部媒体への寄稿を開始。2017年12月に初の単著『夏フェス革命 -音楽が変わる、社会が変わる-』を上梓。

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