黒崎真音が明かす、“転機の1年”と『され竜』EDテーマで見つけた新たな表現

黒崎真音が明かす、“転機の1年”と『され竜』EDテーマで見つけた新たな表現

「私には手が届きそうもない平凡で平和な日常」

ーーその幅広いジャンルを歌ってきたことによるアイデンティティの揺らぎはどうやって解消しました?

黒崎:とはいえ皆さん「黒崎真音の音楽」を聴いてくださっているんだよな、って気付いたことで変われました。「あっ、私はジャンルに縛られるタイプじゃないんだな」「私が歌う楽曲すべての集合体が、黒崎真音という音楽ジャンルなんだ」という結論に至ったんです。あともう一つ、きっかけがあるとするなら、ちょっと時間は前後してしまうんですけど、去年の初めにミュージカル(『PREMIUM 3D MUSICAL「英雄伝説 閃の軌跡」』)に初めて出演させていただいて。自分以外の誰かを演じるという経験をさせてもらったとき「あっ、常に同じキャラでいる必要はないんだな」「そんな気持ちでやっていくのが実は自分の音楽スタイルなのかな」と、ふと思ったんです。ライブ……特にフェスみたいな3曲だけ歌うというステージだと大変なんですけどね。衣装やメイクやセットは同じまま、ほのぼのとした「ハーモナイズ・クローバー」と、ヘヴィな『〜HIGHSCHOOL OF THE DEAD』関連の曲を立て続けに歌わなきゃいけないので(笑)。

ーー幅広いジャンルを歌うことでアーティスト増を浮き彫りにしていくスタイルはワンアンドオンリーで面白いとは思うんですけど、そのフェスのエピソードだけを聞いても「大変そうだなあ」という気もします。

黒崎:でも私はアニソンシンガーでありたいので。常にアニメの世界観に寄り添った楽曲を歌い続けていきたいんです。「こういう音楽性の曲しか歌いたくない」というのはアニソンシンガーの姿勢としてはちょっと硬いと思うんですよね。『とある魔術の禁書目録』、『がっこうぐらし』、『され竜』とそれぞれテイストの違うアニメのテーマソングのお話がアニソンを歌いたい私のところに舞い込んできたということは、きっとそこには宿命や縁みたいなものがあるんだと思っているので、それにはすべて応えたい。「こういう音楽しかやりたくない」というのであれば今の時代、インディーズでリリースしたり、iTunes Storeで配信したりすることもできるじゃないですか。それに私自身、カップリング曲やアルバムの収録曲では「これをやりたい!」という音楽をやらせていただいてますし。

ーー今回のシングルのカップリング曲である「Renka.」にも黒崎さんの「これをやりたい!」が詰め込まれている?

黒崎:スタッフさんに「今作りたい曲を作っていいよ」と言われたので、「暗くて救いようのない曲を作りたいです」って伝えて(笑)。そうしたらすぐに作曲家の板倉(孝徳)くんが作ってくれました。

ーーただ、ギターが軽快にカッティングしていたり、アレンジはただ暗いだけじゃない。どこかしゃれてますよね。

黒崎:シングルというアイテムとしての一貫性を意識したというか、「décadence -デカダンス-」とある意味地続きの曲がほしかったので。

ーー確かに「Renka.」も「décadence -デカダンス-」も詞やメロディは重くて暗いものの、実は踊れる曲に仕上がっているという点で通底していますね。

黒崎:(編曲家の宮崎)京一さんが、実はこの曲の持っていたメジャー感を引き出してくださったのかな、と思ってます。

ーー一方、黒崎さんの書かれた詞は先ほどの宣言どおり。ホントに暗いし、救いがない(笑)。

黒崎:あはははは(笑)。「Renka.」を作ったのが、ベストアルバムのオリジナル曲「僕はこの世界に恋をしたから」を録った直後で。「僕はこの世界に〜」がすごく明るくて爽やかですべてを包み込むような曲だったから、その反動で次はもっと陰に徹した曲を作ってみたかったんです。

 

ーー「décadence -デカダンス-」とはちょっと違う暗さというか、静かに暗いですよね。

黒崎:「décadence -デカダンス-」は自分の能力とか運命とか現状に逆らいたい気持ちであったり、そのためにガムシャラに足掻くことだったりを歌いたかったんですけど、「Renka.」に関しては足掻かない。恋い焦がれたもの……それは人でもサッカーみたいなスポーツのジャンルでもいいんですけど、その恋しているものに対して「ああ自分はもうあの憧れの世界には届かないんだな」と妙に納得してしまう。そういう感情を描きたかったんです。

ーー絶望すらしていませんよね。

黒崎:そうなんですよ。なにも決着が付かないまま終わっていく静かな曲なんです。

ーーその感情になる前の感情というか、「反抗」や「絶望」みたいな明確な行動を起こすのではなく「どうしようかなあ」と気持ちがたゆたっている状態を歌おうと思ったのはなぜ?

黒崎:答えのない曲があってもいいんじゃないかなあ、っていう気がしたんですよね。なにか憧れているものに届かない状態の人がこの曲を聴いて「あっ、同じ気持ちになっている人がいるんだな」って気付いてくれたらいいな、と思って。慰めるわけでもないし、励ますわけでもないけど、静かに寄り添ってはくれる。そういう曲も誰かをラクにすることができるんじゃないかっていう気はしてます。あとは「ああ、よかった。自分より暗い人間がいるんだ!」って優越感に浸っていただいてもいいですし(笑)。

ーーそれもそれでひとつの救いですよね(笑)。ただ、黒崎さんは「やってらんないな」という気持ちや、なりたい黒崎真音像に届かない苛立ちをパワーに変えるタイプだ、とおっしゃっていました。では「Renka.」では実感ベースの詞を書くのではなく、聴き手に寄り添うことを優先させた?

黒崎:いや、アーティストとしてはコンプレックスをパワーに変えてはいますけど、それだけに平凡で平和な暮らしみたいな、私には手が届きそうもないものに対する憧れはありますから。

ーーアーティストだから平凡な日常に手が届かない?

黒崎:ほかのアーティストさんとお話していても感じることなんですけど、皆さん、根源にはコンプレックスや許せないもの……その許せない対象は自分だったりもするんですけど、そういうどこか暗いものを抱えていて、それをパワーにしているからカッコよくて美しいんですよね。私自身そういうカッコよくて美しいものを目指しているし、なにか事件や刺激がないと詞も生まれないから、平凡な暮らしをしている自分の姿が想像できないんですよ(笑)。

ーーアーティストな生き方って大変ですねえ。

黒崎:友だちの中には結婚して子どもを産んでっていう子も少なくないし、そういう生活にも憧れはあるのに(笑)。でも、アニメやアニメソングが大好きでこういう生き方を選んだんだから、これからもずっとアーティストという生き方を突き詰めていきたいな、と思ってます。

(取材・文=成松哲/撮影=堀内彩香)

■リリース情報
『décadence -デカダンス-』
発売:2018年5月9日(水)
価格:初回限定盤(CD+DVD)¥1,800(税抜)
通常盤 ¥1,200円(税抜)
※初回限定盤特典はMV等を収録したDVD

<CD収録内容>

1.décadence -デカダンス-(TVアニメ「されど罪人は竜と踊る」エンディングテーマ
)
作詞:黒崎真音・akane、作/編曲:藤井亮太・奈須野新平

2.Renka.
作詞:黒崎真音、作曲:板倉孝徳、編曲:宮崎京一

3.décadence -デカダンス-<instrumental>

4.Renka.<instrumental>

<初回限定盤DVD収録内容>
décadence -デカダンス-MV
・MV Making
・SPOT
・TVアニメ「されど罪人は竜と踊る」ノンクレジットエンディング

<店舗別オリジナル特典情報>
詳細
※対象商品:「décadence -デカダンス-」初回限定盤(GNCA-0507)
アニメイト:オリジナルブロマイド
ゲーマーズ:オリジナルブロマイド
ソフマップ:オリジナルブロマイド
とらのあな:オリジナルブロマイド
TSUTAYA:オリジナルブロマイド
タワーレコード:オリジナルブロマイド
Amazon:オリジナルブロマイド ※【Amazon.co.jp限定】商品のみが対象。

<発売記念イベント情報>
詳細
※対象商品:「décadence -デカダンス-」初回限定盤(GNCA-0507)
5月9日(水)アニメイト渋谷店(サイン会)
5月10日(木)とらのあな秋葉原店C 4F イベントフロア(握手会)
5月11日(金)アニメイト横浜店(私物サイン会)
5月12日(土)ソフマップAKIBA①号店 サブカル・モバイル館(握手会)
5月12日(土)AKIHABARAゲーマーズ本店(サイン会)
5月13日(日)TSUTAYA IKEBUKURO AKビル店 (ポスターサイン会)
5月19日(土)animate O.N.SQUARE HALL(大阪)(私物サイン会)
5月19日(土)ソフマップなんば店ザウルス1(握手会)
5月20日(日)第3太閤ビル(名古屋)(握手会)
5月20日(日)とらのあな名古屋店イベントスペース(私物サイン会)

■アニメ情報
TVアニメ『されど罪人は竜と踊る』
毎週木曜日 25:58~TBS他にて放送中
公式HP
(C)浅井ラボ・小学館/「され竜」製作委員会

黒崎真音オフィシャルサイト

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