たぴみる×ヒロキ（リリィ、さよなら。）対談　“苦悩と葛藤”から生まれた「ロンリーコール」制作秘話

「ものすごい数の自問自答を繰り返した」（たぴみる）

――デビューシングルから今作まで少し期間が空いていますが、どのような1年だったのでしょうか？

たぴみる：デビュー前はまだ趣味の延長線上でやってた活動だったので、それが本当にお仕事になったデビューしたての頃、今までのが逆に何だったんだと思うくらいにいろんな考え方が全部変わったり、変わらなければいけない部分に気付いたり。そういう課題が山積みになって、目の前に突きつけられて軽くパニックになったことがあったんですね。

　今までは自分がしたいことをひたすらしてただけだったのが、デビューしてからは動画の視聴者のことを常に考えなければならなくなって。聞く人たちにどういう風に思ってほしいとかを全く考えずに活動してきたんです。それでどうしようってなって。それでこの1年間は自己分析をやりなさいってずっと言われてて。「なぜ自分は歌を歌いたくなったのか」から始まり……。ものすごい数の自問自答を繰り返したんです。もう苦しくて。答えのでない迷路をずっとぐるぐるぐるぐるやらされて……。

――自分を追い込んでいた？

たぴみる：はい。泣きながら自問自答のミーティングです。やめさせてくれないんですよ。でも言葉にしたり、質問に答えることによって少しずつ前よりははっきりしてきました。

――自問自答を繰り返した1年間だったと。

ヒロキ：その話を今初めて聞いたんですけど、僕もちょうどこの1年くらい、まったくそういう時期で。去年いろいろあって、「いつ辞めてもいい」「自分の代わりはいくらでもいる」みたいなことを急に感じてしまって。「いつでも音楽辞めれるんだ」って。なので、二人のそういう部分が重なってこの作品になったんだと思います。

たぴみる：二人のいろんなものがにじみ出てる（笑）。

ヒロキ：そういう意味ではパーソナルな部分がかなり投影されていると思います。

――お二人とも大変な1年だったんですね。

ヒロキ：そうですね。悩み続けた1年だったので、今回本当に良い化学反応が起きたなと思っていて。音楽に対するモチベーションとか情熱が薄れていた時期だったのが、このお仕事いただいて、それがもう一度盛り上がって。得るものがたくさんがありました。

――ヒロキさんとしては転機になった一曲だったと。

ヒロキ：このお仕事がダメだったら自分のアーティスト活動の方もダメになるんじゃないかというくらいだったので……。

たぴみる：盛りますね（笑）。

ヒロキ：いやいや本当なんですよ！

――最後に、2人の今後について聞かせてください。

たぴみる：もっと曲を書きたいなっていうのはすごくあって。いろんな曲のレパートリーがあるけど、全部含めてたぴみるだよねって言ってもらえるようになりたい。あとはたくさんの方に聞いてもらいたい。ライブを毎月やっているんですけど、4月からは今までよりも広い会場に移動して、まずはそれを埋められるようにと思っています。機会があればまたヒロキさんにも曲を作っていただきたいですし。

ヒロキ：いつでも書きますよ。そう言ってもらえて本当に良かったです。

たぴみる：良かった。作詞に時間がかかったからたぴみるとはもうやらないって言われたらどうしようと思ってました。

ヒロキ：いえいえ！　こだわりがある方がこちらもやりがいがあります。今回、いろんなことが重なって落ち込んでる時期にこのお仕事が決まって、書いたらそれで終わりではなく、セッションして生まれてくるものがたくさんあったので本当に楽しかったです。自分の活動にも還元できればと。リリィ、さよなら。としては、7月に4枚目のオリジナルミニアルバムを出しますので、こちらも聴いていただきたいです。

（取材・文＝荻原梓／撮影＝山田将史）