森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.99
[ALEXANDROS]、ストレイテナー、バニラズ……日本のロックシーン象徴するバンドたちの新作
優れたポップセンスを含んだ楽曲、オーガニックなバンドサウンドによって注目を集めている大阪出身の3ピースバンド、Saucy Dog。いつも味方になってくれ、奮い立たせてくれた母親への思いを込めたアッパーポップチューン「真昼の月」、大切な人との別れを経験した“僕”が二人の日々に思いを寄せるバラードナンバー「コンタクトケース」、ミディアムロックナンバー「世界の果て」などを収録したミニアルバム『サラダデイズ』には、豊かな情感を含んだ歌を中心としたこのバンドの魅力が端的に示されている。どんなにエモーショナルに歌ってもカラッと爽やかな空気を感じさせてくれるボーカル、ライブ感がストレートに伝わる演奏も印象的。
“0円シングル”としてリリースされた「ダーウィン」が話題を集めるテスラは泣かない。のフルアルバム『偶然とか運命とか』が到着。キラキラとした光を放ちながら、次々と形を変えていくビートを軸にしたダンサブルな楽曲「万華鏡のようだ」、圧倒的なスピード感を放つサウンドのなかで、大人になることの楽しさ、素晴らしさ、切なさを鮮やかに描く「大人の秘密」などを収めた本作からは、10周年を迎えたこのバンドのさらなる充実が生々しく伝わってくる。“ポップかつトリッキーなピアノのリフを中心としたロックバンド”というスタイルをしっかり維持したまま、ファンク、ソウル、エレクトロなどを取り入れながら進化を続けるテスラは泣かない。は、まさに今が旬だ。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。